Experience Driven ShowcaseNo.19
冬だけではない!? 広がる「夏イルミ」
2015/08/31
東京ミッドタウンでは7月17日から8月30日、恒例の夏イベント「MIDTOWN ❤ SUMMER 2015」を開催し、数多くの来街者を集め盛況のうちに終了しました。
このコラムでは、メーンイベント 「SUMMER LIGHT GARDEN」で夏の夜を彩ったイルミネーションを紹介します。
取材・編集構成:金原亜紀 電通イベント&スペース・デザイン局
イルミネーションは、なぜ冬に多い?
イルミネーションと聞くと、どんなシーンをイメージしますか? 多くの方は、クリスマスシーズンに、家族や恋人など大切な人と、肩を寄せ合ってロマンチックに、といったシーンを想像されるのではないでしょうか。イルミネーションがウインターシーズンに実施されている最も大きな理由は「商業イルミネーション」が時流を創ったためだと思われます。クリスマスを含む年末商戦期に、生活者の行動スイッチを押す仕掛けとして様々な商業施設が実施し、事例が積み重なり慣例化し、結果、イメージとして定着していきました。
広がるサマーイルミネーションの潮流
しかし、集客装置としてのイルミネーションの効果は、ウインターシーズンに限られたものではありません(空気が乾燥していると光が遠くまできれいに届く、また日没時刻が早く夜が長いため実施時間が長くとれる、など地域によっては冬特有の環境が有益に働く側面はあります)。
イルミネーション=冬の風物詩、という概念を覆し、サマーシーズンにイルミネーションを実施する施設がここ数年で多くなっており、「夏イルミ」というワードも市民権を得始めています。
東京ミッドタウンならではの夏イルミ
東京の真ん中に位置する東京ミッドタウンでは、“日本の夏の涼を愉しむ”をテーマに、「SUMMER LIGHT GARDEN」を開催しました。
「オン・ザ・グリーン」をコンセプトの一つに掲げている東京ミッドタウンの最大のユニークネスは2000平方メートルに及ぶ広大な芝生広場です。緑があふれるオープンスペースをステージに、街中にいながらにして日本の原風景・納涼を感じられるようなイルミネーションショーを展開。
人によってはノスタルジーを覚え、あるいは、人によっては心が躍り高揚する“ひかりの清流”と“ひかり花火”は、自然と技術とが調和した、東京ミッドタウンならではのエンターテインメントショーです。
“ひかりの清流”
芝生広場の最奥部には、高さ約8メートル×横幅約30メートルのスケールで光の滝が現れます。
そして、滝から続くように芝生広場を流れる光の川は約70メートルの長さで下流へとゆったりと流れています。会場のスピーカーからは水の音が流れ、川辺で夕涼みしているかのような情景を再現、蒸し暑い都会の夜からひととき抜け出せる演出となっています。
“ひかり花火”
打ち上げ音とともに光の軌跡が走り、夜空に大輪が広がります。
これは、特別演出として20分に1回現れる色鮮やかな花火です。夏の風物詩の代表格である花火をイルミネーションで再現、最大約8メートルの大輪や10連発のスターマイン(連続発射花火)、迫力あるナイアガラフォール(滝のように上から下へ流れる花火)など様々な光の仕掛け花火が音楽と共に打ち上がる、約6分間のショーです。
「SUMMER LIGHT GARDEN」のバックステージ
花火と滝が現れるウオールは、約2万4000球のフルカラーLEDで構成されており、まるで大型ビジョンに映像を映しているかのような表現を可能にしています。
本物の花火ではなくイルミネーションだからこそ可能となる表現もあります。写真はハート型に広がる花火、女性や子どもから人気です。これ以外にも様々なオリジナル花火が打ち上がります。
最後に
ウインターシーズンの風物詩であるイルミネーションですが、サマーシーズンに実施するからこそふさわしいテーマや表現があります。そして、それを実現する一つの要因が技術の進歩です。
次回は、本プロジェクトのメンバーである電通テックの甘田さん、コマデンの渡辺さんと共に、イルミネーションの最前線を、技術・デザインなどの側面から探り、今後の可能性について鼎談します。