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ワカモンのすべてNo.39

有村架純×吉田将英:後編「今の若者が求める『手触り実感』とは?」

2015/05/13

前回に引き続き、公開中の映画『ビリギャル』で等身大の若者を演じる女優の有村架純さんと、電通若者研究部代表の吉田将英さんがイマドキの「若者像」について語り合いました。

 

身近な人たちとの手触り実感を大切に

吉田:よくある「最近の若者は〇〇だ」というくくり方は、若者たちからすると同意できないこともあれば、確かにそうだなと感じることもあると思うんです。

たとえば、「最近の若者はおとなしい」とか「根性がない」という上の世代にとっての若者像があります。イチ若者として有村さんを見たとき、女優を目指して何度もオーディションを受けたり、履歴書の書き方などを研究したと聞いて、「おとなしい」とか「根性がない」といった若者像とはギャップがあるように感じます。

有村:私は比較的、思ったことはすぐ行動に移す性格なのでそう見えるのかもしれません。
ただ、まわりを見渡すと確かに失敗することを怖れたり、慎重に考えて行動する人が多いかもしれません。

吉田:それは、SNSやスマートフォンの影響も大きいと思います。
他者の自分への評価や、同世代の人が何をしているのかが見え過ぎてしまう情報環境の中で、人との摩擦を恐れるがあまり、常に周囲の目を気にしながら行動しているのではないでしょうか。

有村:みんな壁に出合わないように、どうすればスムーズに生きていけるかを気にしている気がします。壁の乗り越え方が分からない人が多いのかもしれない。
でも、人は壁があるほど成長できると思うんです。

吉田:有村さんは、どうしてそのような心境になれたんですか?もともとの性格?

有村:私も昔は周囲の目を気にするタイプでした。
でも、この仕事を目指すうちに目標に向かって精いっぱいやることのほうが大事になって、徐々に変わったんだと思います。

吉田:若者に限らず世の中全体が周囲の目や評判を気にするような空気があります。その空気にのまれないようにするためには、有村さんのように一生懸命取り組む目標を見つけることが大事なのかもしれませんね。

有村:やりたいことを精いっぱいやって、それを応援してくれる人たちに感謝したいです。仕事で監督やスタッフの方々の心を動かせたとき、本当にやってよかったと思える。
世間の評価が全てじゃないし、身近な人に想いが届けば、スクリーンや画面の向こうにいるお客様にもきっと伝わると信じています。

吉田:若者は世間の評価を気にする傾向がある一方、手触りのない評判よりも手の届く範囲の物事や人を大切にしながら、少しずつ手の届く範囲を広げようとする意識もあります。上の世代からは「おとなしい」だけに映るかもしれませんが、地に足をつけてしっかりと目標を見据えている若者も少なくないと、僕は感じます。

 

 

若者が求める「等身大の物語」

吉田:これは僕も未だに悩むことなんですが、自分がやりたいことや成し遂げたいと思ったことを信じ切るのは難しいじゃないですか。自分に実現できることなのかわからない、本当に自分がやりたいことだと確信が持てない。
あるいは、やりたいことが見つからなくて悩む人もいると思うんです。やりたいことを見つけて、自信を持って取り組むにはどうしたらいいと思いますか?

有村:日々、いろいろな物事にアンテナを張ることが大事だと思います。私もはじめは軽い気持ちというか、たまたまドラマを見て「演技って楽しそうだな」と思ったことがきっかけなんです。少しでも気持ちが動く物事があれば、興味本位でもいいから調べてみたり、人に話してみたりすると、そこから広がることもあるかもしれない。

吉田:インプットしないとアウトプットできないですからね。
ワカモン研究部員の共著本で山田ズーニーさんと対談したとき、彼女が「社会は触れてみないとわからないから遠くから見ていてもダメで、いっぱい触れる中で自分が触れたい社会の形がわかってくる」と仰っていて。そこは有村さんの考え方とも通じるものがあると思いました。

有村:私もそう思います。

吉田:自分のやりたいことや目標に自信を持つという点で言うと、映画『ビリギャル』の主人公さやかは決して特別な人間ではなくて、信じる気持ちを強く持って努力し続けることで夢を実現させました。最近、特別な才能を持った主人公ではなく、普通の主人公が等身大でがんばる物語も増えている。つまり、そういった物語に共感する人が増えているということだと思うんです。
有村さんも等身大の主人公や物語に共感できる部分はありますか?

有村:そうですね。私も決して特別な人間じゃないし、普通でイマドキな若者。
自分なりに信じる気持ちを持ち続けて取り組んできたので、リンクする部分はあります。

吉田:そのような若者の想いや熱量と、僕ら大人や社会はどのように対話し、協働できるかを考えていきたいですね。最後に、SNSやスマホ世代の若者たちに自分らしく生きるためのメッセージをいただけますか?

有村:周囲の評価に振り回されると、すごくしんどいじゃないですか。自分らしさがないと、そのうち息切れしちゃう。自分のことは、とにかく信じてもらえたらいいなって思います。

<了>

「電通若者研究部ワカモン」ロゴ

【ワカモンプロフィール】
電通若者研究部(通称:ワカモン)は、高校生・大学生を中心にした若者のリアルな実態・マインドと 向き合い、彼らの“今”から、半歩先の未来を明るく活性化するヒントを探るプランニングチームです。彼らのインサイトからこれからの未来を予見し、若者と 社会がよりよい関係を築けるような新ビジネスを実現しています。現在プロジェクトメンバーは、東京本社・関西支社・中部支社に計14名所属しています。ワカモンFacebookページでも情報発信中。