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シニアはスマートフォンをどのように使いこなしているかNo.2

スマートフォン利用でハッピーになるシニア女性たち

2022/09/20

電通シニアラボが実施した「シニアのスマホライフ実態調査」(調査概要はこちら)の結果を基に、現代のシニアのスマートフォン利用状況や、それによって生活の質がどのように変わったかをひもといていく本連載。前回は、シニアのスマートフォン利用実態について説明しました。今回はシニアがスマートフォンを利用することで、生活がどのように変化したかを見ていきたいと思います。

スマートフォンで「生活は良くなった」と感じたシニア女性

図表1は、スマートフォンを持つことで生活は良くなったか、悪くなったかを聞いたものです。この結果を見ると、「悪くなったと思う」と回答した人はいずれも数パーセントにとどまっているのに対し、6〜7割の人が「とても良くなった/良くなったと思う」と回答しています。そして、「とても良くなったと思う」と回答しているのは、明らかに男性よりも女性が多いという結果となっています。

シニアラボ#2_図版01

スマートフォンに「コミュニケーション情緒的価値」を見いだす女性、「合理的価値」を見いだす男性

では具体的に、スマートフォンのどのような点をメリットとして、「生活が良くなった」と感じたのでしょうか?それを男女別に見たものが図表2となります。

シニアラボ#2_図版02

一見してわかるとおり、女性のほうが多くの項目で高い数値を示しています。とりわけ、女性が男性と比較して高いのは、「わからないことをすぐに調べられるようになった」「生活が楽しくなった」「家族や孫との会話が増えた」「暇な時間を楽しむことができるようになった」「人とのつながりが増えた」といった項目。加えて「新しいことに挑戦する意欲がわいた」などの項目でした。

一方、男性が女性よりも高かったのは、「短時間で用事を済ませられるようになった」「お金の管理がしやすくなった」「以前は手に入れるのが難しかった、コアな情報(企業情報など)を集められるようになった」など。この違いを見ると、女性は主に会話やつながりの増加などを通じた情緒的価値をスマートフォンに見いだしているのに対し、男性は合理性的価値を見いだしているという違いがあることに気付かされます。

一方、悪くなったことに対してのトップ3は、「目が疲れる」「用もないのにスマートフォンを見てしまう」「スケジュールや電話番号など必要な情報を入れているので覚えなくなった」ですが、これはおそらく他世代とも同じような項目でしょう。

悪くなったことでは良くなったことほどの男女差はさほどありませんが、「座っている時間が増えた」「肩や首がこる」「寝不足になる」と回答するのは女性が多くなっています。1日あたりの利用時間でも、3時間以上は女性の方が多く、使いすぎによる疲労や寝不足などを抱えるシニア女性がいることも浮かび上がってきます。

シニアラボ#2_図版03

「生活を豊かにしてくれる」のはどんなアプリか

「スマホを持つことによる生活の変化」に対して「とても良くなった/良くなったと思う」と答えた人が、生活を豊かにしてくれているアプリとして挙げたアプリ名(自由回答)を、再度男女、ジャンル別に整理したものが図表4です。

男性は検索、SNS、ニュース、オンラインショッピングなどが上位に上がっており、やはり利便性の高いアプリに価値を見いだしていることがわかります。一方で、女性のトップは検索ではなくSNS、その中でもLINEと回答する割合が圧倒的に高いのが特徴でした。また男性では7位である動画視聴が第3位と上位にあったり、料理アプリが6位にあがるなど、男性よりも生活全般の領域で幅広くスマートフォンを使いこなしている姿が浮かび上がってきました。

シニアラボ#2_図版04

図表5はスマートフォンを使って今後できるようになりたいこと(使ってみたいアプリ)を男女年代別に聞いたものです。これを見ると、男女ともに60代よりも70代の方が、使ってみたいアプリニーズが高いことがわかります。使いたいアプリで最もニーズが高いのは、「健康・体調管理」アプリで、次いで「地図・ナビの利用」「翻訳・通訳」が続きます。

男女の違いで見ると、男性では「金融関連サービスの利用」「ポイントアプリ・サービスの利用」「インターネットショッピング」などのニーズが高く、女性は「チケット購入」や「写真・動画撮影」などのニーズが高いことがわかります。ただし利用意向は最も高いものでも16%程度であり、潜在ニーズが非常に高いとは言い難いのも事実です。

こうしたアプリの普及を進めていくためには、きちんと利用することによるメリットを事前に伝えていくことが重要であるとも言えるでしょう。

シニアラボ#2_図版05

「生活がとても良くなった」。シニア女性たちはスマートフォンを幅広く活用

ここまで見てきたように、スマートフォンを持つことによって生活が良くなったと回答したのは女性が圧倒的に多かったことをふまえ、最後に生活が「とても良くなったと思う」と回答した女性たちの特徴を紹介したいと思います。

彼女たちの過半数は、「スマホを使いこなしている」と考えており、「インターネットショッピング(Amazon、楽天市場など)」「ポイントアプリ・サービスの利用」「動画視聴(YouTubeなど)」「動画・写真撮影」などの利用率も非常に高く、SNSの閲覧、中でもInstagramの閲覧率が高いことがわかりました。

繰り返しになりますが、女性は主にSNSや会話など、コミュニケーション・ツールとしてのスマートフォンを評価する全体傾向がありますが、“生活がとても良くなった”と回答したシニア女性は、それに加えて、「娯楽」や「買い物」まで、さらに多くのアプリを使いこなすことで、生活が良くなったと感じていることが理解できました。  

シニアラボ#2_図版06

以上で「シニアのスマホライフ実態調査」概要のご紹介を終わります。より詳しい内容を知りたい方は、下記電通シニアラボまでお問い合わせください。

【お問い合わせはこちら】電通シニアラボ
Email:senior-lab@dentsu.co.jp
 
【調査概要】
調査名:「シニアのスマホライフ実態調査」
対象エリア:日本全国
対象者条件:週に1回以上スマホでメール、通話以外の機能を利用する60~79歳男女
サンプル数:計1000名  
調査手法:インターネット調査
調査期間:「2022年7月11日~2022年7月12日
調査機関:株式会社クロス・マーケティング

 

https://twitter.com/dentsuho