ここを聞きたい!
地上波テレビ広告の現在(リアル)
第4回「その他全般」
2015/03/06
生活者を取り巻くメディア環境の多様化が進んでも、テレビは広告メディアとして依然、期待されています。一斉同報、一斉受動。このスタイルはテレビ独自のもの。近年テレビ離れがささやかれるものの、数千万人規模で発信される大規模な認知や低関与層まで含めた幅広い層への興味喚起に、最も影響が強いメディアとして、高く評価されています。また一方で、インターネットとの連携やコンテンツパワーとのシナジーによる多角的なテレビ活用の手法や、広告主に対する投資対効果のより精緻な検証手法など昨今の動きにも注目です。
この特集では、現場目線の直球質問に、電通ラジオテレビ局員に答えてもらいました。テレビ広告をめぐる「リアルな今とこれから」の一端を4回にわたってお伝えします。
Q5:広告会社におけるテレビ担当者の仕事には、例えばどんな変化がありますか?
答える人:川崎 寛氏(業務統括部)
テレビの広告メニューはタイムとスポットに大別できます。スポットは地区や規模、放送局などの選択が可能でキャンペーン対応には適しているメニューといえます。対してタイムは長期固定契約が基本で、フレキシビリティーには難があります。ゆえに番組の力を使って、いかに広告主のニーズや課題に対応するか。カスタマイズされた提案が重要と考えています。
そもそも、テレビ番組提供の価値とは何でしょうか。継続的なCM露出は企業認知やブランディングに大きく寄与します。良質な番組には何らかのメッセージがあるのです。私たちテレビ担当が強く意識すべきことは、そういった番組の持つ視聴者との「絆」です。この絆を核とした広告施策の立案は、良質な番組と広告主の数だけ可能であると考えます。
私の部では“企画工房”をつくってこのようなテーマに取り組んでいます。社内外のさまざまな方と共に。社内ではクリエーターやプランナー、社外では、例えば放送作家の方などと。まずは、対象番組が持つ力を整理します。誰に対しどのような視聴効果がある番組なのか。そして広告主の課題を分析して最適な番組連動施策を考えていく。デジタル連動になることも多い。大切なのは、広告主側と番組制作側、双方の価値を高めるアウトプットであること。どちらにとっても「役に立つ」存在にならねばなりません。
こうした取り組みと並行して始めたのが、番組連動施策の効果測定とPDCA展開です。テレビメディアもあまたあるソリューション施策の一つにすぎません。だからこそ、ある効果を定量分析するために番組連動施策の効果を蓄積する必要があります。案件ごとに調査データが蓄積すれば、定量的なデータ分析から新提案が生まれることもあるかと思います。テレビが最もその力を発揮できる認知・興味喚起・内容理解などのKPIを理解した上で、広告主にカスタマイズした施策を企画・実施し、効果測定までをセットにした提案をすること。広告会社のテレビ担当の仕事として意識しなくてはならないことと思っています。