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オーディエンス研究から見つける新たなアプローチNo.4

Z世代を、ミレニアル世代、Y世代と比較してみた~そのメディア意識とメンタリティ~

2021/12/15

電通メディアイノベーションラボでは、ビジネスへのヒントや新しいマーケティングへの知見獲得を目的として、生活者を情報行動やメディアとの関わりの視点から研究し情報発信するオーディエンス研究プロジェクトを推進しています。今回は「Z世代」をテーマに、研究結果を紹介します。

2021年は「Z世代」という言葉を頻繁に耳にしました。彼らは、次代の消費を担う若者としてマーケティングで注目を浴びています。また、今後の日本人の情報行動やメディア利用の展望においても重要ターゲットです。

当ラボでは、2021年に東京大学名誉教授の橋元良明氏(現:東京女子大学教授)と共同で、メディア意識やメンタリティに関する調査を行いました。今回は、そのデータを基に、Z世代の持つ特徴を、その先行世代となるミレニアル世代やジェネレーションY(以下、Y世代)と比較しつつ考察してみたいと思います。

※Z世代は一般には1990年代半ばから2010年くらいまでに生まれた層といわれます。本記事においては、2021年における15~24歳(1997~2006年生まれ)を「Z世代」として分析しています。同様に、25~34歳(1987~1996年生まれ)を「ミレニアル世代」、35~44歳(1977~1986年生まれ)を「Y世代」、45~54歳(1967~1976年生まれ)を「Z世代の親世代」、55~74歳を「シニア世代」と表記しました。

※なお、世代の年齢区分については論者によりさまざまな言説があり、また、ある年齢を境にくっきりと分かれるものでもなく、前後の世代に重複する部分が見られることもあることはご承知ください。
 
世代区分とサンプル数
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先輩世代の「ミレニアル世代」と「Y世代」の特徴とは?

Z世代の比較対象とするミレニアル世代とY世代について、先に軽く説明します。

Y世代は、おおむね1970年代後半から80年代半ば生まれの世代です。Y世代が成人したころ、パソコン用のOS「Windows95」がローンチされました。当時大学生くらいになっていたY世代は、このOSの誕生により、縦横無尽なネット活動が本格的に行えるようになりました。就活では、この世代から初めてリクナビ等が活用されるようになり、また、この世代からは多くのIT企業の創業者が生まれました(ミクシィ、GREE、はてな、2ちゃんねる、など)。

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Y世代はバブル崩壊の影響を受け厳しい就職難を経験したため氷河期世代と呼ばれ、ロスジェネという呼称も生まれました。一方で、苦境を経験したことで反骨精神が強くなり、自分をしっかりと見つめるマインドも養われたともいわれます。そのようなY世代の心を象徴するかのように、1990年代の後半には、テレビでは「自分探し」系のドラマも多く作られました。

この世代からは、先輩から飲みに誘われたときに「自分は今晩やることがありますので」とキッパリ断ることができる人が現れた、ともいわれます。また、青春期にはピチカート・ファイヴや小沢健二ら、いわゆる“渋谷系”アーティストによる都会的な楽曲がはやりました。

次にミレニアル世代ですが、この世代は1980年代半ばから90年代半ばに生まれ、日本では「ゆとり世代」と重なります。ゆとり教育を受け、小学校の運動会では1等賞を設けない徒競走なども行われました。

彼らは、マインド的には「仲間」「一致団結」といったつながり感覚を重視する傾向があります。例えば、仲間でファミレスに集まると、互いの頼むメニューがかぶらないように気を使い合うなど、常に周囲の空気を読むような傾向が見られたことも特徴の一つです。

SMAPが「世界に一つだけの花」で “ナンバーワンにならなくてもいい♪” と歌いヒットしたのが2000年代初頭でしたが、時代の空気感を反映していたとも言えそうです。「飲み」に関する対応では、Y世代が先輩からの誘いを断ったのに対し、つながり感覚を重視するミレニアル世代は「ぜひ行きましょう!」と快諾し、“飲みニケーション文化”が復活したともいわれます。

