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デジタル広告の新潮流。「コンテクスチュアル広告」でブランディング!No.4

「ゲーム上でしか出会えない消費者が確実に存在する」―ネスレとGumGumが切り開くゲーム内広告のブランディング活用

2024/04/15

左から土居博通氏(GumGum Japan)、小堺吉樹氏(ネスレ日本)、チャン・イェウォン氏(GumGum Japan)、イ・ジュンス氏(GumGum Japan)
左から土居博通氏(GumGum Japan)、小堺吉樹氏(ネスレ日本)、チャン・イェウォン氏(GumGum Japan)、イ・ジュンス氏(GumGum Japan)

ゲーム会社が出稿する獲得型のリワード広告が席巻するゲーム内広告市場に、ブランド広告という名の新風が吹き始めている。ブランド広告主はなぜゲーム内広告に注目し始めたのか。そしてゲーム内広告はブランティング施策においていかに機能するのか。先進的な取り組みを行うネスレ日本社とGumGum社に話を聞いた。(Sponsored by GumGum Japan)

※この記事はExchangeWireの記事を転載・編集しています。

 

ゲーム広告を選択肢としなければ機会ロスに

──自己紹介をお願いします。

小堺氏:ネスレ日本で媒体統轄室マネジャーを務める小堺吉樹と申します。広告会社様と連携しながら最適なメディアプランを設計することが主な業務です。

テレビCMを通じた若年層へのリーチが難しくなってきたことに伴い、デジタルチャンネルを活用する機会が増えているのですが、広告プラットフォームによってユーザー体験は全く異なります。ユーザーの皆さまに広告をいかに受容していただけるかという観点を重視しつつ、それぞれのブランドが持つ課題やコミュニケーションの目的に応じて、メディアプランニングを行っていくことが求められています。

土居氏:コンテクスチュアル広告プラットフォームのGumGum Japanでセールスディレクターを務める土居博通です。ネスレ様には長らくお世話になっており、私を含むチーム体制を構築して対応させていただいています。

ジュンス氏:同じくGumGum Japanで広告オペレーション部署のマネージャーを務めるイ・ジュンスと申します。当社は自社プラットフォームを通じたフルマネージド広告運用業務とDSPを介したプログラマティック配信の双方を行っていますが、ネスレ様のゲーム内広告については後者の対応を行っています。

イェウォン氏:GumGum Japanにてアカウントマネージャーを務めるチャン・イェウォンです。キャンペーンのスケジュール管理やクリエイティブ制作管理およびレポート作成などに従事するとともに、ゲーム内広告のプロジェクトマネージャーを兼任しています。

──ネスレ日本様がゲーム内広告を出稿するに至った経緯についてお聞かせください。

小堺氏:可処分時間の中でゲームは一定の割合を占めていることは認識しており、そこに対してどのようにアプローチするのが効果的なのかは社内で常に議論をしていました。ゲーム上でしか出会うことができない消費者は確実に存在します。

ゲームを通じたコミュニケーションを選択肢として外すことは機会ロスに繋がると考え、当社では、eスポーツへの協賛やゲームコンテンツとのタイアップなどにも取り組んできました。ゲーム配信者によるライブ配信中に当社製品をご紹介いただくという取組みでは、想定を超える数の視聴とコメントが寄せられ、、ユーザーの皆さまのエンゲージメントの高さを目の当たりにしました。

小堺吉樹氏(ネスレ日本)
小堺吉樹氏(ネスレ日本)

2023年秋に刷新した「ネスカフェ」の新コンセプト「Make your world」では、若年層に「ネスカフェ」を”自分のブランド”だと思ってもらうという点に重きを置いており、GumGumのゲーム内広告を活用できるのではないかと考えました。

従来のゲーム内広告とは一線を画す非侵入型

──GumGumが提供するゲーム内広告の概要をお聞かせください。

ジュンス氏:2023年から開始したばかりのまだ比較的新しい広告プロダクトです。インタースティシャルやオーバーレイといった従来のゲーム内広告とは大きく異なり、ユーザー体験を妨げることなく、ゲーム画面の背景などにシームレスに溶け込む非侵入型の広告フォーマットを採用しています。クリック後のページ遷移は行わず、リアル空間の看板広告のような位置付けと捉えてもらってよいと思います。

ネスカフェゲーム内広告掲載事例。資料提供:GumGum Japan
ネスカフェゲーム内広告掲載事例。資料提供:GumGum Japan

ゲーム内の広告枠が何秒スクリーンに映ったか、スクリーンの何%を占めたか、などの厳格な条件を満たしたビューアブルインプレッションに対してのみ課金する点も特徴的です。

イェウォン氏:広告配信面となるゲーム媒体については、残虐なシーンやストーリーなどブランド毀損(きそん)につながるような内容を含むゲームは当然のことながらネットワークから排除することでブランドセーフティを担保しています。

