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オムニチャネルはこれからどうなる? Q5.マーケティングはどう変わるのか。

電通がオムニチャネルについて考える。 №8

  • 神野 潤一
  • 堀北 幸裕
  • 松永 久
  • 丸山 裕史
  • 上原 拓真
  • 渡邉 弘毅

2015/12/05

オムニチャネルはこれからどうなる? Q5.マーケティングはどう変わるのか。

オムニチャネルにまつわる5つのお題に対し、電通社員が「今後どうなっていくのか?」をフリップで答える企画。最終回となる第5回のテーマは「マーケティング」です。
4名の回答者の自己紹介を含む、第1回はコチラ。


生活者の心に潜むニーズを捉え、応えていく

丸山:では、最後の問いです。オムニチャネル時代にマーケティングはどう変化するのか。こちらもQ.4の「メディア」と同じく、かなり意味が広くなってくるかと思います。まずは、上原さんからいきましょうか。

A.1:「手と頭と心」

上原:手、頭、心にそれぞれA、B、Cと振ってみました。

Aの手のひらで購入ボタンをポンとするのは顕在化しているデマンド=需要です。Bは頭というか、脳で欲しいものを分かっている状態。いわばウォンツ=欲求です。そしてCはニーズ=必要が眠っている心。

すでに需要として顕在化しているデマンドは当然捉えられますし、「こういうのが欲しい」という欲求があるウォンツの部分はデータ分析でかなり見えるようになっています。そうすると、僕らがすべきマーケティングは生活者が自覚できていないけどあったら「必要だ」と気付かせるような、心=ニーズを捉えることだと思うんです。要するに、ニーズ起点でマーケティングをしよう、と。

手や脳から見える世界を超えて、生活者の心という見えない世界をもっともっと掘り下げて考えていくことに僕らの活路があるし、それが今後のマーケティングの形であり、本来のあるべき姿だと思っています。


A.2:「広告×販促 商品×顧客 リアル×EC 分析力×実施力」

松永:いろいろ書きましたが、多種多様なデータが取得でき、ユーザーの動向や関心などが可視化されていくと、「広告×販促」「商品×顧客」「リアル×EC」といったさまざまな切り口が最適化されていくと思います。

ただ、データが取れるとそれでいろいろなことが解決したように思ってしまうのですが、やはり分析力こそ勝負で。そして、分析して施策を実施し、PDCAを回していかないと成果は伸びていかない。常に生活者もメディアも、商品も変わりますから、実施し続けて地道に改善していくということがやはり必要です。

丸山:だから、「分析力×実施力」が強調されているんですね。

松永:ええ。今後のマーケティングは、ここが最も求められるようになる。そこを電通としてサポートできればと思いますし、上原君の話に関連すると、ニーズを掘り起こしていくのも我々の役割だと思います。購買データを分析するのもいいですが、それはやはり結果から見えることにとどまるので、生活者の脳や心にある気持ちに右脳的にも左脳的にもアプローチしていく。それができるのが、我々でありたいと思いますね。


A.3:「難」

渡邉:さて、堀北さんはまた…(笑)。

堀北:一貫させてみました(笑)。でも本当に、難しいなというのが率直に思うことですね。もちろん、そこからどうするかということが大きなチャレンジなので、難しいイコール取り組みがいがある、ということです。

ツールやメディアが増えたということは、選択肢が増えたということで、我々が考えるべきことの範囲はどんどん広がっています。データ分析から明らかにできることも増えていますが、そのメリットを凌駕する勢いで考えるべきことのファクターが増加している。

これは、掛け合わせる要素の数が増えていくということで、指数関数的に複雑になりますね。でも、だからこそ電通が戦える領域なんじゃないかという気もしていて。というのは、これまでも何かと何かの間を取り持って、様々で複雑な制約の中からより良い成果や関係性をつくり出そうとしてきていたのが我々広告に携わる人間だったからです。今まで以上に僕らの仕事も難しくなるのは自明なのですが、今後この業界にいる限りは、オムニチャネル時代の複雑化し続けるマーケティングを考えていくことになると思っています。

渡邉:難しいからこそ、チャンスがあると考えたいですね。

堀北:まさに、そう思いますね。Q2の「リテール」のところで、進化の話が出ましたが、環境が変わって進化が迫られるときこそ、生物がよりよく変容するチャンスでもある。電通も、そういう状況に置かれていると思います。


A.4:「個人」

神野:マーケティングの定義を、「商品やサービスを知ってもらい、買ってもらう」一連の活動だとすると、より「個人」起点の発想が必要になるだろうと考えました。

データ分析の点でもそうだと思いますが、昔なら「この商品がどれだけ売れたか」がベースになっていた。それが今は、誰がどんなきっかけで、どんな形で買ったのか、そういう個人のインサイトを見つめるのが当たり前になっていますよね。インサイトの把握があってこそ、その先の改善につながるというか。

考える単位が、より個人になっている。となると、ではどこまできめ細かに追いかけられるかが、我々には問われていると思います。

丸山:そういう考え方を、神野さんと堀北さんのいるプロモーションデザイン局へ反映し始めている感じですか?

神野:そう思いますね。プロモーションデザイン局では、購買行動分析を起点として、情報を得てから購買に至る全体プロセスの設計に電通の持つクリエーティブ、メディア、販促、データ分析など様々な分野の専門性を生かそうとしています。メーカークライアントとリテールクライアントを結びつけるにしても、単に相互のメリットを考えるというよりは、社会の中でその企業がどういう機能を果たし、どう結びつくと個人に与える価値が最大化するだろうかと、そういう視点で取り組んでいます。

松永:究極的には、個人に与える価値を最大化させて、経済の活性化につなげたいですね。結局いつの時代もそうですが、GDPが増えないと企業間の消費の奪い合いになる。GDPが増えても、もちろん競争はあるわけですが、オムニチャネル化の流れの中で生活者の新しい需要をどう呼び起こして、どう捉えていくかということに、企業とともに取り組んでいければと思います。