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ワカモンのすべてNo.23

【データ】関西と、中部のイマドキのワカモン事情

2014/08/27

“ワカモンデータ”では「47都道府県のワカモンを分類してみた」と題して、全国47都道府県の15~24歳の若者を、8つのパターンに分類してご紹介してきました。

今回の分析では、関西と中部エリアに着目し、それぞれのエリアにはどのパターンの若者が多いのか、関西ワカモンの大蔵桃子と、中部ワカモンの高橋奈々海がそれぞれ分析を行います。


■関西エリアは「幸せマイライフさん」の割合が高い

まずは大蔵が、関西の若者を分析します。

今回のクラスター分析で、関西エリアの特徴として、「幸せマイライフさん」の割合が、全体(14.9%)と比較して、16.3%と高いということが分かりました。

「幸せマイライフさん」とは、ファッションや美容、ダイエットなどに関心が高く、エンターテインメント情報にもアンテナを張っている。にぎやかなところが好きで、社交性が高く、買い物も好き。テレビ、スマートフォンでのインターネット利用時間が長い。またSNS利用が活発なタイプ。

今回は、関西の「幸せマイライフさん」な学生にヒアリングし、関西ワカモンの実態を探ってみました。

バーチャルより、リアルコミュニケーションを好む関西ワカモン

「にぎやかなところが好き」「初対面の人でもすぐ打ち解けるタイプである」の数値が、他のクラスターや全体値と比較して高い「幸せマイライフさん」。

大阪の大学生に聞いてみると、「リアルな場で、初対面でも、わいわい過ごすことが好き」だと話す学生が多いことが特徴的でした。彼ら彼女らのSNSの使い方を探ってみると、SNSをリアルコミュニケーションにひもづいた使い方をしている若者が多いことが分かりました。

「友達が梅田にいるってことが、フェイスブックやツイッターで分かれば、すぐ電話で連絡取って、会うんです。そのために、フェイスブックとツイッターをめっちゃ見てます。」と語る女の子に同意見な男の子も何人かいたように、関西ワカモンのSNSの利用は、“リアルな場で会う”ための“イマドコいる”情報収集手段として使われることが非常に多そうです。

東京よりも、海外・関西志向

「幸せマイライフさん」の特徴として、新しいモノ・流行モノ好きだったり、海外物好きだったりと、ミーハー感が強い傾向があります。

その視点で関西ワカモンを見てみても、少し特徴がありました。最近関西で初めて実施されたカラーラン(コース内で、色とりどりの「カラーパウダー」を浴びながら走るイベント)は、学生の中でもかなり話題になったようです。「ミーハーな人は周りを見ても多く、新しいブランドや商品、あと友達とわいわい楽しめるものには、すぐ飛びつく人が多い」と話していた大学生にどのように情報収集しているのか聞いてみると、どうやら関西以外の国内の情報よりも、海外のイベントやブランド、商品をネットでリサーチしているらしいのです。

「カラーラン」については、実は東京の方が先にイベントを実施していたということを伝えたところ、知らなかったようで、東京や国内の他エリアの情報については、あまりリサーチしないという傾向があることが分かりました。

「東京に何が上陸したか、東京で何がはやっているかよりも、海外で何が話題で、何がはやっているかの情報を集めて、それらが関西に上陸するタイミングが分かれば、周りの友達を誘いまくります!東京のことなんてあまり意識してないです(笑)」と答えた女の子の意見に賛同した男子学生も、「周りの友達を見ていても、海外のものがまず東京に上陸しているなんて、みんな思っていないと思います」と言っていたほど。

関西のミーハーワカモン「幸せマイライフさん」たちは、あまり東京を意識せず、海外や関西に関する情報にアンテナを張って生活しているようです。(大蔵桃子)


■中部エリアは「しっかりものな地元loveさん」の割合が高い

続いて、高橋が中部の若者を分析します。
中部エリアの特徴として、「しっかりものな地元loveさん」の割合が、全国平均(14.5%)に比べ、中部は18.5%と高いことが挙げられます。

「しっかりものな地元loveさん」とは、地元愛が強く、地元の政治・行政や社会問題への意識が高い。

地域の行事やお祭り、ボランティア活動にも積極的に参加し、義理人情を大切にして、周りとすぐ打ち解けるタイプ。

電通若者研究部(ワカモン)実施の調査データと、名古屋の学生に実際にヒアリングを行った結果から、「しっかりものな地元loveさん」はどんな若者なのかを見ていきましょう。

