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100件を超えるキャンペーンの知見を集結! ~Xから始まるCXプランニング「4X」とは?No.1

100件を超えるキャンペーンの知見を集結!
~Xから始まるCXプランニング「4X」とは?

2024/05/07

いまやブランドのマーケティングや広告キャンペーンに欠かせない存在になっているX。

2023年7月にTwitterから「X」へリブランディングを行った後も、日本における利用者は増え続け、4000万mDAU(※1)、6700万mMAU(※2)を超えました。利用者数とともに利用時間も増加。1人当たりの日別平均滞在時間は43分にもなります(※3)。

Xは、若年層はもちろん、ミドル層も多く利用しています。そして、「リアルタイム」の情報を求めてユーザーが集まり、そこで繰り広げられる「本音の会話」とその会話の「拡散力」が、Twitter時代からの最大の強みでもあり魅力です。このことから、幅広い層に広告キャンペーンを瞬時に拡散させる可能性を秘めています。さらに、本音が語られるSNSだからこそ、Xはユーザーインサイトの宝庫でもあります。

Xのクリエイティブ戦略集団「Next」と電通はチームを組んで、X上で話題になる広告キャンペーンのアイデアやフレームの研究を行ってきました。直近2年間で、特に反響の大きかった100件の事例を分析し、傾向を集約した結果、Xを起点として世の中に広まった広告キャンペーンは「4つの視点」が優れていることがわかりました。

私たち研究チームは、この「4つの視点」をひもとき、「Xから始まるCXプランニングのステップ『4X』」を開発し、2024年にローンチしました。

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本連載では「4X」の各ステップについて事例を交えながらわかりやすく解説していきます。初回は「4X」の概要をお伝えします。

※1 mDAU(Monetizable Daily Active Usage):広告収入につながる1日当たりのアクティブユーザー
※2 mMAU(Monetizable Monthly Active Usage):広告収入につながる1カ月当たりのアクティブユーザー
※3 2024年3月時点 (X社調べ)


 

1.【eXplore】 ターゲットのインサイトを発見する

Xを活用して成功したキャンペーンは、「ターゲットインサイトの発見(=explore)」が優れているものが多く、「eXplore」は必要不可欠な要素です。

本音の会話が繰り広げられるXはユーザーインサイトの宝庫です。広告キャンペーンや戦略を立案する際にXでユーザーの投稿をエゴサーチしたり、ゼロ次分析を行ったりすることはプランナーとしてもはや欠かせなくなっています。「Next」では下記のようなフレームを用い、インサイトの発見を支援しています。

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「ブランドが伝えたいことは?」
「オーディエンス(ターゲット)が日々疑問に思っていることは?」
「つい行っている習慣的な行動は何だろう?」
「ブランドについて日々語っていることは?」
「どんな時に会話している?」

など、ブランド、オーディエンス(ターゲット)、モーメントをそれぞれ掘り下げて、上図の3つの円が重なるところを可視化しながら、ユーザーのインサイトを探ります。

そして、3つの円が最も重なるところをブランドとの「発話の着火点」として定義し、Xにおける広告キャンペーンの企画開発をスタートします。このステップは、「4X」の中でも最も大事で、全てのCXプランニングに通じることでもあります。

2.  【eXecute】 エグゼキューションをデザインする

優れた広告キャンペーンは、Xを起点にエグゼキューション(実行)まで一貫してデザインされているケースが多く見られます。それは、ブランドや広告キャンペーンに関するX 上での発話から拡散までがしっかりと設計されているということです。

このステップでは、キャンペーンの全体像を踏まえてハッシュタグを開発することが重要になります。

なお、キャッチコピーとハッシュタグの目的は異なります。キャッチコピーが「言いたいことを伝えるためのもの」であるのに対し、ハッシュタグは「会話を生むためのもの」です。従来のハッシュタグは「アーカイブ」機能がメインでしたが、いまでは「会話を生むためのもの」にシフトしつつあります。

Xで話題になったキャンペーンを分析すると、ハッシュタグは大きく下図の3つに分類できます。

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目的と役割を明確にしながらハッシュタグを開発し、それを出発点としながらキャンペーン全体のコミュニケ―ションを設計していきます。ハッシュタグを開発するときは、ターゲット目線に立ち、下記の5つの視点から考えることが大事です。

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 3. 【eXpand】  顧客体験を拡大させる

このステップでは、広告キャンペーンの展開を時系列で設計して、顧客体験をより拡大させることを考えます。

優れたキャンペーンの多くは、X広告も活用した「ティザー・ローンチ・サステイン」のフレームで展開が設計され、顧客の体験をより加速させています。

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キャンペーンの展開期間を、開始日を起点に「ティザー」「ローンチ」「サステイン」と3つの期間に分けて設計します。

ティザー期には、あらかじめターゲットに興味を持ってもらえるような施策を展開し、事前にしっかりと広告が効く土壌づくりを行います。こうすることで、キャンペーンの成功確率が高まります。例えば、あるキャンペーンではタレントを起用して、商品発売前にプロモーションを行ったところ、プロモーションに接触した生活者は非接触者と比べて、好感度は16%、購入意向は21%高くなりました(X調べ)。

ローンチのタイミングではテレビCMに加え、1日単位で購入でき、瞬間的にリーチを高められる「Xのテイクオーバー(予約型)広告」を実施し、リーチと話題の最大化を狙います。

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出典:35個のローンチキャンペーンのNielsen Brand Effect Studies(2015年9月~2017年8月)のべ調査対象者~5万9000人

そして、サステイン(広告キャンペーンをローンチした後)では、展開期間や運用内容をキャンペーンに合わせて自由に設計できる「Xの運用型広告」などで展開を継続し、ブランドとターゲットの接点を維持させていきます。

このように、広告キャンペーンを3つのフェーズに分けて設計し、それぞれの目的に合わせてターゲットとの接点を創出していくことが、顧客体験を最大化させるポイントです。

 4.  【X(cross)media】X以外のメディアも活用し、さらなる顧客体験の提供を目指す

XとテレビCMを併用するとブランドリフト効果がありますが、XとOOHを組み合わせても相乗効果が期待できます。

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分析結果は、XとLIVE BOARDを同時に実施した直近10案件(その他のメディアに関する接触状況は不問)の平均値

世の中で話題になるキャンペーンは、Xの世界に閉じずに、クロスメディア視点を活用しながら、リアルの世界でもターゲットと接点を作ることを意識しており、より深い顧客体験を生み出しています。また、インフルエンサーやファンの声なども活用することで、よりクロスさせた顧客体験の提供を実現できると考えています。

今回は、「4X」の概要を紹介しました。次回は、「eXplore」について、クリエイターやプランナーが日々どのようにXを活用して企画開発に役立てているか、事例を交えながら紹介します。

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