大企業のビジネスコンテスト審査員をしてわかった、3つのこと
2024/12/20
先日、とある大企業で行われている社内新規事業のビジネスコンテストの審査員を担当させていただきました。今、多くの企業で新規事業創出プログラムが行われていると思いますが、今回担当させていただいたのは「事業のアイデアや計画の中から、事業化へ準備を進めるもの」を選定するフェーズで、私以外にも、社内外からさまざまな専門家が参加し書類審査、ピッチ審査を行うというものでした。
今知っておきたい、DXやデジタルプロダクトに関することを中心にお届けする本連載。第5回となる今回は、デジタルプロダクトの支援を行っているGNUSとして新規事業について重要だと思うことについて、3つお話しします。
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デジタルプロダクトは、新規事業には欠かせない要素になりつつある
今回のプロジェクトでは書類審査で約50件の事業アイデアを審査し、ピッチ審査で8件の事業アイデアを審査したのですが、8割以上の事業案においてデジタルプロダクトが必要になる、もしくは事業の成功において非常に重要な役割を果たすものでした。
もちろん、事業アイデアとしては、エンタメ、医療、DEI、インバウンドなど多岐にわたる事業が企画されていました。ですが、事業領域に関係なく、ソフトウエアやモバイルアプリ、ウェブサービスといった、デジタルプロダクトが活用されるものが多くありました。
事業推進者(創業者)は必ずしもデジタルプロダクトの知見があるとは限らない
多くの事業アイデアにおいてデジタルプロダクトが重要な役割を期待される一方で、事業推進者(創業者)の中にデジタルプロダクトの知見が十分ではない場合が多く見受けられます。
これは大企業の新規事業に限ったことではないかもしれませんが、事業アイデアを見つけて推進していく人がデジタルプロダクトの知見を持っている可能性が低いのは当然のことだと思いますし、スタートアップのCTOのような役割を事業推進者に担わせることはかなり難しいことだと思います。
事業推進者に必要なデジタルプロダクトスキル
では、新規事業を推進する人にとって必要なデジタルプロダクトスキルとは一体何なのか、そしてそれはどうすれば習得可能なものなのでしょうか。
エンジニアやデータサイエンティストのスキルは全く必要ではなく、本当に必要なのはデジタルプロダクトを徹底的にユーザー視点で使い、ユーザビリティUXについて論理的に評価するスキルです。
もちろんその中で、テクノロジーについての知見が必要になることもありますが、テクノロジーの専門家である必要はありません。
もう一つのスキルはプロダクトを改善するためのPoC計画を立てるスキルです。自分が企画しているプロダクトはユーザーにとってどのような価値を提供できているか、また、改善すべき点はどこなのかを検証することができるのが重要です。
大企業の新規事業に限らず、スタートアップにおいても、事業に必要なデジタルプロダクトをいきなり完璧に作ることは不可能です。細かいサイクルでユーザー視点でのテストを繰り返しながら、デジタルプロダクトを成長させるために必要なことは、「事業推進者がプロダクトオーナーとしてプロダクトの提供価値に徹底的にコミットする姿勢」と「基本的なプロダクトマネジメントスキル」です。
GNUSでは、社員を中心にプロダクトオーナーとしてのスキルを習得するためのトレーニングを行っています。それによって必ずしも現時点でテクノロジーの専門家ではない人材でも、プロダクトオーナーやプロダクトマネージャーとしての役割を習得できるようになっています。みなさんの組織の新規事業において、プロダクトマネジメントのスキルが不足していると思った際は、ぜひご相談ください。
最後に、GNUSは、2024年7月29日をもって、創立5周年を迎えることができました。GNUSは当時電通からの出資を受けて、大企業の新規事業という形で設立された会社です。これまでの連続的な成長を大切にしながらも、これから次の5年、「非連続な成長」を遂げる組織を目指していきます。