またGoogle Playの評価の平均が4.3以上であり、日本のApple Storeのランキングでも上位100位以内に位置するプレミアム媒体ばかりです。スポーツ、アクション、シミュレーション、レーシングなどのジャンルから約50媒体を網羅しております。

イ・ジュンス氏(GumGum Japan)、チャン・イェウォン氏(GumGum Japan)
イ・ジュンス氏(GumGum Japan)、チャン・イェウォン氏(GumGum Japan)

──本キャンペーンにおけるゲーム内広告の効果についてお聞かせください。

小堺氏:本キャンペーンは、若年層の方々に「ネスカフェ」というブランドを知ってもらう、親しみを持ってもらうことを目的としていましたが、ブランドリフト調査を通じて該当する態度変容があったことを確認できました。

異なるターゲティング設定を行っている他のデジタル広告媒体との比較は難しいのですが、ゲーム内広告という新たなチャンネルを開拓できた点はポジティブに捉えています。

──素朴な疑問として、ゲームに熱中しているユーザーは、ゲームの背景に映し出された広告に関心を向けるのでしょうか。

小堺氏:今回のキャンペーンでは、十分なブランドリフト効果を確認できました。一方で、どのような広告がどのように機能するかをより詳細に把握するためには、他の広告と同様に、継続的にブランドリフト調査を行うなどして検証していくべきでしょう。

イェウォン氏:本プロダクトにおいては、ユーザーが広告を目にしていることを示唆するいくつかの厳格な指標を満たした際のみ発生するビューアブルインプレッション課金を行っています。当社としては、この枠組みを通じて、広告効果を証明していきたいと考えています。

土居氏:過去にはリアルなプロ野球の球場内に設置された看板とゲーム内のデジタル看板で、どちらが消費者の印象に残ったかを比較する調査が実施されており、プロ野球中継の看板が表示される回数や時間の方がより多かったものの、ゲーム内広告の方が記憶には残ったとする結果が出ています。ゲーム内広告のアテンション計測の実証実験も実施されており、近い将来にアテンション指標に基づく最適化も実現したいと考えています。

土居博通氏(GumGum Japan)
土居博通氏(GumGum Japan)

より高度なPDCAの実現に注力

──ゲーム内広告を通じたブランディングキャンペーンは、日本市場ではかなり先進的な取り組みではないでしょうか。

小堺氏:ゲームはもはや特定の趣味ではなく、他のメディアと同じく日常生活に溶け込みつつあると思います。事例に乏しいからといって無視した結果として、ゲームを介して出会えるはずの消費者とコミュニケーションが取れないままブランドが衰退してしまうというリスクを恐れています。

イェウォン氏:当社のネットワークだけでも数千万単位の広告在庫を保有しており、ユーザーの男女比は5:5です。ゲームユーザーはもはやニッチな存在ではありません。

ジュンス氏:ただし、ゲーム内広告に限らず、日本市場はややCPC・CPA至上主義であり、ブランディング施策全般に対する意識が低い傾向にあります。当社のゲーム内広告はそもそもクリック不可の仕様となっているので、CPC・CPA至上主義とはやや相いれない面はあるかもしれません。

イ・ジュンス氏(GumGum Japan)
イ・ジュンス氏(GumGum Japan)

広告会社の皆さまも日本市場の商慣習にのっとりながら日々の業務に忙殺され、新規のユニークな媒体や広告フォーマットにまでなかなか手が回らないという事情もあると思います。これらの課題も踏まえた上で、より良い広告配信環境を整備していきたいです。

──ゲーム内広告は今後いかに発展していくのでしょうか。

小堺氏:ゲーム人口はますます増加していくはずなので、アドネットワーク規模をさらに拡大してほしいです。ネットワークが広がれば、自社のブランドと相性が良い配信面やユーザーが広告を受容しやすいモーメントを選別するなどして、より細かい粒度での広告最適化ができるようになると期待しています。

土居氏:媒体の選別は少しずつできるようになってきました。小堺様がおっしゃるように、広告運用のPDCAを回せるように機能を強化するというのが次のステップです。こうした環境を用意できれば、日本市場においてもゲーム内広告を通じたブランディング施策が盛り上がっていくはずです。


<取材後記>

可処分時間の中で高い割合を占めるゲームコンテンツにおける広告メディアの注目度が高まっています。しかしながら、「広告の受容性」の観点を重視したゲーム内広告は多くはありません。

本記事のゲーム内でのブランド広告活用は、若年層ユーザーのゲーム体験を損なわずに広告への接触を可能にし、ブランドリフト調査によってその効果が確認されました。

今後もデジタル広告をプランニングするなかで、このような広告チャネルの開発や先進的な取り組みを積極的に支援し、デジタル広告や施策を起点にブランドとユーザーの新たな接点を作り出していくことを目指します。

(電通デジタル 石川皓平)

        
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