LTV思考で取り組む、サントリーの「絆ドリブンマーケティング」
2023/06/22
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今回ご紹介するのは、サントリーが長期的視点で取り組むファン施策、「絆ドリブンマーケティング」。
サントリーホールディングスでデジタルマーケティング全般を担う寺田智氏と、同社と共に絆ドリブンマーケティングに取り組んできた電通の貝塚康仁氏、そしてDCRを提供するプラットフォーマーとの橋渡し役として電通の馬氏にお話を伺いました。
<目次>
▼DCRで実現。“個客”との絆を結ぶ、絆ドリブンマーケティング
▼データやテクノロジーに振り回されないためには「ブレない目的」が必要
▼分析で終わらず、アクションにつながる形で社内にフィードバックする
DCRで実現。“個客”との絆を結ぶ、絆ドリブンマーケティング
──サントリーが取り組んでいる「絆ドリブンマーケティング」(以下、KDM)とは、どういうものなのでしょうか?
寺田:広く言えば、世の中に「サントリーファン」を増やしていくための取り組みです。LTV(ライフタイムバリュー)という視点でさまざまな生活者との関係を可視化することで、社内での意思決定の質を高め、結果として長く愛してくださる「ファン」を作り、ファンとの関係を前に進めていくことを目的としています。
サントリーの「絆ドリブンマーケティング」とは?
サントリーファンを世の中全体で増やしていくためのマーケティングフレームワーク。2021年からは電通グループと共に複数のデータ基盤を用いた分析に取り組みはじめ、機械学習を用いたファンとの「絆」可視化モデルを作成し、IDベースで“個客”との関係性を深化させている。
──この取り組みに至った背景には、どういった課題があったのでしょうか?
寺田:もともとお客さまとの関係作りは、サントリーがずっと取り組もうとしてきたことなんです。また長期のブランディングと、短期的な売上のバランスの難しさも、長年の課題としてありました。
私自身も、入社してすぐに宣伝の部署に配属され、ブランディングに取り組んできたのですが、ブランディングの施策は日々の売り上げに直結するわけではありません。効果の可視化も難しく、「良いことをしているはずなのに」と歯がゆい思いをしていました。
いわゆる日用消費財の会社は、長期的なブランディングが難しいと言われることもあります。でも、毎日消費するような身近なものだからこそ、サントリーという存在が一番信頼を置ける存在でありたいと思っているんです。
そんなときに貝塚さんたちに「今の技術を使えば、それができる」というご提案をいただきました。一人ひとりの“個客”との関係性をID単位で可視化できるようになれば、マーケティングを前に進められるのではないかと考えて、一緒に取り組むことになりました。
──この取り組みに電通グループがパートナーとして伴走しているんですね。お三方それぞれの、KDMにおける役割を教えてください。
寺田:私はサントリー全体の課題感を代弁する立場で、「こんなことを実現したい」ということを貝塚さんのチームにお伝えしています。サントリーとして「これをしたい」という思いと、「技術的にこれならできるのではないか」というところを、ある意味翻訳して、社内のさまざまな部署とつなぐような役割ですね。
貝塚:私たちは、先ほど寺田さんがおっしゃった課題を起点に、サントリーの皆様と一緒に仮説を立て、データを分析する、いわば実働部隊です。
ただし、デジタルマーケティングやDCRを使うことは目的ではありません。あくまでも大事なのは、より多くの生活者からサントリーが愛され続ける関係性を構築すること。そして、売り上げ成長の良好なループを持続的に生み出し続けるマーケティングを実現することです。常にそこはブレないように心がけています。
馬:私はDCRを含め、クライアントの課題解決のためのデータ利活用サポートや、ソリューション開発を担当しています。KDMの基盤となるヤフー、LINEのようなプラットフォーム事業者や、データホルダーの方々と一緒に、「どういうデータがあると、よりクライアントの役に立てるか」を考え、クライアントの目的に応じて新しいデータ基盤、活用軸もご提案しています。
直近では、これまで活用してきたヤフーと電通のデータを活用した共同分析プロジェクトHAKONIWA基盤でのファンマネジメントを、LINE DATA SOLUTIONに“拡張”することをしています。拡張することで、サントリーと生活者との顧客接点をより広くとらえて関係構築ができるようになります。
※ヤフー、LINEが取得・活用できるデータは、全てユーザー許諾取得済みの情報となります。
──顧客関係管理(CRM)にはさまざまなツールや手法があると思いますが、KDMならではのユニークな点はどんなところにありますか?
