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Experience Driven ShowcaseNo.34

ミツカンミュージアム(MIM)がオープン!
創業200年以上にわたる変革と挑戦の歴史を、ミュージアムで伝える。

2015/11/16

11月8日、ミツカングループが、愛知県半田市の本社地区内の博物館「酢の里」をリニューアルし「ミツカンミュージアム」(MIM=ミム)としてオープンしました。面積も2倍に拡大し、体験型要素をたっぷり盛り込んだこのミュージアムの企画は、電通イベント&スペース・デザイン局が担当しました。その概要をリポートします。

取材・編集構成:金原亜紀 電通イベント&スペース・デザイン局

 

■酢づくりをイノベートした、ミツカングループ初代「又左衛門」

ミツカングループの初代又左衛門は宝暦6年(1756年)、愛知県半田村の有力な酒造家であった中野半左衛門家に請われ養子に入り、20余年にわたり半左衛門家の家業を守り続けました。
文化元年(1804年)に正式に分家を許された又左衛門は江戸に向かい、当時流行のきざしを見せ始めていた「半熟れ(はんなれ)」に出合います。

※半熟れ:現在のにぎりりずしの原型。もともとの“すし”は塩漬けにした魚を米飯に漬け、乳酸発酵させる熟れずしで1年以上かけて作っていた。酢を一部加えて発酵を早めた押しずしの一種が半熟れずし。

 

又左衛門は、現在のミツカングループの基となる中野又左衛門家を興し、酒造業のかたわら、酒粕を原料とした“粕酢”の製造を始めました。しかし、酒と酢の相性は元来悪く、酢のもとになる酢酸菌が酒をだめにしてしまいましたが、そのリスクをあえて承知で粕酢造りに取り組んだ初代又左衛門は、まさに江戸の起業家でありイノベーターだったといえます。

 

■地域の歴史が育んだ社業の技術や歴史を、次世代の子どもたちに伝える

ミツカンミュージアムはそんな創業時から受け継がれている変革と挑戦の歴史、酢づくりの技術や醸造技術を使った食品での社会貢献、地域に根差す企業としての地域活性化への取り組み、次世代の子どもたちに日本の食文化の魅力を伝えることなどを目的にしています。

「伝統・革新・環境」をテーマに、半田の古くから続く魅力的な黒塀の景観の中に溶け込むようにつくられました。ミツカンミュージアムの名称はミツカングループの社員応募から選ばれ、愛称の「MIM(ミム)」のロゴはグラフィックデザイナーの佐藤卓氏によるもので、ミツカン半田工場の屋根が連なる姿を表現しています。

黒塀が印象的な景観
ロゴデザインは佐藤卓氏によるもの

「大地の蔵」 
江戸時代に使われた酢づくりの道具を博物的に展示し、脈々と受け継がれたミツカングループのものづくりの精神を伝えています。

©Forward Stroke Inc.
 

「風の回廊」
半田の土地の記憶と共に歩み、ものづくりをしてきたミツカングループの歴史を、昔からの地域との交流の歴史を追った写真ギャラリーで伝えています。

©Forward Stroke Inc.

「時の蔵」
江戸時代から続くミツカングループの変革と挑戦の歩みを、当時にタイムスリップするような空間や映像で伝えています。圧巻は酢を運ぶ航海を疑似体験できる「弁才船」。江戸時代を中心に活躍した長さ20メートル、高さ5メートルの大型木造船に乗り、最新のCG映像による航海を楽しめます。

©Forward Stroke Inc.
 

「水のシアター」
お客さまの健康を願うミツカングループの思い、さまざまな日本の食文化につながる自然・季節といのちを見つめる洞察を、情緒的かつダイナミックな映像と迫力ある立体音響で味わいます。

©Forward Stroke Inc.

「光の庭」
食材・季節・地域・調理器具・調味料や調理法などの日本の食文化を切り口に、食文化そのものをイノベートしてきたミツカングループの取り組みを、体験型コンテンツを通して学べます。

いかがでしたでしょうか。足を運んでぜひ体験いただければうれしいです。

次回は、ミュージアムの建築設計を手掛けたNTTファシリティーズの小川大志氏、展示の映像作品をつくったロボットの清水健太氏、企画を担当した電通テックの遠藤聡氏と、プロデューサーである電通イベント&スペース・デザイン局の内藤純氏の座談会をお届けします。