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コロナ禍でママたちはどう変わった?~新しいママインサイトの兆し~No.3

コロナ禍でママたちに降りかかった5重苦とは?

2022/07/01

コロナ禍によるママたちの意識や行動の変化をお伝えする本連載。
第1回第2回では、コロナ禍によって、ママたちの育児や生活に対する意識・行動が変化していることをお伝えしました。今回は、ママラボ独自調査で分かった、ママたちが直面している五つの悩みに着目し、変化の要因と今後の動向に迫ります。

【ママラボ】
ママと子どもの本心と真摯(しんし)に向き合い、課題解決策を提案するワークタンク。「母親の視点にこだわって、次世代家族マーケットを活性化したい」という考えのもと、2008年に設立。ママ・子ども・家族の向かう先を予測し、多くの企業や団体に事業課題や社会課題を解決するためのリアルなインサイトとソリューションを提供している。

    
 

「なんか、ご飯ばっかり作っている……」中食、外食が減り、ママの調理負担が増加傾向に

コロナ禍は、社会にさまざまな影響を及ぼしましたが、ママたちの苦悩を増やすことにもなりました。
一つ目の苦悩はママの「家事負担が増大」していることです。

<グラフ1>はママラボの独自調査「コロナ禍に立ち向かうママたちの意識調査」でコロナ前と比べて家事・育児の仕方に変化があったかについて聴取した結果です。「自分が家事をする時間が増えた」56.2%(あてはまる、ややあてはまる計、以下同様)、「家事をする頻度が増えた」55.8%、「自分の家事負担が増えた」では51.8%となっており、家事の負荷が軒並み高くなっていることが分かります。

家事負担が増大

さらに<グラフ2>の「増えた家事の内訳」を見ると、「料理(調理)」が最も高く、47.4%。次いで「食事の後片付けや洗い物」が32.7%となっており、コロナ自粛により食周りの家事が増大していることがうかがえます。

これは今まで、外食・中食などが担っていた部分がそのまま家庭内食に置き換わっていることもあると推察されます。

増えた家事の内訳

「収入が減ってしまって家計が苦しい……」コロナ禍で年収が減って家計を圧迫

二つ目の苦悩としては、「家計を圧迫する世帯収入の減少」が挙げられます。
第1回では「ポイ活(ポイント活動)」がママたちの間で活況とお伝えしました。少しでも家計の助けになる工夫をしているママたちですが、<グラフ3>をみるとアンケート対象者の23%、つまり2割以上の世帯が「年収が減った」と答えており、家計が苦しくなっている現状がわかります。

家計を圧迫する世帯収入の減少

「たまには一人の時間もほしい!」ずっと一緒はかえってママたちのストレスに

そして、三つ目の苦悩は、一人の時間がとれないことによる「ストレスの増加」です。

コロナ罹患者の発生によって幼稚園・保育園・学校などが突然休校となり、子どもたちの家庭学習機会が増えるとともに、自身はもちろん夫のリモートワークが定常化するなど、ママたちが家族と一緒にいる時間がかなり増えました。

<グラフ4>のコロナ前と後でのストレスの差分を見ると、「一人の時間がとれないこと」がコロナ前よりも約8.2%上昇しています。

新しい働き方が、体験した多くの人から評価される半面、外にも出られず一人の時間がなくなってしまったママたちのストレス増大につながっているようです。

コロナ前と後でのストレスの差分

「子供にはいろいろな体験をさせたいのに……」失われた体験機会にママたちは不安いっぱい

四つ目の苦悩は、「リアル体験減少による子どもへの影響に対する不安」です。

学校での学習機会については、学級閉鎖なども見越して、多くの学校でオンライン学習が導入されました。しかし修学旅行などリアルの体験が減少。今後、子どもにどういった影響を与えるのか、ママたちは不安を感じている様子です。