情報行動に関しては、Y世代がWindows95搭載PCでネットの大海原へ進出したのに対し、ミレニアル世代は1999年に誕生したNTTドコモの「iモード」の影響を受け、ケータイからネットの世界に入っていきました。そして、ケータイのキーをものすごいスピードで打ちまくり、テキストベースで友達と一日中しゃべりまくるスタイルが見られました。例えば、「今、バイト?」「どこにいるの?」「まだ起きてる?」などといった具合に、24時間、友人同士で動静を確認し合うこともよくありました。

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「Z世代」の情報行動とコミュニケーション

さて、本題の「Z世代」ですが、Z世代は10代でスマホの誕生に遭遇しています(iPhoneの国内ローンチは2008年)。ミレニアル世代が10代でケータイからネットの世界に入っていったのに対し、Z世代は10代からスマホに接し、SNSが水や空気のように当たり前に存在する環境下で育ちました。

ミレニアル世代は身近でリアルな友達とつながり、利用するSNSも知っている人から承認を受けて始めるミクシィのようなサービスが中心でしたが、Z世代はより多様なSNS、例えばTwitterやInstagramを使い、リアルで会ったことのない人も含めたより広い世界とつながりコミュニケーションを図っています。

また、Z世代はYouTubeなどの動画サービスの影響も強く受け、動画を通したコミュニケーションも活発で、一日中動画漬けといったライフスタイルの人も現れました。昨今では、GoogleやYahoo!で検索する代わりに「いきなりYouTubeで検索」といった行動も、この世代を含めて浸透してきています。

「Z世代」のメディア意識とメンタリティ 

今回の調査では①「テレビ放送」②「インターネット情報(※注:ネット動画・SNSは除く)」③「ネット動画」④「SNS」の4つの情報源について、おのおのの持つ機能や役割・効用への意識に関する質問を行いました。

【図表1】は、4つの情報源に対し「信頼できる情報が得られる」「社会の空気感を知ることができる」「日常的に触れていないと世間の常識が分からなくなる」「価値の高い内容に触れられる」「感動を得られる」の5項目について「そう思う」と答えたZ世代の割合です。

【図表1】

4つの情報源の機能・役割への評価(世代別)
橋元教授&電通 2021年共同調査

「感動を得られる」でネット動画の評価が高く、「社会の空気感を知ることができる」はSNSの評価が高いなど、Z世代がネット系を高く評価する傾向が出ました。他方、「信頼できる情報が得られる」では、テレビ放送が頭1つ抜きんでて高くなっているのが興味深いところです。

そこで、今度はテレビ放送のみを取り出し5つの意識について「世代別」の比較を行ってみました。【図表2】に見る通り、Z世代では各項目へ「そう思う」と回答した人の割合が、ミレニアル世代やY世代よりも高い、という結果でした。

【図表2】

テレビの持つ機能・役割への変化
橋元教授&電通 2021年共同調査

テレビ放送の黄金時代を経験して育った年配層ほどテレビへの評価が高く、逆に、ネットの影響を受けた若い層になるほど低くなるかと思われましたが、この結果によると、Z世代はテレビに対し確かな肯定感を持ち、ミレニアル世代やY世代を飛び越え、さらに上の「Z世代の親世代」に近い感覚を有しているようです。

次に、メンタリティに関する質問の結果ですが、【図表3】のように、Z世代は「社会の問題や世の中の動きに関心が高い」と答えた割合がミレニアル世代より高く、「第三者の立場に視点を移してものごとを見る方だ」については比率が最も高いという結果でした。彼らは社会への関心が高く、世の中をクールに鳥瞰して捉える向きがあり、“大人のメンタリティ”を持つ若者、と言えそうです。海外では、若き環境活動家として知られるグレタ・トゥーンベリさんもZ世代に相当します。

【図表3】

社会への関心やものごとの見方
橋元教授&電通 2021年共同調査

“大人のメンタリティ”と親世代に近いテレビ意識の背景は?

