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東京レインボープライド2024「プライドアクション展」で伝えたかったこと

2024/06/04

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アジア最大級のLGBTQ+イベントである「東京レインボープライド2024」が、去る4月20日~21日に開催されました(※1)。代々木公園(東京都渋谷区)では「プライドフェスティバル」が行われ、LGBTQ+をサポートする団体や企業、自治体などが趣向を凝らしたブースを200以上展開。電通グループはダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)を推進する活動の一環として、8年連続(※2)でブースを出展しました。

電通グループのブースでは、「プライドアクション展」を展開。その日から実践できるLGBTQ+支援アクションを、楽しみながら学んでいただくための企画展で、2日間で延べ3000人を超える方々にご来場いただき大盛況のうちに終わりました。この記事ではブースの企画制作を担当した筆者が、企画の背景から来場者・スタッフの声までをお届けします!

※1=19~21日の3日間での開催の予定でしたが、強風のため初日は中止に。
※2=電通グループ内の組織「電通ダイバーシティ・ラボ」や株式会社電通など、年度によって参加主体は異なります。2024年は電通グループの国内事業を統括・支援するdentsu Japanとしての出展。

 


大きな変化も、小さな行動から!

「8割⇔2割」。何の数字だと思いますか? 実はこれ、LGBTQ+に対する意識と行動のギャップ。電通グループが実施した「LGBTQ+調査2023」で、インクルージョン意識は約8割と高いものの、ジェンダー中立的な言葉を使う人は2割未満など、実際に行動をしている人はごく限定的だとわかりました。(※3)

でも、LGBTQ+の人々が権利を獲得したり、差別的な制度が消えたり、少しずつ生きやすい世界に変えてきたのは、誰かの行動です。意識と行動のギャップを埋め、一人でも多くの人がよりよい世界にするためのアクションを実践してほしい。コミュニケーションをなりわいとする電通グループがそれを後押ししたい。このような考えから、「プライドアクション展」を行いました。

※3 非当事者層の回答結果より。「LGBTQ+調査2023」の結果は下記リンクからご覧ください(https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/001046.html)。
 
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展示エントランスの「はじめに」で企画の背景・意図を紹介。
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「動き」と「発言」を表現できるようにマンガをモチーフとしたアートワークでした。

「プライドアクション展」の構成は大きく分けて、①通りに面したメインフォトブース、②エントランス展示、③奥の展示室の3つ。ここからは、たくさんのプライドアクションを紹介した、③奥の展示室についてレポートします。

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フェスティバルのにぎわいからちょっと離れて、じっくり展示をご覧いただきました。

「コトバ」選びだってアクション

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展示室に入って、最初に見えるのが「コトバ」の展示。言葉選びだって立派なアクションだという考えに基づいて、ジェンダー中立的な言葉を解説と共にご紹介しました。

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ジェンダー中立的な言葉の裏には、中立的ではない言葉がチラ見え。

「コミュニケーション」するときのアクション

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続いての展示は、「コミュニケーション」に関するアクション。誰もが安心して話し合える空間づくりのための言い方や考え方をご紹介しました。一人一人のちょっとした行動の変化で、きっと雰囲気は大きく変わるはず。

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普段のコミュニケーションの状況を想定して、実践しやすいコツも含めて紹介。

よりよく「チェンジ」させ るアクション

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そして3つめが、よりよい社会にするための変革を促す「チェンジ」のアクション。少しハードルが高いものもありますが、できることから始めていただきたいという思いでご紹介しました。

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電通グループ内の当事者が実際に行っているアクションも参考にしながら展示をつくりました。

来場者・スタッフの声

寄せられたコメントをご紹介します!

コミュニケーションをなりわいとしている電通グループならではの「言葉」を大切にしたブースで、自分が普段使っている言葉についても改めて考えさせられました。POPなコミック調のデザインも、どこのブースよりもTOKYO感があり、外国の方にも人気でした!(電通グループ従業員)

普段私が何も考えずに使っていた言葉や行動が気づかないうちにジェンダー差別になっていたことなど、展示の一つ一つに気づかされることがたくさんありました。初めてのTRP参加で、LGBTQ+コミュニティに直接触れたはじめの一歩でしたが、ジェンダー平等についてさらに深く理解していきたいと思いました。(一般来場者)

フォトスポットは写真映えして盛り上がれた。ただ、奥に企画展示があるのに気づかない来場者も多く、ブース設計、動線にもう一工夫できたかもしれない。( 電通グループ従業員ボランティア)

企画展示までたどり着いてくださった来場者のみなさんの多くは、言葉が印象に残ったようです。アクションを紹介していたつもりだったんだけどな……という思いは多少ありつつも、確かにアクションには言葉が付きもの。「プライドアクション展」が生まれるきっかけも、「中立的な言葉を使っている人は2割だけ」という現状だったので、まずは言葉選びから始めようと思っていただけたのなら企画したかいがありました。ご来場ありがとうございました!

「変わるまで、あきらめない。」

今年は、1994年8月に日本初のプライドパレードが東京で行われてからちょうど30年という記念すべき年でした。30年前に200人程度からはじまったパレードは、今年は1万5000人もの参加者に(※4)。代々木公園イベント広場で行われるフェスティバルの規模も年々大きくなり、今年は約27万人の来場者だったそうです(※4)。来場者が多様であれば、楽しみ方や参加する目的も多様――。

今年の電通グループのブースは、お子様やファミリー向けのプログラムが行われた新設の「RAINBOW STAGE」近くに配置され、自治体や大学などのブースを中心とした落ち着いたエリアで、ゆっくりじっくりと展示や撮影を楽しんでいただける環境となりました。ただ、もちろん広い会場ですので、場所によっては大変な熱気と混雑で、安心して見回れなかった方も一部いらっしゃったようです。

たくさんの人にメッセージを届けるための場所であり、自分らしくいられる居場所でもある東京レインボープライドとその前身を作り上げられてきた先人たちに大きな感謝の気持ちと尊敬の念を抱きつつ、より誰もが、より自分らしく、より安心して、より楽しめる、そして、より変化を促せるブース・イベントになるよう一参加企業の担当者として今後とも努力を続けていきたいと思います。

※4=いずれも主催者発表より(https://tokyorainbowpride.com/news/notice/43909/)。
 
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大人気だったフォトスポット!自分らしく撮れたでしょうか?  
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ご来場プレゼント「プライドアクションシール」は全5種。好評につき会期中に配布終了となりました。
<ブース製作スタッフ>
クリエイティブディレクション+コピー:福居亜耶(電通)
アートディレクション:石川平(電通)
デザイン:苅田哲平、烏野亮一(電通クリエーティブX)
製作統括:河合はるか(電通ライブ)
 

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