貝塚:一番大きいのは、個人情報を特定せずにさまざまなデータを分析できるDCR上で、IDというものを「中長期にわたる生活者との関係づくり」に使ったことです。
IDを、生活行動や心の動きを伴った「人=お客さま」として敬意を持って捉えながら、「短期的に商品を買う/買わないで評価する関係を超えて、継続的に信頼し合えるお客さまとの関係を作るんだ」という思いが、この取り組みの原動力になっています。そのこと自体が非常にユニークだと感じます。
馬:普段からDCRを担当している目線でいうと、消費財を中心としたクライアントにおいては、DCRは「クライアントの広告施策が、その後購買に寄与したのか?」といった、個別の広告施策の効果検証・評価に使われるケースが多いと感じています。もちろんこれまで見えなかった実店舗での購買への貢献を可視化し、評価できるのはDCRの一つの強みですが、KDMでは、長期的かつ継続的にDCRを活用している点がユニークですね。
また、一つのプラットフォーム事業者だけでなく、複数のプラットフォーム事業者のDCR基盤を活用することで、生活者が商品を認知するところからリピートするところまでの行動を捉えられるようになっています。DCRを横断活用することで、広告施策に閉じない顧客接点を捉えられるようになっている点も、先端的な取り組みだと感じます。
そしてこれらを実現した一番のポイントは、まず最初に「ファンとはどういう人を指すのか?」を具体化、言語化したことだと思います。
寺田:「ファン」という言葉はマーケティングでよく使われますが、みんなそれぞれイメージしていることが違っていたりしますよね。なので、まずはその目線を合わせることからこの取り組みは始まっています。
最初にファンを定義し、それを可視化するにはどんなデータが必要なのか、試行錯誤しながら解像度を高めてきました。ファンとの関係性を、ふわっとした綺麗事ではなくID単位で可視化し、それに応じた施策ができているのは、この取り組みならではだと感じます。
データやテクノロジーに振り回されないためには「ブレない目的」が必要
──デジタルマーケティングは広告の売り上げに対する効果測定など、効率化に使われることが多い中、KDMはそもそもの発端がそこにはなかったのですね。定義した「ファン像」を可視化し、分析できるようになったポイントはどこでしょうか?
寺田:やはり、「多様な顧客接点における、多様なデータ」を使えたことです。生活者の解像度を大きく高め、広く立体的に捉えることができ、一人ひとりに寄り添うことができるようになりました。
馬:DCRを使うと、活用できるデータの幅が一気に広がります。プラットフォーム事業者が持っているデータ、提携しているデータホルダーのデータ、もちろんサントリーが保有するファーストパーティデータ、そして電通グループが持っているPeople DMPの意識データやテレビ視聴データも活用できるので、一人ひとりの生活者の解像度が高くなります。
ただ、データは多ければ多いほど良いわけでもありません。どのデータをどう活用すれば、お客さまの「気持ち」をより捉えられるのかについては、かなり試行錯誤を繰り返しました。
寺田:これまでもいろいろな調査に基づいた顧客データはありました。でも、人の行動って一貫しているとは限らないですよね。自分自身を振り返ってみても、「昨日なんでこれを買っちゃったんだろう?」ということはあります(笑)。そういう意味では、購買データでさえもその人の一面しか捉えられていない。それなのに、「これを買ったから、こういう人だ」と分析してしまうこともあります。KDMでは、幅広い顧客接点からデータを得ることで、リアルな人間の姿がよりクリアに見えるようになりました。
馬:解像度が上がると、その生活者に対してより適切なアプローチができるようになります。それがまさに「関係性を前に進める」ことにつながっていますよね。
ただ、分析できるデータが多すぎると「この分析もやろう」「この効果検証もやろう」と、いわば分析のための分析になってしまうこともあります。データに踊らされないよう、あくまでもサントリーの課題解決や事業成長にどうつながるのかという仮説をもってデータに向き合い、活用していくということを心がけています。
──サントリーにはファン作りのためのさまざまなコンテンツがあり、それぞれのコンテンツで異なる層から支持されていると思います。そんな中で、「こういうお客さまを増やす」という指標を決めるのは難しかったのではないでしょうか?