Z世代に見られる“大人のメンタリティ”、そしてテレビへの高い肯定感は、彼らの育ってきた時代背景、中でも、多感な思春期に起きた事象の影響から読み解くことができるかもしれません。

まず、彼らが10代のころ起きた歴史的出来事は、何と言っても2011年の東日本大震災です。Z世代のうち2000年に生まれた人は、小学校高学年でこの災害を経験しました。当時子どもだったので、スマホや自分専用PCを持つ人がほとんどいなかった中、彼らは連日流れるテレビの報道を通して津波の映像、福島第一原発での爆発、右往左往する国の状況を目の当たりにしたわけです。これによって、テレビというものの「存在感」「影響力」が彼らの心へしっかりと刻印されたと想像できます。

当時、ネットでは種々のデマも流れたりしましたが、そういった無根拠な情報が伝達されるリスクの少ないテレビに対する「信頼感」も根付いたのではないでしょうか。同様に、「人生は何が起こるか分からない」といったマインドが芽生えたことも推察されます。

震災以外でも、2008年のリーマンショック、そして2009年の民主党政権誕生や2012年の政権交代などのテレビ報道は、視聴者に強いインパクトを与えました。Z世代の心へ少なからず影響を与えた部分もあるでしょう。

ちなみに、2020年に行った電通の独自調査では、震災直後からテレビで大量に流れることとなったACジャパンの広告「あいさつの魔法(ぽぽぽぽーん♪)」に影響を受けたと回答した人の割合は、Z世代(ここでは調査年の2020年に15~24歳だった人)が最多でした(【図表4】)。

【図表4】

ACジャパンCM「ぽぽぽぽーん」に影響を受けた人
影響を受けた出来事に関する質問より 2020年電通単独調査

Z世代におけるテレビの高い存在感は、彼らがSNSとともに育ってきた「ソーシャルネーティブ」であることも要因として挙げられるでしょう。彼らは、テレビ番組を見てその内容についてSNSで語り合う「ソーシャル視聴」が浸透した世代でした。

例えば、バラエティ番組を見て「これヤバっ!」「ありえねー」などと突っ込み合ったり、音楽番組で見たK-POPの人気グループをまねて、友達と「ふたごダンス」動画を撮って動画サイトへ投稿したりしました。映画「天空の城ラピュタ」が地上波で放送され、見ていた人が一斉に「バルス!」という言葉をTwitterでツイートし、1秒間当たりツイート数の世界新記録を樹立したこともありました。

このようなソーシャル視聴行動においては、テレビ番組をそもそも見ていて、そのコンテンツについて知っておくことがSNSで盛り上がるための「参加条件」となっていたわけで、入り口としての存在であるテレビのプレゼンスを高めていたとも考えられます。

さらに昨今では、「テレビからSNS」という潮流のみならず、SNSで話題になったものがテレビに流れ、それがまたSNSへ還流してくるといった新しい潮流も生まれており、テレビとSNSの関わりがさらに密接になっている、といえます。


今回の調査からは、Z世代がそれ以前の若者像とは少し異なる傾向を持つ世代であることが分かりました。ゆえに、例えばマーケティングの領域では、彼らの持つ社会意識の高さや鳥瞰志向といったものへ十分留意したメッセージングが求められるでしょう。

また、テレビ業界の方々へは、彼らの心へしっかりと刻印されているテレビの存在感と信頼感が維持・拡大されるよう、引き続き価値の高いコンテンツの発信を期待しています。最後に、無理やり「飲み」の話にからめて締めくくると、Z世代は「リモート飲みデビュー世代」とでもなるでしょうか (笑)。

【電通&橋元教授共同調査・調査概要】
調査対象:全国15歳~74歳男女(高校生以上) 
調査時期:2021年7月9日~13日
有効回収票:7717票
調査方法:インターネットパネル調査
 
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