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「ボトムアップ×トップのコミット」で加速
電通のクリエーティビティで推進するDEIとは?

2024/08/27

※この記事は、2024年6月27日「日経電子版」で掲載された記事広告の転載です。
 
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(左から)株式会社電通 執行役員 エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター 眞鍋 亮平 氏、株式会社電通 第5CRプランニング局/フューチャー・クリエーティブ・センター クリエーティブ・デイレクター 部長(GM) 井戸 真紀子 氏、株式会社電通 第5CRプランニング局 DEIコンサルタント 中川 紗佑里 氏


いまやあらゆる企業が推進すべき取り組みとして広く認知されているDEI(ダイバーシティ:多様性、エクイティ:公正性、インクルージョン:包摂性)。国内電通グループ約150社で構成されるdentsu Japanは、広く社会に貢献することを目指してDEIを推進しており、グループ全体の取り組みだけでなく、現場の社員の自発的な取り組みとしてボトムアップによるDEIの推進もなされている。電通の第5CRプランニング局(5CRP)では、現場の社員がゼロから考え立ち上げた取り組みが、部門トップのコミットのもと、電通のクリエーティブ局全体を巻き込む動きとして広がっている。取り組みへの思いや、電通クリエーターならではのアプローチについて、DEIプロジェクトをリードする皆さんに話を聞いた。
 

現場からのボトムアップで始まったDEI推進

―― 5CRPがDEIに取り組むことになった背景・課題感、およびプロジェクト発足の経緯についてお聞かせください。

 

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株式会社電通 執行役員 エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター 眞鍋 亮平 氏

眞鍋:私が執行役員を務める前、2022年に5CRPの局長に就任した際に「高め合う多様なプロフェッショナル」を局のミッションとして定義しました。その当時、114人のクリエーターが在籍していましたが、一人ひとりがプロフェッショナルとしての強みを持ち、多様性を実現できてこそ電通グループの強みになるという思いから掲げたものでした。

しかしながら当時は、例えば女性管理職比率にしても極端に少なく、多様性のある組織とは言い難い状態で、働きやすい環境やルールを整備することが急務でした。そんな中、3人の子育てと両立しながら働いている井戸さんが部長(GM)に就任したことがきっかけとなり、DEIに取り組み始めました。

 

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株式会社電通 第5CRプランニング局/フューチャー・クリエーティブ・センター クリエーティブ・デイレクター 部長(GM) 井戸 真紀子 氏

井戸:管理職になったことで、多様性や女性管理職比率を高めるためには、構造的・文化的な問題に対してアプローチする必要性があることに気づきました。また、世界経済フォーラムのレポートで世界のジェンダーギャップが解消するまでに134年かかるという記事を読み、「クリエーティブの力で “爆速”で解消する、その一歩目となるような取り組みをしたい!」という思いが芽生えたのです。そこで、部員でロンドンの大学院でジェンダーを勉強し、企業のDEIのコンサルティング業務を行っていた中川さんと一緒に、電通のクリエーティブの力を応用して新しいソリューションを作ることにしました。

眞鍋:2人から、「やるからにはここまでやりたい」と企画書と共に話がありました。クリエーティブの力をDEI推進に生かせれば、変化はきっと起きるという予感がありました。

業務で培ったクリエーティブの力をDEIに生かす

―― プロジェクトではどのような手順で取り組みを進めたのですか。また、どのようなところに電通らしさが生かされていますか。
 

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株式会社電通 第5CRプランニング局 DEIコンサルタント 中川 紗佑里 氏

中川:まずは「考えることを変える」「考え方を変える」ためのフレームワークを作るところからスタートしました。「考えることを変える」ために必要なものとしてまとめたのが「考えるべき4つのこと」―― ①なぜDEIを推進するのかという「目的の言語化」、②表出している現象は何かという「問題の共有」、③問題を生み出している要因は何かという「課題の発見」、④何をどう変えていくのかという「アクションの創出」です。

実際やってみて、4つの中でも①が最も重要だと感じました。「何のためにDEIをやるのか?」という視点がないと、その必要性の腹落ちがないまま、言葉だけが上滑りしてしまいます。事業戦略とアラインさせたDEI推進の目的を、部門トップである眞鍋さん自身に言語化していただき、その後のステップを進められたのが良かったです。