寺田:そこはすごく議論があったのですが、結論は「長く愛してくださる方」。それも、たくさんの競合商品がある中で「サントリー」という文字に反応していただけることを、まずは「ファン」として捉えました。サントリーが持つデータだけでなく、プラットフォーム事業者やデータホルダーが持つデータも活用して、ファンの思いを再現する「ファン指標」を作ってきましたね。
貝塚:その独自のファン指標を基点に、サントリーが提供されている数々のコンテンツが、実際ファンとの関係構築にどの程度効果があるのかを、データに基づき評価していく仕組みを構築してきました。
例えば「サントリー1万人の第九」だったり、野球の「サントリードリームマッチ」だったり、サントリーファンの増加に寄与するコンテンツごとに、「そのコンテンツがきっかけでサントリーファンになる人」や「その後の購買行動」の特徴は異なることが、データからも見えてきました。
KDMでは、そうした「コンテンツと“お客さまDNA”の掛け算」を最大化していくことが有効なのではという仮説に基づき、IDをベースに試行錯誤しながら、メカニズム解明を更に進めていければと思っています。
寺田:一方で、可視化されたIDを「この人はスポーツ好きだ」と言い切らないことも大事だと思っています。それはあくまでも「この分析の結果としてはスポーツ好きだとされた人」でしかない。そういうことを前提にしながら、常に一緒にプロセスを回していますね。
貝塚:画一的な定義や、静的なクラスター分けからの脱却ということですよね。例えば先週「健康意識が高い」クラスターに分類された人が、今週は暴飲暴食しているかもしれない(笑)。そういう、「スパイク的に発生する興味関心の変化」を動的に捉えられるのも、DCRの特性です。お客さまとの良好な関係を構築していく上で、非常に有効だと感じます。
馬:DCRの中で活用可能なデータや機能は、日々アップデートされています。より生活者の動きを捉えられるよう、KDMのスキームも都度チューニングして、進化させています。
――KDMでは新規顧客獲得と、既存顧客のLTVを高めること、どちらに重点を置かれているのでしょうか?
寺田:実は、新規・既存はあまり意識していません。全ての人というとちょっと大げさですが、みんなに愛される会社になりたいという考え方で、つまりあらゆる人に「ファン度」があって、それが0から100までいろんな幅があるんだと捉えています。
貝塚:日常生活に溶け込んでいる飲料という商材において、「新規」か「既存」という捉え方自体があまりなじまないということもありますし、「長く愛してくださるお客さまとの関係作り」においては、ファンかファンじゃないかの二極論から抜けるということが重要なんだと思います。その二極の間に、実際はサントリーへの思いの「グラデーション」がある。そこを定量的に可視化することで、「お客さまとの関係作り」をマネジメントできるようにしていくということです。
寺田:今、国内ではどんどん人口が減っていきますし、生活者の可処分時間というものを考えたときに、ある意味でさまざまなコンテンツが競合になっていると思うんです。つまり、お酒を飲むのか、Netflixで1時間ドラマを見るのか、人生の時間の中でいろんな選択肢がある中でも、サントリーという会社がいろんな人の中に存在する状態を作る。そういう意味で「全ての人」を捉えながら、いかにファン度を高めていくかを考えています。
――ファンとの関係構築をする中で、特に大事にされていることはありますか?
