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DMCラボ・セレクション ~次を考える一冊~No.8

『~編集者のように考えよう~ 

コンテンツマーケティング27の極意』

2014/03/14

最近、クライアントから「コンテンツマーケティングに興味があって、当社でもちょっと取り組んでみたいのですが、どういう風にやっていけばよいか相談させてもらえませんか?」と聞かれることが立て続けにありました。

コンテンツマーケティングという言葉は、調べてみるとネット上では既にバズワードになっているようで、(様々な誤解や、間違った解釈なども含めて)その新しい「手法」への興味がマーケターやウェブ担当者、あるいはブランドの担当やPRの担当者の間で高まってきているようです。

広告会社の中には、「コンテンツでマーケティングを行う?? それって、我々広告会社がこれまでずっとやってきたことなんじゃないの?」と即座に思う方もいらっしゃるかもしれません。

でも、(この本を読めば)答えはNO。広告とは違うということが分かります。

では、コンテンツマーケティングとは、一体、どのようなマーケティングの概念なのでしょうか? それは、僕らマーケターにとってどのようなメリットをもたらすのでしょうか?

本書の第一章から、この言葉の定義となる部分をすこし引用してみましょう。

(コンテンツマーケティングと)典型的なマーケティングや広告手法との違いを挙げるならば、コンテンツを使うことは販売でもなく、広告でもないことだ。

対 象となる消費者グループに対してメッセージをスプレーで噴きつけるようなプッシュマーケティングでもない。むしろ、相手を引きつけるマーケティングである。消費者が必要だと探しているときに、信頼できて、わかりやすく、役にたち、思わず注目したくなり、魅力的で、面白い情報がそこにあるという状態にする こと。つまりは、引きつける戦略のことだ。(下線は筆者)

本書には、コンテンツマーケティングを成功に導かせるためのガイドラインとして、かなり細かいテクニック論や具体的なソリューションやツールも紹介されているのですが、上記の引用の通り、コンテンツマーケティングの一番の鍵は、いかにお客さんを引きつけるか?ということにあるようです。

広告ではいかにお客さんに見てもらうか?(アテンションを稼ぐ)ことに力点があるとするならば、コンテンツマーケティングは、いかにお客さんが自発的に見に来てくれるか(インテンションを誘発する)ことに力点があります。要するに、マーケターがいかにお客さんにうるさい、とか、うっとうしいと思われないように、自然と役に立つ情報を提供できるか? つまり、コンテンツマーケティングを行うためには、マーケターがお客さんに向き合う際の姿勢、大げさに言えば、「思想」がとても大事になってくるのだと思います。

思想が抜けたまま、表面上のテクニックだけを取り入れると、ステルスマーケティングに加担してしまったり、ユーザにうるさいと思われてしまったりして、むしろブランドの信頼を損ねてしまうこともありえます。

ちなみに、こうしてコンテンツマーケティングの基本的な考え方を理解していくと、この本につけられた(ちょっと謎めいた)タイトル「編集者のように考えよう」の意味が分かってきます。

これまでのマーケターは、(未だに打ち合わせなどで、「刈り取り施策」なんて言葉を平気で使う人がいるように)顧客をハントする(狩る)発想でマーケティングのプランを考えてきましたが、これからのマーケターは、コンテンツを使って、顧客に見つけてもらったり、関係性を築いたり、長期的に育てていく、という視点が必要になってくるといえます。

市場を細かくセグメントして、そこにどういうビークルを使ってメッセージをリーチさせようか?と発想するのではなく、潜在的なお客さんが課題に思っているであろうことを想定して、自社のリソースをやりくりしながらその課題に答えたり、楽しませたりするコンテンツを創造していくわけです。そういったことを実現しようと思うと、新聞や雑誌で魅力的な記事を企画している編集者的な視点が必要になりますよね。

もし、今後コンテンツマーケティングがより浸透していくとしたら、コンテンツを作れる人=「編集者」はさらに活躍のフィールドを広げていけるようになるかもしれません。また、これまでの広告を担当してきた人も、発想を変えて、コンテンツマーケティングを理解し、新たなチャレンジをしてみることによって、顧客との新しい関係性を作れるようになるかもしれません。

編集部注:『~編集者のように考えよう~ コンテンツマーケティング27の極意』の翻訳を手がけた電通iPR局郡司晶子氏のインタビュー記事はこちら

          【電通モダンコミュニケーションラボ】