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Experience Driven ShowcaseNo.3

オカシノベーションで、50年前のお菓子をつくる

2015/04/27

森永製菓の看板商品「Hi-CROWN(ハイクラウン)」。
2014年に発売50周年を迎えるにあたり、復刻版をつくると共に、その復刻版の新しい見せ方を展開して大成功!今回は、このプロジェクトの空間開発やイベントを担当する、電通の尾崎賢司が企画の概要をレポートします。
編集構成:金原亜紀 電通イベント&スペース・デザイン局

 

それは「Okashinnovation(オカシノベーション)プロジェクト」から始まった!

事の始まりは、4年ほど前。クリエーティブディレクターである電通の先輩、倉成英俊さんがつくった「新規領域部署連携コンソーシアム」、略して新コン。さまざまな企業の新規事業部、スタートアップ、NPOなどが紹介制で参加できるオープンイノベーションの勉強会。
ここに森永製菓の新領域創造事業部の金丸美樹さんが参加したことがきっかけで、プロジェクトが立ち上がりました。

その名も「Okashinnovation(オカシノベーション)プロジェクト」。
お菓子でもっと、イノベーションが起せないか、お菓子の付加価値を発見し、よりお菓子が世の中に寄与することを目的に立ち上げられたのです。

企画構想から完成まで「プレゼン」らしきものは一切なし。みなフラットな立場で話し合う。それでも困ったら、解決できそうな同じ情熱を持っていそうな人をメンバーが紹介し合い、プロジェクトメンバーを増やしていく。このやり方が、高いクリエーティビティーとスピーディーな制作を担保している秘訣にもなっています。

プロジェクト第1弾「おかしな自由研究シリーズ」は、「お菓子で(人間の)クリエーティビティーを高められないか?」という「お菓子で教育革命」のトライアル。
2013年はテーマを「宇宙」に設定し、JAXAの有志職員にも企画に加わってもらい、お菓子を食べながら宇宙を自主的に学べるキットを開発し、2014年7月発売しました。
チョコボールを地球に見立て、10億分の1の宇宙をつくるお菓子など緻密かつ遊び心にあふれた商品群は、完成後の子どもたちによるワークショップでも大人気を博したのです。

おかしな自由研究シリーズ商品
おかしな自由研究シリーズポスター

 

Hi-CROWN 50周年の復刻版をつくる

私がこのプロジェクトに声をかけてもらったのは、それから約2ヵ月後の9月末。プロジェクトの第2弾として動き出していた「Hi-CROWN復刻版発売」。東京駅で期間限定店舗をつくろうという話でした。

約100年前、日本で初めてチョコレートをカカオから一貫製造した森永製菓は、日本にチョコレートを広め、生活者にとって身近なものにしました。そして、 その次の仕掛けとして50年前に、子どもたちが憧れるような「大人のチョコレート」として「Hi-CROWN」を誕生させたのです。昨今のパティシエや ショコラティエの原点は「Hi-CROWN」にあるといっても過言ではないでしょう。その原型を、最新の技術で生まれ変わらせようというこの企画。
森永製菓の生みの親である森永太一郎さんと東京駅の駅舎をデザインした辰野金吾さんがともに佐賀県出身という発見から、「新Hi-CROWN×東京駅 100周年×佐賀有田焼」という座組みがいきなり実現。リニューアルしたHi-CROWNの東京駅の駅舎が描かれた有田焼のパッケージの制作も進めること に!

森永太一郎氏
50年前のHi-CROWN
ハイクラウン東京
ハイクラウン東京マンディアン
染付東京駅丸の内駅舎絵図内松竹梅側面濃蛸唐草①
染付東京駅丸の内駅舎絵図内松竹梅側面濃蛸唐草②
染付東京駅丸の内駅舎絵図内松竹梅側面濃蛸唐草③

 

2014年10月末から、何度も東京駅の出店スペースの視察に足を運び、新しいHi-CROWNにふさわしいショップ空間とは何かを考え、いきついたのが東京駅既存の什器を使用するのではなく、森永らしい什器をつくること。

デザイナーの小宮山洋氏を加えたプロジェクトメンバー全員で作り上げた4つの什器は、森永太一郎氏が当時商売用に自ら使用していた手押し車をイメージし、4つのサイズの合計が森永初のチョコレート工場の大きさである2坪になるようにデザインされ、「Hi-CROWN 2Tsubo Shop」と名付けられました。そして当初の目標を大幅に超える売り上げを記録し、大盛況のうちに12月上旬に終了。

Hi-CROWN 2Tsubo Shop

 

三越伊勢丹、銀座松屋、そしてさらなる出店へ!

Hi-CROWN復刻版の展開はさらに続き、2015年1月下旬に三越伊勢丹主催のサロン・デュ・ショコラへの出店、3月下旬に松屋銀座への期間限定での出店が決定。
サロン・デュ・ショコラへの出店ではカラフルなスペシャルパッケージを制作。Hi-CROWNの8種類の味を表現したパッケージはディスプレーのデザインにも活用しました。松屋銀座では桜色のHi-CROWNスペシャルパッケージを制作し、桜咲く季節に合わせた白とピンクを基調とした空間演出にしました。

サロン・デュ・ショコラ森永ブース
サロン・デュ・ショコラスペシャルパッケージ
GINZA Hi-CROWN
金沢箔ジュエリーボックス

私としては、商品開発のプロジェクトとも並走させてもらい、本当に楽しい仕事でした。次の展開に取り組めるといいなと願っています。

次回は、森永製菓の金丸美樹さんと、「新コン」のリーダーである電通の倉成英俊、私が鼎談します。