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結局、ビッグデータは広告会社にとって敵なのか?味方なのか?No.3

マーケティング×ITによるリードマネジメント

2015/02/10

「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」というワードをご存じでしょうか。「リードジェネレーション」とは潜在的なニーズを持つ見込み客情報を収集するマーケティング手法で、「リードナーチャリング」とは集めた見込み客情報を活用してニーズを顕在化するマーケティング手法です。CRMとの違いは、一度購入してもらった顧客の情報を活用し、上顧客になってもらうマーケティング手法であるCRMに対し、「リードジェネレーション/リードナーチャリング」は顧客化する前の見込み客段階の情報を活用し、顧客になってもらうマーケティング手法です。(顧客を上顧客化するプロセスをリードナーチヤリングという企業もあります)

リードジェネレーションおよびリードナーチャリングをまとめて「リードマネジメント」といいます。これらは、BtoBマーケティングをドメインとしている企業にとってはなじみのあるワードですが、BtoCマーケティングをドメインとしている企業にとっては、まだ目新しいワードではないでしょうか。

というのも、BtoB事業社には営業活動による見込み客との接点が存在し、見込み客情報を収集して活用できますが、メーカー企業を中心にしたBtoC事業社は、見込み客との直接の接点が存在せず、見込み客情報を収集する機会さえも無く、リードマネジメントという概念自体が持ちづらかったのではないでしょうか。また、BtoBの限られた見込み客情報の活用とは違い、BtoCの膨大な見込み客情報を活用するには、これまでの記事で書いてきたようにITの力が必要となるのです。自社内での環境構築には膨大な費用がかかりますが、昨今ではクラウド環境でリーズナブルな費用での構築ができるようになり、BtoC事業社におけるリードマネジメントも可能となりました。

リードマネジメントを支えるクラウドサービス

このリードマネジメントを支えるクラウドサービスとして代表的なものが、SFA(セールスフォースオートメーション:営業支援システム)とMA(マーケティングオートメーション)です。リードマネジメントにおけるこれらの位置づけは以下の図の通りです。

MAによる「リードマネジメント」で収集された潜在的ニーズを持つ見込み客を顕在化させ、営業活動支援ツールであるSFAにHOTな顧客情報を送ります。

最近、ITベンダーのみならず、我々のような広告会社にもSFAやMA導入支援の依頼が増えています。その理由は、MAについては見込み客をナーチャリングするカスタマージャーニーを支えるシナリオ設計のノウハウにあるのではないかと思います。MAについては次回ご紹介したいと思います。

マーケティング効果を可視化するSFA

SFAの基本機能は、(見込みを含む)顧客情報閲覧機能や営業プロセス管理機能、ナレッジ共有機能や営業同士のコミュニケーション機能など多様です。

その中でも、我々のような広告会社にSFA構築を委託する理由は、マーケティング施策・業務設計全体を俯瞰しながら、上記図にもあるようにマスメディア施策から営業担当者に見込み客情報を引き渡すまでのシームレスなリード管理を可能にするからでしょう。当然ですが、見込み客がどの商品にどれほど興味を持ち、どのようなナーチャリング経緯で営業担当者に引き渡されたのか、そのHOTな理由をSFAで営業担当者が確認し営業するまでの全体設計が大切なのです。

例えば、ある見込み客が自動車販売店に来店するまでに、ウェブサイト上でどのような車種ページをどれほどの頻度で閲覧していたのか、その見込み客の同意のもと販売店の営業担当者が事前に知れるだけでも、推奨する車種を商談の最初から絞りこめるのです。自動車販売店は、より多くの見込み客に対してより多くの時間をかけてアプローチするために、各業務工程を1分1秒短縮することにトライしている業界です。このような取り組みは、非常に有益であることは疑う余地もありません。

またこのSFAは、営業プロセス管理機能を有しているために、見込み客の購買有無の結果情報も営業担当者自らが入力管理します。これは先ほど書いたように、マスメディア施策から見込み客の購買結果までの購買プロセス管理が可能になることを意味します。

これまでマーケティング施策と購買結果が直接つながった形でPDCAサイクルを確立することは、ECサイトの購買履歴でしか実現できなかったのですが、SFAを導入する事でリアルな販売チャネルの購買履歴をも管理することが可能になり、より精度の高いPDCAサイクルが確立できるのです。そしてより精緻なPDCAサイクル確立を目的とした自社内データ統合環境こそが「プライベートDMP」と言えます。

そして何よりSFAは、今まで長い期間と多額な費用をかけ自社内でスクラッチ構築されてきましたが、クラウドサービスを活用すれば「構築」というより「設定」による立ち上げさえも可能となりました。ITシステム構築の敷居が下がったことこそが、IT会社のみならずマーケティング会社、ひいては広告会社でもこの領域で価値提供できる何よりの理由なのかもしれません。

次回は、広告会社にとっての「マーケティングオートメーション」ツールのお話をお伝えしてきます。