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セッション#2-2 ペットオーナーが得ているモノ、目指すモノ。

人もペットもうれしい社会を。 №7

  • おおたわ 史絵
  • 大崎 孝太郎
  • 遠藤 道夫

2014/09/10

セッション#2-2

ペットオーナーが得ているモノ、目指すモノ。

前回に引き続き、内科医で愛犬家としても有名なおおたわさん史絵さんをゲストに迎え、人とペットが共生する社会の可能性について、Think Pet Projectメンバーでペットオーナーでもある大崎孝太郎さん、遠藤道夫さんが話を聞きました。

高齢者の健康にも影響する動物の存在

大崎:おおたわさんは盲導犬募金活動にも参加されているのですよね?

おおたわ:はい、定期的に行っています。たまに施設へ足を運んで訓練している様子を見学したり、盲導犬を引退したワンちゃんと一緒に遊んだりしています。それから、今後はじめる予定なのがCAPP (=Companion Animal Partnership Program)活動。これは、自分が飼っている動物を高齢者施設などに連れていって触れ合ってもらうボランティア活動です。

遠藤:動物と触れ合うことが、認知症予防につながるという意見もありますよね。

 

おおたわ:うちの患者さんに糖尿病を患っているおばあちゃんがいて、ある時2ヵ月続けて数値が急激に良くなったんです。薬は変えていないし、食事療法をしたわけでもないのにどうしたのだろうと思って聞いてみると、「2ヵ月前にチワワを飼ってから毎日振り回されて大変なの」と、うれしそうに話すんです。私も犬好きなので一緒に喜んでいたら、次の外来でチワワを連れてきちゃったりして(笑)。お年寄りの生活は動く機会が少なくて単調になりがちなので、チワワのような小型犬でも毎日世話をしたり話しかけるだけで刺激になるんですよね。

遠藤:一般的に、犬を飼うと寿命が延びるのは散歩をするからだといわれていますが、精神面も含めてトータルで健康に良い影響を与えるのかもしれないですね。私自身も犬を飼ってから初めて分かったことですが、一緒に散歩するだけですごく楽しいし、幸せな気持ちになるんですよね。うちの子も犬が寄るだけで顔をくしゃくしゃにして喜ぶので、そういう光景は見ていてほほえましいです。

おおたわ:高齢者だけでなく、子どもにとっても動物の存在はとても大切だと思います。今の家庭は一人っ子が多いし、どうしてもインドアになりがちですよね。でも本当は、自分以外の生命と触れ合って初めて学べることがたくさんあるはずなんです。たとえばペットを飼っていると、踏んづけたらキャンと鳴いてしばらく近寄ってこなかった、引っ張ったらいつもと違う表情をして怒った、という経験から人がされたら嫌なことを自然に学んでいきますよね。そういう小さな失敗から人の痛みが分かるようになったり、社会性が身に付くのだと思うんです。

「無菌状態」では健康な身体に育たない

 

大崎:小さな失敗という観点に近いのかもしれないですけど、最近は過度に「無菌状態」を維持しようとする方が多いと聞きます。子どもに土や泥を極力触らせないようにしたり、洋服も全部アルコール消毒をしたり。その風潮が「動物=汚いもの」という発想につながっているところも少なからずあると思います。実際に犬の散歩をしている時に近くにいた子どもが好奇心で触ろうとしたら、その子のお母さんが「汚いから触っちゃダメ!」と言っていたこともありますし…。

おおたわ:まさにその通りで、菌に対する過剰な反応は医学的にも危惧されています。人間は子どものころからいろいろな菌やウイルスに罹患して治療することで、正常な免疫力を身に付けていきます。無菌状態の環境では健康で頑丈な身体は育ちません。子どもを守りたいと思う気持ちは決して間違いではないのですが、泥んこ遊びをしたら「いっぱい汚したね。帰ったらお手々を洗おうね」と笑える環境、犬や猫をなでられたら「よくできたね」と褒めてあげる環境がつくれると理想ですよね。

 

遠藤:私も子どもがいる立場なので、どうしても過敏になってしまう気持ちはよく分かります。それでも、失敗を恐れて子どもの好奇心の芽を摘むことはしないように気をつけたいですね。

おおたわ:もちろん、菌とは関係なく動物が苦手な方が一定数いらっしゃるのも事実です。そういう方の気持ちに対して、「どうして嫌いになったんだろう」という原因までさかのぼるのも大事なこと。道端でうんちを踏んじゃったことがある人もいれば、ほえられたり、かまれたりした経験がある人もいます。その不安を拭うためにも、飼い主一人一人のしつけ意識をもっと向上させる必要があると思います。

大崎:そうですね。前回おおたわさんがおっしゃっていた、オーナーにしつけを教える施設の普及なども含めて、業界としてさらに発展する可能性を秘めた事業はたくさんあると思います。ぜひ、Design with Pet Projectを通じてその可能性を探っていきたいですね。