商品認知だけじゃない!
DOOH「LIVE BOARD」の強みとは
2023/10/25
街で見かけるOOH(Out Of Home:交通広告や屋外広告、商業施設での広告など、家庭以外の場所で接触する広告媒体の総称)。そのDXは年々進んでいます。
LIVE BOARD社(※1)が、全国に展開するDOOH(※2)「LIVE BOARD」は、適切なタイミングで狙ったターゲットに広告配信することで、商品やサービスを認知させるだけでなく、興味・関心を高め、購入意向をアップさせることが可能になりつつあります。
この記事では、さまざまな企業の広告プランニングに携わるLIVE BOARD社の植村征氏と小林春輝氏が、DOOHの可能性について事例を交えて紹介します。
※1 LIVE BOARD社:2019年2月にNTTドコモと電通グループが設立。DOOH広告の配信プラットフォーム運営、広告媒体の開拓、および広告枠の販売事業を行っている。インプレッション(=広告視認者数)やユーザー属性に基づくOOH広告配信を実現し、OOHの広告効果・費用対効果も検証できる。ネットワーク化されたDOOH「LIVE BOARD」を全国各地に所有・運営している。
※2 DOOH(Digital Out Of Home):交通広告、屋外広告、商業施設などに設置されたデジタルサイネージを活用した広告媒体のこと。
OOHの役割は、商品やサービスを認知させるだけではない!?
多くの人に商品やサービスを購入してもらうためには、まずその存在を認知している人を増やすことが必要です。そのため、マスメディアのプランニングでは、マーケティングファネルのアッパー部分である「認知」を指標にプランニングすることが一般的です。
「認知→興味・関心→購入意向→購入」といった、購入に至るまでの一連のステップにおいて、「より深いファネルへの移行は一定の割合で発生する」という考えのもと、入り口となる「認知」を増やすことで最終的な購入量を増やそうというアプローチです。
しかし、食料品や日用品と違い、耐久財や高級商材などは、生活者に認知してもらうだけでは購入に結びつきにくいでしょう。このような商品は、「興味・関心」や「購入意向」などの各ステップを意図的に強化する必要があります。そこで、ウェブでの特集記事や、雑誌・インフルエンサーとのタイアップなど、マスメディアとは異なるさまざまなアプローチを行っています 。
このように、強化したいステップごとに活用するメディアを変えていくことがメディアプランニングの基本だと私たちは思っていました。実際、LIVE BOARDを含めたOOH媒体は、主に「認知」が高まることを期待して企業が出稿するケースが多く見られます。しかし、LIVE BOARD社でメディアプランニングに従事する中で、DOOHは使い方次第でファネルのどの段階においても効果を上げられるのではないかと考えるようになりました。
重要なのは、適切な「モーメント」を捉えてリーチすること
ここからは、商品やサービスを認知させることに加え、DOOHがミドルファネル以降のステップにおいても効果を上げた2つの事例を紹介します。
1つ目は、サントリー「こだわり酒場のレモンサワー」の事例です。2022年夏、全国56カ所のLIVE BOARD屋外面を活用し、サントリーは広告展開を実施しました。同社は普段からリーチ拡大のためにDOOHを活用していますが、このキャンペーンでは、ただ商品を認知させるだけでなく、「レモンサワーが飲みたくなる瞬間を捉えて訴求する」ことにチャレンジしました。
LIVE BOARDは、天気や気温と連動して広告を配信するウェザーターゲティングができます。このキャンペーンでは「晴れまたは曇りの日で、気温が28℃以上の場合にのみ広告を表示する」という配信プランが採用されました。
暑く晴れたタイミングでは飲用意向が高まると予想しましたが、広告効果を比較するために雨の日にも配信しました。その結果、特に暑く晴れたタイミングで商品を認知した人の方が、飲用意向のリフト幅が高く、モーメント(生活者が商品やサービスを求める瞬間)を捉えることでより広告効果が高まることが定量的に示されました。
さらに調査の中でLIVE BOARDの広告は、「広告を見たその日のうちに商品を購入した」というスコアが他のメディア以上に高いことも分かりました。他のデジタルメディアやテレビとは違い、LIVE BOARDは広告接触の場所が屋外のため、天気や気温を踏まえた広告訴求が効果的なのかもしれません。
2つ目は、味の素「鍋キューブ®」の事例です。味の素は天気や気温と連動して広告を配信するウェザーターゲティングを使用し、キューブ状の鍋つゆの素「鍋キューブ®」の販促を行いました。
東京と大阪で、主要ターゲットである家庭を持つ30代以上の女性が多いエリアのDOOHを絞り込み、指定した温度まで気温が下がったタイミングで、「鍋キューブ®」の広告を配信しました。
その結果、屋外で寒さを体感しているタイミングで出すと購入への影響が大きくなることがわかりました。「寒い日は温かい料理が食べたい」という心理を読み、適切なタイミングで広告配信することで、DOOHの強みが発揮されると考えられます。
2つの事例から分かったのは、「適切なモーメントを捉えてリーチする」ことで、単純な商品認知の効果だけでなく、興味・関心や購入意向といったミドルファネルを強化することも期待できるということです。
ミドルファネルへの効果を高める、媒体社とのタイアップ配信
今後は、天気や気温、その日ニュースになっていることなどの外部要因だけでなく、意図的にミドルファネルの強化を行えるような配信メニューも検討していきたいと考えています。その1つのアイデアとして「媒体社とのタイアップ配信」があります。例えば、こんなシチュエーションを想像してみてください。
「予報では夕方から冷え込むと言っていたのに、うっかり薄着で外出してしまった」 といった状況は、誰でも経験したことがあるでしょう。そんな時に、先の事例でもあったような「天気や気温」を捉えた広告訴求に加えて、例えば自分が好きな雑誌がオススメする着回しやアイテム紹介などがあったらどうでしょうか?そして、今自分がいる場所のすぐ近くで、そのアイテムが購入できることも知らせてくれたとします。
「夜は寒くなるし、雑誌のお墨付きのアイテムなら買ってみよう」と、足を運ぶきっかけになるかもしれません。
すぐに行動に移せる屋外だからこそ、心を動かす表現で商品を訴求することで、ミドルファネルやボトムファネルへの効果を高めるようなDOOHの使い方ができるのではないかと考えています。
上記のような柔軟なメディアプランニングに加え、LIVE BOARD社は、広告主が狙いたいターゲットがどれくらいOOHに接触しそうかプランニング前に予測することができます。そして、実際にどれくらい接触したか、ドコモの位置情報データなどから計測することも可能です。これまでOOHは広告効果を数値で証明できないと言われていましたが、この課題にも答えられます。
LIVE BOARDは、数値のアカウンタビリティやフルファネルへの効果が期待できる、これまでのOOHより進化したメディアと言えるでしょう。アイデア次第ではさらなる新しい価値を創造できるかもしれません。商品・サービスの特性に合わせたより効果的な広告を模索しているなど課題があれば、LIVE BOARDは非常に有効な手段になり得ると言えます。