スパイクスアジア特別対談
ライオンズフェスティバルズ会長テリー・サベージ×電通CDCセンター長古川裕也
2014/10/27
世界のカンヌ、アジアのスパイクス、欧州のユーロベストなどを各地で展開し、広告業界に多大な影響を与える運営組織「ライオンズフェスティバルズ」。
その総帥と、Beyond―広告業のその先―を見据えるエグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクターが、エージェンシーの向かうべき未来について語り合った。
サベージ:スパイクスのエージェンシー・オブ・ザ・イヤーおめでとうございます。
古川:ありがとうございます。授賞リストを見ると、10年くらい前と比べて、僕たちの仕事の領域がずいぶん拡張したことがよく分かります。それは、カンヌやスパイクスでのアワード部門の拡大と比例しているように思えます。
サベージ:基本的にフェスティバルというのは、ビジネスを反映していなければなりません。部門を新設する時は、ビジネスを理解し、どこへ向かっているのかを見極めます。時には、イノベーション部門のように多少時期尚早と思えても、業界を促す意味で早く動くこともありますが。イノベーションはまさに今、発展している分野であり、エージェンシーはまだ本当にイノベーションを取り込みきれていないと思います。今から取り組んでいかないと、他の業界から進出してきた人たちにビジネスを取られてしまいますよ。
古川:僕たち電通の強みは、「広さ」と「高さ」だと自負しています。クリエーティビティーが必要なところは、世界中全てビジネスチャンスであると。世界トップレベルのソリューションカンパニーとは、そういうことだと思います。
サベージ:おっしゃる通りです。電通は世界から見ると非常に興味深い。なぜなら世界の理解が及ばない、たくさんの隠れたアセット(資産)を持っているからです。テクノロジー、スポーツマーケティング、ビジネスデザインなど、さまざまなレベルで。それは他社ではあり得ないことです。それらの強力なアセットを、日本中心からグローバルの舞台で生かすことができるか、興味深いですね。今の時代、エージェンシーと同様のことができる組織はたくさんあります。ビジネスは大事な要素ですが、エージェンシーの強みは、クリエーティビティーとイノベーションです。これこそが、この業界の力の源泉でしょう。どれだけユニークな提案ができるかに尽きます。この点から外れてはいけません。
古川:むしろ今まで広告で培ったスキルを広告以外のチャンスにも展開していくということですね。ありがとうございました。