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ジブンと社会をつなぐ教室No.2

「中俣さん、ジブンってなんですか??」

正解は探しても意味がない。ジブンの中に答えはある。(前編)

2014/12/19

「ジブンと社会をつなぐ教室」を書籍化した「なぜ君たちは就活になるとみんな同じようなことばかりしゃべりだすのか。」の特別対談の一部を紹介。LITALICOで障がいのある子どもたち向けの教育事業に取り組む中俣博之さんを迎えた対談では、「個性」について語り合います。中俣さんは、学生に個性がなくなるのは企業の採用方法に問題があるという指摘しています。

学生に個性を求めるのは企業の「エゴ」

 

新卒採用はポテンシャル

西井:本のタイトルが「なぜ君たちは就活になるとみんな同じようなことばかりしゃべりだすのか。」なのですが、中俣さんは人事も経験されて、このタイトルのようなことを実感することはありますか。

 

中俣:前職のディー・エヌ・エーで採用を担当していたのですが、確かにみんな同じような自分の強みを話していました。フリーペーパーをやっている学生が多いので「フリーペーパー男子」と呼んでいたくらい、同じような学生時代の経験を話すという事象はあると思います。ただ、それは学生には責任はないと思っています。
中途採用だとスペックを見て、「何ができるか?」「実績は?」と選考方法はシンプルですが、新卒採用はポテンシャルを見るので見極め方はさまざまです。なのに、多くの企業は同じような採用手法をとっている。ここに一番の原因があると思っています。企業側の採用要件が同じで、採用手法も同じなのに、学生に「何で同じなの」っていうのは企業側のエゴでしかない。企業の採用スタイルが画一的なことが大きな問題だと思っています。
僕ら採用する側だって就職のときに同じ経験をしているのに、企業側に立った瞬間に目線が変わるっていうのは悪い大人だと思います。

笹木:スペックじゃなくて、ポテンシャルで見極めるという話はとても共感します。
「知識よりも空想の方が、はるかに重要だ」という名言がありますが、学生の頭の中に既にある知識より、学生の心の内側に企業も迫っていきたいですよね。中俣さんはポテンシャルをどうやって見極めていましたか?

中俣:まずは、企業側がどういう人に来てほしいのか、どんな人が入社すれば幸せになれるのかを決めます。企業が欲しい人材を極力言語化することがポテンシャルを見極めるスタートです。
次に、型にはまった面接と会話だけで見極めるのは難しいので、見極められるシチュエーションを多くつくっていきます。ヒト・モノ・カネを惜しまずに、採用側が見極める努力をするべきだと思います。

西井:そういう採用を企業がしてきたときに、学生側ができることは何でしょう?

中俣:本気でやってほしいということだけですね。学生が本気か本気じゃないかのパラメーターは、企業側が動かせない。本気かどうかという点は、学生側が動かすものだからです。

社会的な必要性で選択する

 

西井:「ジブンと社会をつなぐ教室」のプログラムでは、「ジブンとは何か」を見極めていって、それを自分が良いと思えば就職活動の場面で発信する、その発信を受け止めてくれる企業が自分に合った企業で、自分を合わせにいく必要はないと話しています。とはいえ、自分と社会をつなぐためには、「自分がどう見られているか」を知ることも強みになると話しています。
中俣さんは、これまでいろいろな人生の選択をしてこられたと思うのですが、そのときの基準として大事にしていることはありますか。

中俣:自分の視点ではなく、少し雲の上から客観的に見ることを心がけています。僕の世代は就活生が40万人くらいいます。その中で、自分が神様だったら40万人をどういう仕事に配分するかという視点に立ちます。
僕は今、障がい者支援の会社を経営しているのですが、これは社会的にやるべきことです。ただこの分野にコミットするビジネスリテラシーの高い人は多くない。インターネットなどの先端産業は人もお金もあるから、誰かがやるし、自分である必要はない。世の中のことを考えたら社会的に必要なことの方がいい、だから今の仕事を選択しました。

西井:あるべき姿を軸に決めているということですね。決めるときに選択肢は多い方がいいのか、自分で減らしていく方がいいのか、どちらですか。

中俣:選択肢はひとつでいいと思っています。ひとつを選ぶときに、世の中のことを考えて「天命だ」みたいな人生を生きたいと思っています。

※対談後編は12/26(金)に更新予定です。

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