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書籍出版記念!ポストSDGsのビジョンを描くにはNo.1

「未来コンセプト」とは?未来は、これからのビジネスツール!

2025/08/27

「未来を考えるなんて、専門家やSF作家の仕事じゃないの?」
正直そう感じる方も少なくないかもしれません。忙しい毎日の中では、「10年後の世界」よりも「明日の締め切りや納品」に意識が向いてしまうのが当然です。けれど、社会や市場の変化が読めなくなっている今、むしろ私たち一人一人に問われているのは、「未来」を考える、構想力だと私は考えています。

ごあいさつが遅れました。電通グループ横断組織「未来事業創研」の山田 茜と申します。2025年6月、私たち未来事業創研にとって初の書籍「未来思考コンセプト―ポストSDGsのビジョンを描く」が発売になりました。そこで、書籍の発売を記念した特別連載をスタート。

本記事では、なぜ未来を描くことが大事なのかを説明した上で、「未来」が重要なビジネスツールになり得る理由  を解説します。

未来思考コンセプト―ポストSDGsのビジョンを描く
発行:クロスメディア・パブリッシング/編著者:電通未来事業創研
mirai01ポストSDGs時代を目前に、未来への期待よりも課題が語られやすい今だからこそ、「未来は予測するものではなく、つくるもの」という考えを大切にし、「つくりたい未来」を描くことの必要性をビジネスと未来の関係性を交えて実用的にまとめた一冊。

 

未来を描くことで、よりよい社会をつくっていく


 

2021年に設立した電通グループ横断組織「未来事業創研」は、今年で5年目に入り、これまで数多くのクライアント案件に関わってきました。年々引き合いが増えていることもあり、未来に対するニーズの高まりをひしひしと感じる日々です。

その中でも大きく3つのニーズがあることに気が付きました。 

  1. 未来について知りたい
  2. 未来を活用して新しいビジネスや事業を考えたい
  3. もっとビジョナリーに、未来をよくする取り組みをしたい

こうしたニーズにわかりやすく、面白く応えることで、多くの方に未来を考えることの大切さを感じていただき、よりよい社会やくらしに向けた変化を後押ししたい――。そう考えた私たちは、未来事業創研が提唱している「未来コンセプト」の書籍化に向けて、新たなプロジェクトを立ち上げました。

そして、こちらからいくつかの出版社にご相談し、お話する機会をいただく中で、ビジョンが一致したクロスメディア・パブリッシング社からの出版が決まりました。完成した書籍「未来思考コンセプト―ポストSDGsのビジョンを描く 」には、未来事業創研の開発したツールや、未来に関するナレッジ、未来を構想するコンテンツやフレームワークがぎゅっと詰まっています。ぜひお手に取っていただけますと幸いです。

そもそも「未来コンセプト」とは?

未来事業創研の提唱している「未来コンセプト」とは、「つくりたい未来像」を描き、その未来を実現するために必要な事業や活動をどのように進めていくかという指針を言語化したものです。

mirai02位置付けとしては、描いた未来に向けて、現在からどんな取り組みをしていけばよいかという方向性を示した太い矢印のようなものです。この矢印に沿う手段を選択し、進捗(しんちょく)を管理していくことで、一歩ずつ着実に「つくりたい未来像」の実現に近づいていきます。  

「未来コンセプト」をチームや社内外で共有することで、周囲を巻き込みやすくなり、迷ったときの判断軸にもなります。さらには、自分たちの存在意義が明確になり、組織のアイデンティティの創出にもつながっていきます。これまでの慣例や前例という壁に思い悩むビジネスパーソンにとっても、ブレークスルーの一助となるかもしれません。

未来は、絵空事でも占いでもありません。明日をつくるための、極めて実用的なビジネスツールになり得るものです。未来を描くことは、戦略設計にとどまりません。共感や行動を生む取り組みの起点にもなるからです。生活者だけでなく、従業員や取引先、社会全体を巻き込む原動力となる未来像を描けるか。採用やブランド選定の現場でも、「この企業はどんな未来を描いているか」が問われる時代になりました。未来像を語れる組織こそ、選ばれる組織になりつつあります。

書籍内では、「つくりたい未来像」の描き方やフレームワークを活用して「未来コンセプト」を導出する方法を紹介しています。

未来コンセプトを言語化する前に必要なこと

未来コンセプトを言語化する前に必要となるのが「つくりたい未来像」の価値を明確にすることです。そして、その価値が現在どのような状況なのか、価値は現状では存在しない全く新しいものなのか、別のもので代替されていないかを明らかにすることが求められます。加えて、自社が現時点でその価値の提供に何かしらかかわっているのかも、確認しておく必要があります。 

本書では、バックキャストで、ビジョンを実現するための具体的な商品・サービスの企画や事業アイデアを考える方法を説明しました。数多くのアイデアを出し、可能性を網羅した上でアイデアを評価するのですが、実際に取り組むものは評価結果も踏まえつつ、何かしらの視点を基に選定することになります。高い評価のアイデアであっても、自分たちが取り組むべきものとそうでないものが混在しますので、その中から「これだ!」というものを選定するための基準が未来コンセプトになります。自社の現在地を踏まえた未来コンセプトを定義することで、アイデアを絞り込むための基準になるだけでなく、ゴールにある未来の価値とそれぞれのアイデアをひもづけて、さらに魅力的なアイデアにすることも可能になります。 

未来をつくる力に必要なのは、専門知識だけではありません。重要なのは、「問いを立てる力」や「仮説を描く力」、つまり構想力です。

AIが日常に溶け込んだ今、「何を構想し、どう使うか」は人間の想像力にかかっています。生成AIやシミュレーション技術の進化によって、誰でも未来を“考える道具”は持てるようになりました。次に必要なのは、それを使って「どんな未来を見たいか」を描こうとする意志です。

誰にでもできる「未来を描く」メソッド
 

いつもと同じ環境で同じメンバーと現実からジャンプした新しい発想をしようとしても、なかなか難しいかもしれません。だからこそ未来事業創研の存在価値があるのです。みなさんのクリエイティビティを、私たちが底上げしたり、引っ張り出したりして、具体的な未来像に落とし込んでいく。まさにセッションによって、未来像を生み出していくのが特徴です。

つくりたい未来像を解像度高く描くためのツールや、未来や理想像を設定し、そこから逆算してビジネスを考えるメソッドも取りそろえています。

  • 未来の仮説探索を行う「未来曼荼羅」
  • 100のテーマを掛け合わせて未来社会を考える「未来ファインダー100」
  • 未来の生活者が何を望むか想像する「普遍的11欲求」
  • 未来の生活行動時間を予測する「Future Time Use」
  • 生成AIを活用して未来の生活者像を具体化する「未来人ジェネレーター」

未来は、思いがけずやってくるものでも予測するものでもなく、思い描くことで「つくる」もの。この連載を通して、未来は実用的なビジネスツールであることを実感していただけたらうれしく思います。

みなさまに「未来」を少しでも身近に感じていただけるように、そして「未来」を今のビジネス課題解決に役立てていただけるように、次回は未来を描くポイントを深掘りして解説します。どうぞお楽しみに。

問い合わせ先:未来事業創研(担当:吉田・山田)  
future@dentsu.co.jp


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