行政や企業とともに地元をしっかり盛り上げる、中部のワカモン

若者の8つのパターンの中でも、「しっかりものな地元loveさん」と若者全体の違いを見てみると…。

地元への愛着を持っているだけでなく、地元の動向(政治・行政)に関心を持ち、地元の行事に参加するという「アクション」を起こしていることが分かります。

実際に名古屋の学生に、地元へのアクションをなにか行っているか聞いてみると、「“どまつり”というイベントに毎年参加しています。真夏の恒例イベントで、700人ほどボランティアが参加していて、学生の実行委員がそのボランティアをまとめているんです」。
“どまつり”とは、「にっぽんど真ん中祭り」の通称で、日本のど真ん中、真夏の名古屋を舞台に繰り広げる踊りの祭典のことです。国内外から集結する約200チームが踊りを披露し、来場者は200万人を超えています。

名古屋の街を大きく盛り上げるこのイベントでは毎年、学生の実行委員がステージの台本づくりや、運営を担っています。協賛社集めも学生が行っていたこともあるようです。
また、「冬には“キャンドルナイトナゴヤ”で、キャンドルをひたすら並べました。テレビ塔の上から見下ろすと、メッセージが読めるようにしたんです」という学生も。

名古屋には、「ナゴ校」という多くの大学の学生が参加するプロジェクトがあります。
名古屋市が学生の活力による魅力あふれる街を目指し、2012年春に開校した、学生が課外活動を実践するための仮想キャンパスのことです。

活動としては、名古屋の街を盛り上げるイベント“キャンドルナイト”“学生EXPO”“名古屋まつり”の運営に携わったり、Ustreamを通じて学生の意見を発表したり、行政と学生が共に地元を盛り上げる活動を行っています。

このように、中部の若者は、行政・企業・団体の力をうまく借りながら、地元を盛り上げている様子がうかがえます。

「おすみつき」のトレンドをツイッターで把握、地元の情報は「おひざもと」の地元新聞でチェック

続いて、「しっかりものな地元loveさん」のメディア接触を見ていきます。
1日平均の、メディアの接触時間を表にしたものがこちらです。
*カッコ内の順位は、若者8パターンのうちの、接触時間の順位です。

最も接触しているメディアはテレビ、次いでスマホです。(赤点線箇所)
8パターンのどの若者についても、この傾向は変わりません。

実際にメディア利用について名古屋の学生に聞いてみると、「最近スニーカーがはやっているけど、ツイッターで東京の友達や芸能人が履き始めているのを知って、それから3カ月後に名古屋の友達も履き始めた。流行の波がやってくるのがツイッター見てると分かる」という意見がありました。

東京で今、はやっている!という東京の看板がついた「おすみつき」の情報をリアルタイムでツイッターから得ていること、また、その波が遅れてやってくる「流行のタイムラグ」まで理解しているところが興味深いです。

また、「しっかりものな地元loveさん」は、「新聞」の接触時間が他のパターンと比べて長い点が特徴的です。(青点線箇所)

新聞については、「中日新聞が実家にいつも置いてある」という意見が多数。

接触時間としてはもちろん、スマホやパソコンの方が長いですが、実家暮らしの多い中部エリアの若者にとって、「おひざもと」の地元の新聞の定位置が築かれているということでしょうか。

他エリアよりも「しっかりものな地元loveさん」が多い中部エリア。
実態を見てみると、「社会貢献」「地元盛り上げ」という言葉に対し肩ひじを張らず、自分たちも楽しみながら自然にアクションができていることがうかがえました。
また、ツイッターなどのSNSを通じて流行は「リアルタイム」に把握するが、実際の流行は他エリアと比べて「タイムラグ」があることを理解している点など、地方の「イマドキのワカモン」の情報接触行動のヒントが見られたのではないでしょうか。(高橋 奈々海)


関西ワカモンと中部ワカモンによる、各エリアの若者の分析でした。

「都会の若者」「地方の若者」とひとくくりにされて語られがちな彼らですが、エリア別に丁寧に違いを見ていくことで、その差がしっかりあることが分かります。
引き続きワカモンは、各エリアのワカモンの声にしっかり耳を傾けていきたいと思います。

〈分析概要〉
※ビデオリサーチ「J-READ」のデータを元に因子分析、クラスター分析を実施。
電通が独自に分析を行った。複数都道府県をくくる集計は地区人口ウエートを加味して算出。
使用データ:J-READ(全国新聞総合調査)
調査主体 :ビデオリサーチ
調査エリア:全国47都道府県
分析対象:15~24歳の男女4193サンプル(J-READ全体では15-69歳 2万8826サンプル)
調査時期:2013年10月20日(日)~10月26日(土)
調査方法:無作為電話番号による郵送調査


「電通若者研究部ワカモン」ロゴ

【ワカモンプロフィール】
電通若者研究部(通称:ワカモン)は、高校生・大学生を中心にした若者のリアルな実態・マインドと向き合い、彼らの“今”から、半歩先の未来を明るく活性化するヒントを探るプランニングチームです。彼らのインサイトからこれからの未来を予見し、若者と 社会がよりよい関係を築けるような新ビジネスを実現しています。現在プロジェクトメンバーは、東京本社・関西支社・中部支社に計14名所属しています。ワカモンFacebookページでも情報発信中。