「イベントが中止になることで子どもたちにどんな影響があると感じているか」を聞いたところ、「(実際に)子どもたちがさまざまなことを体験する機会が減少していると感じている」と82.8%が回答。「発達や教育への影響が心配」も55.9%と高くなっています。

リアルの体験機会を奪われたことが、子どもたちの発達にどう影響するかが明確に分からないこと。また、どんな手段を講じるべきなのか、何が正解なのか分からない状態に2年も置かれていることが、漠然とした不安につながっていっていると考えられます。

リアル体験減少による子どもへの影響に対する不安

「ママ友と顔を合わせる機会も減っちゃったな……」コロナ禍で、情報交換の場がなくなり、孤立化するママ

そして、五つ目の苦悩は、「社会からの遮断による孤立化」です。
<グラフ6>では、コロナ前とコロナ後の人付き合いの変化について聞いています。特に関係性が弱まった対象として、「昔ながらの友人・知人」49.5%、「遠方の親族」38.5%、「リアルで会うママ友(保育園や学校、習い事など)」37.3%となっており、いつも会っていたリアルなママ友との付き合いも減っていることが分かります。

今までは、気軽に育児の大変さや子育ての情報を共有することにより、ストレス発散をしていたママたちですが、コロナ禍において気軽に集まることも、会話することもできず、孤立感を募らせていました。

社会からの遮断による孤立化

このように、コロナ禍が与えるママたちへの5重苦として
「①家事負担の増大」「②家計を圧迫する世帯収入の減少」「③一人の時間がとれないことによるストレスの増加」「④リアル体験減少による子どもへの影響に対する不安」「⑤社会からの遮断による孤立化」がありました。

ストレスはあるけどコロナ禍でも前向きに!生活を楽しく、楽にしようと工夫

ただ、その一方で、新しい動きも見えてきています。<グラフ7>では、「コロナ前と現在の家事・育児の仕方の変化」を聞いていますが、「以前ほど完璧に家事をせず、ほどほどでよいと思うようになった」が49.9%、「まとまった時間ではなく、すきま時間でこまめに家事をするようになった」41.8%でした。生活の変化に合わせて柔軟に家事の仕方を模索するなど、自分を追い込まないように気持ちをコントロールしていることがうかがえます。

また子どもとの関わり方として、「子どもに自分のことはやらせる癖をつけた」が42.7%、「子どもに家事のやり方を教えるようになった」が39.6%でした。

コロナ前と現在の家事・育児の仕方の変化
<グラフ8>では、「コロナ発生後に家族と一緒に始めたこと」を聞いており、「部屋の片づけ」が15.2%、「お菓子作り」が13.2%、「料理」が9.5%と上位を家事が占めているという結果。ここからもコロナ禍を機に家事を通じて子どもとのコミュニケーションを密にしたり、子どもの成長機会にしたりしていると考えられます。
コロナ発生後に家族と一緒に始めたこと

大変な状況の中でも、ママたちは前向きに自分たちができることを探して実行しています。今後コロナ禍が落ち着いたとしても、新しい家族の関わり方や家事における新しいやり方などは、新しいライフスタイルとして確実に定着していくと推察されます。

困難な状況にあっても柔軟な発想で生活の中で工夫をし、変化を取り入れているママたちのニーズに合わせて、地域や企業のサービスも進化させていく必要があるでしょう。

今後も、ママラボはママたちが生き生きと笑顔でいられるために、情報収集・インサイト開発などを通じて家族をウオッチし、社会へ情報発信を続けていきます。


【調査概要】
調査方法:インターネットによる調査
調査対象者:
◆スクリーニング※20~59歳女性の子ありの人口構成に沿って回収
・20~59歳の子あり女性(DBで「子あり」登録者)
◆本調査
・子あり
・配偶者+子ども(末子が0歳~中学生)と同居
調査エリア:全国
調査時期:
◆スクリーニング:2021年12月14日(火)~19日(日)
◆本調査:2021年12月17日(金)~19日(日)
サンプル数:600サンプル
調査実施:電通マクロミルインサイト
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