ジブンと社会をつなぐ教室No.3
「中俣さん、ジブンってなんですか??」
正解は探しても意味がない。ジブンの中に答えはある。(後編)
2014/12/26
「ジブンと社会をつなぐ教室」を書籍化した「なぜ君たちは就活になるとみんな同じようなことばかりしゃべりだすのか。」の特別対談の一部を紹介。今回は中俣博之さんを迎えた座談会の後編。「今までの自分をつくってきた自分は認めないといけないが、それに縛られて生きるのはダサいと個人的に思います」と話す中俣さんは、利他的になることで考え方が変わるのではないかと提案します。(前編はこちら)
利己的な自分から脱却することで、未来が見える
就職活動を楽しむために
西井:この教室では、ビジネスと同様に自分を3Cの視点で探っていきます。中俣さんは、就職活動における自己分析をどんなふうに捉えていますか?
中俣:自分だけの自己分析はどうでもいい、と思っています。どうしても車に関わりたかったら、自分を変革してでも車の会社に入りたい。だとしたら、自分というものをカスタマイズしたり、変革しないといけない。それはとっても勇気がいることです。今までの自分をつくってきた自分は認めないといけないものですが、それに縛られて生きるのは格好悪いし、ダサいかなと個人的に思います。
西井:自分を変革してでもありたい未来や、あるべき姿への努力をするべきだということですね。
中俣:仕事には、向き、不向きがあると思われていますが、本来はやりたいか、やりたくないかです。個人的には仕事に適合できない人はいないと思っています。昨今の就職論は、自己分析に寄りすぎているように感じます。過去の自分だけ振り返っても意味がなくて、これからの自分をどう創っていきたいか。それが重要だと思います。
西井:世の中で広く「自己分析」というとき、その意味が自分から見たジブンに限られ過ぎています。教室でも、社会やそのほか同世代などさまざまな視点に立って行うべきだと説いています。、異なる企業に対して同じ表現ではいけないので、社会や企業とつなぐためにカスタマイズして差し出すべきだと思っています。
笹木:この本で紹介しているのは、自分と社会のつながり方についてで、そこにはいろんな可能性やつながり方があってもいいと思っています。
僕は、就活のやりかたで、よく「ワークじゃなくて、プレーしよう」と言うのですが、自分と社会をどうつなげていくかを楽しみながら、社会と向き合ってもらいたい。
中俣:楽しいですよね、就活。落ちるところは落ちるし、受かるところは受かる。
脊髄反射から逃れることで、個性は伸びる
笹木:学生時代により良い自分に出会うために、どうすれば個性が育つと思いますか。
中俣:子供の心に火がつく環境を用意するのは大人の仕事だと思っています。今の教育の、5教科バランスよく平均点を上げる仕組みでは、特定の教科に突出した天才や、そもそも勉強に興味が持てない子には適合しない。でも、そういう多様な学習ニーズに応えるには今の学校だけでは難しい。子供は空気を読むので、親や周りの「他の子と同じであってほしい」という願いみたいなものも没個性につながっているように感じます。LITALICOで運営している学習教室の子どもたちは、障がいがあるというより、むしろ個性豊かで、楽しくなければ「楽しくない」と言うし、空気なんて全然読んでくれない。でも、自分の興味・関心が見つかって、自分なりの学び方がフィットすれば他の子の何倍も集中できる。そういう個性的な子どもたちは学校には適応できていないことが多く、他の子と同じようにできないことを恥ずかしいと親が思ってしまう。
西井:違っていると恥ずかしいから没個性になる。その恥を外すヒントは何かあるんでしょうか。
中俣:外すというよりも生かしてあげることを重視した方がいい。個性を生かすと言いながら、実際は極力平準化しようというのが人間で、僕らはそう育ってきているから、脊髄反射のようにそういう行動をしてしまっています。まずは、その脊髄反射から逃れないと、子どもは絶対に育ってこないです。
西井:就活のときも企業側が、面接の場で、「ここではこう答える」という空気を外す、個性を生かす場を提供してあげるのが重要だということですね。
中俣:成長するかしないかは、こちらが歩み寄らないと見抜けません。就活って学生と企業がイーブンという概念が多いかもしれないですが、そうは言っても企業の方が強い側面もあるので、企業側が歩み寄って行動することは重要だと思います。
西井:本日は興味深いお話、ありがとうございました。
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