セッション#2-1 ペットオーナーが得ているモノ、目指すモノ。

人もペットもうれしい社会を。 №6

  • おおたわ 史絵
  • 大崎 孝太郎
  • 遠藤 道夫

2014/09/03

セッション#2-1

ペットオーナーが得ているモノ、目指すモノ。

今回のゲストは、内科医・作家として活躍するおおたわ史絵さんです。大の愛犬家で、盲導犬募金活動にも参加しているおおたわさん。ペットオーナーや医師の立場から人とペットが共生する社会の可能性について、Think Pet Projectメンバーの大崎孝太郎さん、遠藤道夫さんと語り合いました。

 

犬は社会に適応する動物

大崎:おおたわさんは犬を2匹飼っているんですよね。今飼っている犬たちとの出会いを教えてもらえますか?

おおたわ:1匹目はちょうど10年前。父ががんを宣告された日の夜に、私を励まそうとした夫が散歩に連れて行ってくれたんです。その時、たまたま見つけたペットショップをのぞいてみると、眉毛が濃くてどことなく父に似ている犬と目が合ったんですよ。もうその瞬間に「飼いたい!」という気持ちがわき起こったのですが、衝動的に決めてはいけないと思ったので、近くの喫茶店で夫とお茶をしながら「2時間たっても気が変わらなかったら飼おう」と(笑)。

 

大崎:なるほど、そして2時間後に飼う決心がついたのですね(笑)。それまでに犬を飼った経験はあったのですか?

おおたわ:実家では私が幼いころから犬を飼っていたのですが、結婚してからはお互い仕事が忙しいこともあって飼えないと思っていました。

遠藤:私も5年前から犬を飼っているのですが、おおたわさんと全く同じです。それまでペットを飼おうという意識はなかったのですが、散歩をしていた時にフラっと立ち寄ったペットショップで出会ってしまい、すぐに妻とカフェで話し合って…(笑)。

おおたわ:こればっかりは運命ですからね。もう1匹との出会いもそうです。昨年の暮れにジョギングから帰ってきた夫が、「ペットショップで値下げされている犬を見つけた」と言うんです。私は2匹も飼えないと思って反対したのですが、後日一緒に見に行くと、今度はクリスマス特価になっていて。そして年明けにも気になって行ってみると、お正月特価でさらに値下げされていて…(笑)。見るに見かねてうちで引き取ることにしました。

大崎:既に10年近く飼っている犬がいる中で、新たに2匹目を飼うことに不安はありませんでした?

おおたわ:やっぱり犬同士が仲良くできるか心配だったので、事前にドッグトレーナーさんに相談してアドバイスをもらいました。初めは少し拒絶していましたけど、今ではすっかり仲良しですよ。

遠藤:うちには1歳になる子どもがいるのですが、生まれたときは犬が自分の飼い主を取られると思ったのか、子どもへの敵対心がむき出しで…。でも、徐々に慣れてくると一緒に生活しようという意識が芽生えてきたみたいで、今では問題なく過ごしています。

おおたわ:私も小さいころ、犬にいろいろと面倒を見てもらっていたみたいですよ(笑)。犬は社会に適合しようとする生き物なので、ちゃんと共存する道を自分で探すんです。もちろん、共存できるように飼い主がしっかりとしつけてあげることも大切です。

 

ペットを飼うことは、生活の一部

大崎:今回のテーマである「人とペットの共生」を考える上で、しつけは重要なトピックスですよね。おおたわさんは、どのようなしつけをされてきたのですか?

 

おおたわ:私は動物病院のしつけ教室に通いました。ここはしつけ教室といっても、ペットにしつけを教える場所ではなくて、飼い主にしつけの仕方を教える場所なんです。合図の出し方や褒めるタイミング、声のトーンや表情など、さまざまなコミュニケーションの方法を学びました。夫も必死に勉強していましたよ。お風呂場から夫の「いい子、いい子~」という発生練習が聞こえてくることも(笑)。

大崎:すばらしい意識ですね(笑)。Design with Pet Projectでも、ペットのしつけだけでなく「オーナーのしつけ意識」を向上させることが、産業として後押しすべき重要なポイントだという意見が出ています。それを支援する施設やサービスがもっと広がり、認知されるといいですよね。

おおたわ:そうですね。犬は頭が良い動物なので教えれば教えるほどできるようになります。飼い主一人一人の意識がもっと高まれば、社会的にもペットと一緒に過ごせる場が増えるのではないでしょうか。最近パリへ旅行に行った時、フランスの犬事情がどうなっているのかを観察してみたんです。すると、ノーリードで歩いている犬がとても多くて、犬が入れない場所もほとんどありませんでした。それだけきちんとしつけられているということです。実際、カフェやレストランでも飼い主のそばでじっとしているし、ご飯をねだることもない。驚いたのは、通勤時間の地下鉄にも犬が乗っていたこと。飼い主と一緒に出勤しているんですよ(笑)。

 

遠藤:ペットを受け入れる環境もあるのでしょうね。文化や歴史の違いもあるので一概にどちらが良いとはいえませんが、しつけに関しては確実に日本より進んでいますよね。

おおたわ:ペットが人間の生活に根付いていると感じました。たとえば、パリはオシャレな街のイメージなので、さぞかしワンちゃんもオシャレに着飾っているのだろうと思ったら、洋服や首輪を付けた犬はほとんどいなくて、むしろ日本の犬よりも薄汚れているんです。彼らにはペットにオシャレをさせようという発想があまりないのかもしれません。もちろん、愛情表現としてオシャレをさせるのは素敵なことだし、日本のペットグッズの優れたファッション性は素晴らしいと思います。ただ、ペットを飼った時に「何を着せよう」から考えるのではなく、まずは「何を教えよう」「何からわかり合おう」と考えることが大事ですよね。

(続く)

※対談後編は9/10(水)に更新予定です。