ワカモンのすべてNo.25
田中里奈×西井美保子:後編
「青文字系ナンバー1読者モデルの『自己プロデュース力』とは?」
2014/09/24
前回に引き続き、「青文字系」モデルの田中里奈さんをゲストに迎え、ワカモンのリサーチャー西井美保子さんが「自己プロデュース力」についていろいろと聞きました。
「何を伝えるか」よりも「どうやったら伝わるか」
西井:自己プロデュースとSNSは切っても切れない関係だと思うのですが、田中さんはツイッターのフォロワー数が18万人以上、ファッションコーディネートアプリWEARのフォロワー数は70万人もいるんですよね。SNSを使うときに何か工夫されていることはありますか?
田中:当たり前のことかもしれないですが、「何を伝えるか」よりも「どうやったら伝わるか」を意識しています。今は情報発信するツールがたくさんあって書く方も大変ですが、受け手もひとつひとつのツールをきちんと追うのはすごく大変だと思うんですよ。なので、大事なことは何度でも書くし、前後の記事を読まなくても伝わるように書きます。視覚的にパッと分かるかとか、流し読みでも要点が伝わるかとかも、感覚的にですけど気をつけていますね。あとは商品が発売された後に必ず感想を聞いて、改善点を探したり答え合わせをするようにしています。
西井:ひとりメディアミックスと、ひとりPDCAサイクルですね(笑)。
田中:これまで全部ひとりでやってきていたので、自然に身に付いたのかもしれません(笑)。ただ最近、ひとりでやることにてっぺんが見えた気がして、田中里奈がもっとたくさんいればいいのにと思うようになって…(笑)。それで、昨年から事務所に所属することにしました。
西井:ずっとひとりで活動してきた中で、組織に入ることの難しさみたいなものはありました?
田中:初めは組織のルールと自分が貫きたいことのすり合わせが大変で、仕事のテンポやビジョンを合わせるのに苦労しました。でも、自分の考えを理解してくれる人たちに出会えたおかげで、今はひとりのときよりも質の良い仕事ができていると感じます。田中里奈はひとりしかいないけど、私の考えとある程度同じ方向を向いている仲間と一緒に仕事をすれば、もっとたくさんの可能性が生まれるんですよね。
西井:今の若い人たちが会社に求めるものをヒアリングしてみると、みんなで協力して良いものをつくることを求める人が圧倒的に多いです。ただ個人的に懸念しているのは、チーム力はひとりひとりの個性が集うことではじめて発揮されるものであって、個の力が育っていない状態ではチーム力も高まらないと思うんです。だから、まずは田中さんのように自分のやりたいことやビジョンを培っていくことが先行すべきだと思います。
失敗や成功を繰り返すことは、自分を育てる
西井:チームに関する話題で思い出したのですが、ワカモンの調査では嫌われることを恐れたり他人の目を気にして、本音で話せない人が増えているというデータも出ています。
田中:私も実はすごくビビリなんですよ。何かをリリースすると常に反応が怖いし、初めて書籍を出したときは体中にじんましんが出るほどつらかった。自分の名前を背負って世の中にモノを出すことの怖さを実感しました。でもその分、人からうれしい反応がもらえたときの達成感はとてつもなく大きいですし、そういう経験の積み重ねが自分自身の成長にもつながったと思います。もともと私は重度の人見知りで、大学入学時は人前で自己紹介ができないほどひどかったんです。読者モデルとして人前に立つようになって、それこそ何年もかけてやっと克服しました。
西井:今の田中さんの姿からは想像できないですね。リアルなコミュニケーションが苦手な人も増えているので、そういうエピソードは励みになると思います。先ほどの個性の話にもつながりますけど、情報を得るだけでなく実際に参加したり関わってみたりして、失敗や成功を重ねることが、個の力やビジョンを育てていくのでしょうね。
田中:本当に百聞は一見にしかずだと思います。失敗を恐れると何も行動できなくなってしまうけど、目の前にあることにひとつひとつ対処していくと、昔苦手だったものが克服できている自分に気がつく瞬間が訪れる気がします。大切なのは、なりたい自分をイメージし続けること。全てを一気に変えることはできないけど、想像しながら毎日を過ごせば、少しずつなりたい自分に寄せていけると思います。
【ワカモンプロフィール】
電通若者研究部(通称:ワカモン)は、高校生・大学生を中心にした若者のリアルな実態・マインドと向き合い、彼らの“今”から、半歩先の未来を明るく活性化するヒントを探るプランニングチームです。彼らのインサイトからこれからの未来を予見し、若者と 社会がよりよい関係を築けるような新ビジネスを実現しています。現在プロジェクトメンバーは、東京本社・関西支社・中部支社に計14名所属しています。ワカモンFacebookページでも情報発信中。