寺田:「サントリーらしさ」をずっと持ち続けることですね。私も入社してからずっと言われているのが、サントリーのやっていることはお客さまにものを売る仕事というより、文化を作る仕事なんだということ。そのためには、分析で終わっては意味がないので、分析結果を社内にフィードバックし、それをもとにお客さまの人生が豊かになるお手伝いをする。その「アクション」につなげていくことを、あくまでも大事にしています。
馬:私も、今寺田さんがおっしゃったような本当の「目的」がある中で、プラットフォーム事業者の方々と一緒に「こういうデータがあれば、サントリーの目指す目的に貢献できるんじゃないか」という考え方を大事にしています。アクションというお話がありましたが、ファン度という指標をベースに、いろんな生活者の関心対象や関心度合いを測って、それぞれに対してどういうアプローチするかというところまで、今は実装できていると思います。
貝塚:こういう先端的な取り組みをしていると、気を付けてはいても、つい「KDMというプロジェクトをどう進化させるか」というふうに、手段が目的化してしまいそうになることがあります。そうはならないように、あくまでも「サントリーを長く愛してくださるお客さま」をどう増やしていけるか、そのための意思決定に役立つことを大事にしています。
最初にご提案したときも、「DCRを使いましょう」という話は一切入れず、どうやって生活者との関係性深化を継続的にマネジメントし、ファンを増やしていくかという話だけをしました。それが実現できるなら、必ずしもKDMでなくてもいいし、目的のためなら中身も柔軟に変わっていくべきだと思っています。
寺田:確かに、KDM自体がこの3年間でもどんどん変わってきています。KDMはマーケティングと言っていますが、マーケティングだけで閉じる話だとは思っていなくて、サントリーという組織のマネジメントや経営のベースにもなるようなものだと捉えています。そう考えると、単なるマーケティングとはデータの使い方も目的も変わってくるんですね。
分析で終わらず、アクションにつながる形で社内にフィードバックする
──可視化されたファンのデータは、社内ではどのように共有されているのでしょうか?
寺田:社内共有で重視していることは2つあって、一つは「本質的に大事なのは、ここです」という要素を絞って、誰もが分かるように翻訳した上で示すことです。「こんなにデータが取れました」とパワーポイント100枚見せられても困ってしまいますよね(笑)。
そしてもう一つが、その分析結果を受けて、われわれがどう変わっていけるのかという「アクション」が明確であることです。社内のいろんな事業に関わっている人たちとの関係性も、広く捉えるとKDMの一部という気がしています。そのためには、「長期的なファン作りと、短期的な売上、両方のバランスが大事なのである」というビジョンの共有をした上で、「みんなのたくらみ」になるように巻き込んでいくのがポイントかなと思っています。
貝塚:DXや新しいテクノロジーの導入時に一番大事なドライバーは、社内浸透施策だったりしますからね。その部分は寺田さんが一手に担ってくださっていますが、電通側も「分かりやすい」「アクションにつながる」ということを常に考えるようにしています。まだまだ100枚のパワポで説明してしまうことも時折あって、ご迷惑をお掛けしていますが……(汗)。
馬:裏側で仕組みを作る側としても、サントリーの社内でより多くの部署・担当者の方々に使っていただけるように、できるだけシンプルで、使いやすい、見やすい、分かりやすい指標になっていないといけない。皆さんの“羅針盤”のような指標になるといいなと思っています。
また、実際にいろんな部署の方に使っていただくときに、そのデータ・指標がどのぐらい信頼できるのかも同時に示さないといけないので、そこにはある程度の「規模」と、同時に「精度」が求められますよね。KDMでは機械学習を活用しているのですが、学習データのボリュームがないと精度が出なかったり、逆に精度を求めすぎるとマネジメントできる人の規模やインパクトが出なかったりします。信頼できる「精度」と、実装しやすい「分かりやすさ」と、施策評価ができる「規模」のバランスを常に意識・試行錯誤しています。
寺田:やはり独りよがりになっちゃダメなんですよね。「KDMのデータを使ってもらおう」というのではなく、社内の各事業の担当者にとって一番使いやすくて、その先にいるお客さまとの関係が見えるような、価値につながるようなやり方を、電通と一緒にオーダーメードというか、チューニングしていくことを心がけています。
ただ、社内の誰に話しても、「すごく良いね」とまずは言ってもらえています。やっぱり絆とか、サントリーとしての思想の部分を強く出しているので、やっていることは間違っていないと思うし、それが実際にアクションにつながっていくことも起こり始めていると感じます。
