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「戦後70年、メディアの取り組み」
大切な記憶の継承から、新たな祈りの発信まで(2)

2015/09/29

    平和への思い 今こそ

    8月15日、戦後70年を迎えた。大きな節目を機に、各メディアは多角的な視点から戦争に向き合い、特集やプロジェクト、キャンペーンやイベントなどさまざまな取り組みを展開。メディアの特性や強みを生かしながら工夫を凝らし、戦争の記憶・記録の継承の重要性や平和への祈念などを発信している。その一部を紹介する。


    TBSラジオ

    おじいちゃん、おばあちゃんの体験を録音して未来に残す

    TBSラジオは、戦後70年が経過し、戦争体験者から直接話を聞く機会が減ってきていることを背景に、「おじいちゃん、おばあちゃんの体験を残そう~1万人の声・戦争体験談プロジェクト」キャン ペーンを展開。一般の人たちから体験談・証言の音声を募った。普段はなかなか聞く機会がない肉親の戦争体験を家族の記憶として共有する機会をつくり、音声ファイルとして放送後もアーカイブし、将来に向け広く共有することを意図している。

    8月15日、レギュラー番組「土曜ワイドラジオTOKYO」を終戦特番として放送。また、7月5日から毎週日曜日6回にわたり、「ハンセン病と戦争」「小林悠 樺太・70年の家路」などさまざまな角度から戦争を考える特別番組を放送した。
    www.tbs.co.jp/radio/sengo70/


    文化放送

    風化させないために「貴重な戦争体験」を伝える

    文化放送は8月15日、生放送で特別番組「終戦の日・ 報道スペシャル“70回目の8.15”~語り継ぐべきこと~」を放送した。テーマは、「風化させてはいけない『貴重な戦争体験』を伝えること」。独自の戦争取材活動を続ける詩人のアーサー・ビナードさん取材による玉音放送を聴いた人の思い、大空襲を体験した作家・森村誠一さんとビナードさんの対談、作家・半藤一利さんの戦争体験などが紹介された。

    また、レギュラー番組でも戦争の記憶を風化させず、平和の尊さを語り継ぐための企画を展開。「くにまるジャパン」では、故星新一さんの孫弟子で作家の田丸雅智さんをゲストに、同局のアナウンサー5人が戦争と平和について「ショートショート作品」を書き、朗読する企画を実施した。
    www.joqr.co.jp/sengo70/


    ニッポン放送

    “歌”で振り返る戦後70年の変遷

    ニッポン放送は、「戦後70年」をテーマに三つの特別企画を実施。それぞれ異なる切り口で、70年の変遷にアプローチした。8月15日の午前5時から12時間にわたり、ワンデー企画「戦後70年~歌とニッポン~」を行った。同時間帯の各レギュラー番組で、戦後70年を彩った「歌」を統一テーマに特集。8月23日には、特別番組「川柳川柳(かわやなぎせんりゅう)のガーコン一代記 歌は世につれ」で、昭和歌謡史ともいえる84歳の落語家の代表作「ガーコン」の浅草演芸ホールでのライブ収録を放送。さらに同日、「ヤンキー先生・義家弘介の夏期講習スペシャル いま僕たちにできること」を放送した。
    「高嶋ひでたけのあさラジ!」「徳光和夫 とくモリ!歌謡サタデー」などレギュラー番組でも、戦後70年にフォーカスした番組を展開した。


    日本雑誌協会

    全国1300書店が18社31誌で戦争を考えるフェア

    フタバ図書MEGA中筋店(広島県)

    日本雑誌協会は、「マガフェス 2015-2016 」の第1弾として、同協会初となるテーマフェア「戦争を考えよう」を7~9月、全国の書店約1300店舗で展開している。テーマは「戦後70年 今だから伝えたいことがある」。戦争とは何なのか、どう向き合い、今後はどのような道を歩むべきなのかなど戦争を考えるきっかけになることを目指している。

    対象は、7月6日以降に発売された雑誌。さまざまな視点から戦争にアプローチした雑誌やムック、分冊百科など18社31誌が出そろう。各店舗では、ポスター、POP、映像などで独自に特設コーナーを盛り上げ、雑誌ならではの発信力をアピールしている。


    真珠湾で慰霊と平和祈念の長岡花火打ち上げ

    8月15、16の両日(日本時間)、姉妹都市の長岡市とホノルル市は、米ハワイ州で開催した「太平洋戦争終結70周年追悼式典」「平和友好記念式典」で、長岡花火を打ち上げた。日米両国の戦没者の慰霊と戦後の復興に尽力した先人への感謝、恒久平和への祈りを込めて、オアフ島パールハーバーの夜空に白一色の鎮魂の花火「白菊」が“献花”された。
    TeNYテレビ新潟は式典の模様を特別番組で生放送。市内中心にある複合施設アオーレ長岡ではパブリックビューイングが行われ、長岡市民も花火の打ち上げを見守り、両市の市民が心を合わせて平和を祈った。
    これは長岡市の平和交流記念事業の一つ、「Message of Peace 」プロジェクトの一環でもある。コンセプトは「平和を願い、未来を想う花火を、世界中であげていきたい。」。プロジェクトでは長岡造形大の学生47人が平和への思いを込めて特大のイラストを描き、202人もの長岡の小学生が、そのイラストのキャンバスの上で、小さな体を使って元気いっぱいに大きな美しい長岡の花火を表現した。その詳細や動画は特設サイトで閲覧できる。

    また、パールハーバーでの長岡花火打ち上げに向けて、新潟日報は8月2日に全ページカラー、8月15日には水曜会加盟紙(河北新報、新潟日報、信濃毎日新聞、京都新聞、神戸新聞、山陽新聞、中国新聞)が5段カラーでこのビジュアルを掲載した。

    http://www.city.nagaoka.niigata.jp/dpage/peace-project/message.html