また「考え方を変える」ために、以下の5つのステップを設計しました。特に重要だったのはステップ2と4でした。ステップ2ではヒアリングによる定性調査、アンケートによる定量調査、そして女性管理職比率などの指標の可視化を通じて、現状のアセスメントを行いました。最も発見が多かったのは、育児や介護と仕事の両立のなかで困りごとを抱える社員や、電通を退職した元社員へ聞き取りです。敢えて耳の痛いようなこともヒアリングすることで、なかなか表に出ていなかった、たくさんの課題が見えてきたので、この時点で5CRPの全管理職に調査結果を共有するセッションが急遽行われたほどでした。

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井戸:ステップ4では、5CRPの全管理職の方にお声がけをしてDEI推進のためのアイディアを考える「共創セッション」を実施しました。クライアントの方と電通のクリエーティブがワンテーブルで創発し合いながら新しい解を見つける「Future Creative Session」という手法を活用したところ、プロジェクトメンバーだけでは見つけられなかったさまざまな視点、解決策が出てきました。また、セッション後に参加者から「DEIに関心なかったけど、一緒に考えてみたことで、意外に面白いと思った」という声をいただきました。「やらなければいけないこと」ではなく「考えるのが面白い」「やりがいがある」と思ってくれる人が増え、このプロジェクトがさらに広がるきっかけにもなりました。

 

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5CRPの管理職を集めて行った、課題解決のためのアイディエーションセッションの様子


トップのコミットがプロジェクトを加速

―― このプロジェクトがうまく進んでいる要因はどこにあると思いますか。また、取り組みを進めた結果、局内にどんな変化が起きましたか。

井戸:ボトムアップで始まったプロジェクトでしたが、トップのコミットがあったことがとても大きいと思っています。特に、プロジェクトを進める中で、眞鍋さんの熱量がさらに増したことで、プロジェクトの推進力が上がりました。「眞鍋さん、どこでスイッチが入ったんだろう」と度々話題になっていたほどです。

眞鍋:実は私自身、もともとDEIに関心が高かったわけではありません。知識としては知っていましたが、一緒に働く仲間の中にそこまでの働きづらさを抱えている人がいるとは思っていませんでした。しかし、電通を退職した元社員へのヒアリングから、「あのまま電通にいたら、私は2人目を産もうと思わなかった」という話が出てきて衝撃を受けました。

一方で、DEIの取り組みを進め、職場の雰囲気が変わっていく中で、3人目のお子さんを産もうと決断をした女性クリエーターが出てきたのです。その話を聞いたとき、井戸さん、中川さん、私の3人で嬉しくて泣きそうになりました。「命に関わるプロジェクトなんだ」と改めて気づかされたんです。身近な人が幸せになる姿を目にすることができるというやりがいを見つけられたのが、DEI推進の思わぬ喜びでした。

この1年半以上にわたるプロジェクトの取り組みを見てきた中で、私のような管理職を務める男性クリエーターの間でも当事者の立場になって考えようという空気にガラっと変わったと感じています。

中川:5CRPでの取り組みは、ボトムアップの施策とトップのコミットの両方があったからこそ、局員の意識や空気が一気に変わったのだと思います。トップがコミットし、課題解決に向けて動いていること自体が、これまで声を上げづらいと感じていた人への応援になります。また、DEIを担当者のものだけではなく、組織で「みんなごと化」することで、それまで関心がなかった人も一緒に考える仲間になってくれました。

―― DEI推進に関して、今後計画していることや展望についてお聞かせください。

眞鍋:今まさに、具体的なアクションのプランニングを、現場の第一線で活躍するクリエーティブ・ディレクターがチームを組んで進めており、その内容や結果についても今後発信していければと思います。また、全社ミーティングなどで5CRPにおける取り組みを発表する機会を設けるなどして、クリエーティブ局全体、ひいては電通グループ全体に広げていきます。さらに将来的には、私たちが培ったノウハウ・知見をクライアントワークへ生かし、DEI推進に課題を持つお客さま企業へのコンサルティングやソリューション提供にもつなげられたらと考えています。

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著作・制作 日本経済新聞社(2024年日経電子版広告特集)

 

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