馬:直近でいうとサントリー主催のリアルイベントでの取り組みがあります。リアルイベントを体験してくださった方が、体験することを通してサントリーへの愛が深まったかを可視化し、次回以降はどうやったらより体験がリッチになりさらに愛を感じていただけるのかまで深掘りをしました。普段は捉えにくいオフラインイベントの施策の体験効果を、このファンマネジメントスキームを通して評価ができています。
貝塚:定量的なファンマネジメント施策の実現に、「万能で完璧なソリューション」は残念ながら存在しません。それでも、たとえ一歩でも二歩でも前に進めるなら、少しでも意思決定の精度が高まるならやってみようという、サントリーの皆さんのチャレンジの姿勢。それがここまで先端的な取り組みを実現できた源泉だと感じます。成し遂げたい世界観やサントリーらしさがブレないから、テクノロジーやデータに振り回されず、新しいものをうまく活用できているんだなと感服しています。
寺田:ありがとうございます。まさに、一歩でも二歩でもお客さまの人生を豊かにできるなら、それこそ3%とかかもしれないんですが、少しでも意思決定が良くなることで、そこで違いを作るのがサントリーらしさかなと思っています。
貝塚:一見地味に見えても、精度が少しずつ高まっていく。そこに長期的にはすごく価値があると感じます。KDMという形で、本当にインフラを作っているんですよね。生活者との関係性をデータドリブンにシフトしていく、大きな仕組み作りだと感じます。
──前例のほとんどないことにチャレンジされているので、常に試行錯誤の連続になるんですね。
寺田:はい。そのためには多様な意見が必要なので、電通のチームとも、単に提案を受けて判断するという関係性ではないんですよね。同じ目的に向かう一つのチームとして、溶け込んでやっていただいています。家族よりも貝塚さんたちと話している時間の方が長いぐらい(笑)。
貝塚:正解がない領域なので、私たちも提案を作り込んでプレゼンをするというより、時にはデータ抽出の段階で共有させていただきながら、一緒に要因の推察や仮説方向性のディスカッションをする、ワンチームのような関係で進めさせていただいています。もちろん、寺田さんからアイデアや知見をいただくことも多いです。最初からそうではなかったんですが、とにかくクイックにチャレンジしていくようになっていきましたね。
馬:サントリーの「やってみなはれ」の精神に本当に助けていただいていますね。そうしたチャレンジングな、前向きな姿勢で向き合ってくださっているので、プラットフォーム事業者側も「こういうふうに活用してもらえるんだ」という発見があったりします。
サントリーの思いをプラットフォーム事業者に伝えることで「じゃあこういうデータはどうですか」「こういう機能があるとよいでしょうか」という新たな会話が生まれるんです。いろんなニーズに応えていけるように、これからもプラットフォーム事業者やデータホルダーとの連携を強化していきたいです。
寺田:サントリーは挑戦し失敗しても、あきらめず、へこたれず、挑戦し続ける、「やってみなはれ」のカルチャーがあるんです(笑)。いつもお願いしているのは、「精度は半分でいいので、スピードを2倍にしてください」ということです。試してみないと分からないことが多い世界なので、どんどんトライして、知見やプロセスを蓄積してきましたね。
貝塚:そうやって積み重ねた、データから仮説に着地していく議論も含めた「プロセス」がすごく大事だと思っています。IDをベースにしたファンの作り方を科学していくという、試行錯誤してきた経験やプロセス自体が、サントリーのアセットというか貴重な無形資産になっていると感じています。
寺田:KDMは、デジタルマーケティングのフレームではあるのですが、お二人にも仰っていただいた通り、デジタルに閉じる必要も、マーケティングに閉じる必要もないと考えていて、その点は電通とも思いを共有できているのは心強いです。
貝塚:「DCRのLTV視点での活用」や、「日用消費財メーカーにおけるデータドリブンなマーケティング」の観点において、ユニークな着眼点や実践チャレンジされている次世代型の絆作り=ファンマネジメントの内容は、日本のマーケティングを牽引するトップランナーであるサントリーならではだと思っています。
心からお客さまに喜んでいただきたい、感動していただきたい、絆を深めたい、と本気で願い実践されている企業であることを、KDMを通して日々実感しますし、私自身が一人の消費者として今まで以上にサントリーとの絆が深まっていると感じます。
――本日はありがとうございました!
電通広報リリース:
複数のデータクリーンルーム環境を一元管理する「TOBIRAS」を開発
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