オムニチャネルはこれからどうなる? Q4.メディアはどう変わるのか。

電通がオムニチャネルについて考える。 №7

  • 神野 潤一
  • 堀北 幸裕
  • 松永 久
  • 丸山 裕史
  • 上原 拓真
  • 渡邉 弘毅

2015/12/04

オムニチャネルはこれからどうなる? Q4.メディアはどう変わるのか。

オムニチャネルにまつわる5つのお題に対し、電通社員が「今後どうなっていくのか?」をフリップで答える企画。第4回のテーマは「メディア」です。
4名の回答者の自己紹介を含む、第1回はコチラ。


今まで以上に「何を」「どこで」発信すべきかが問われる

丸山:4つ目の問いは、メディアがどうなるか。そもそも、メディアという言葉の定義が広くなってきていますよね。マスメディアなどにとどまらず、例えばリテール店頭やEコマースサイトもメディアと捉えられるようになってきたと思いますし。

メディアという言葉の捉え方も含めて、では神野さん、いかがでしょう?

A.1:「?」

神野:ハテナ?、と。これは、分からないという意味ではなくて、メディアが多様化する中で、そのメディアで「何を?」「どのように?」伝えるかを一層深く考える必要がある…という意味を込めて「?」と書きました。

丸山さんの指摘の通りで、店頭やEコマースサイトを含むありとあらゆるところが情報を発信し、受け取る接点になっていますよね。生活者がわざわざメディアに接触しにいかずとも、生活の中に溶け込んだあらゆる場面でメッセージをやり取りするようになる。となると、どう溶け込んでいるか、どのように存在しているかによって、おのずと伝える方法や伝え方は変わります。だから、メディアとコンテンツは不可分であると思っています。

丸山:すると、メディアが捉えづらいと、設計もしづらいということになりますか?

神野:そうですね…確かに、とにかくメディアの概念そのものが広がって、どこからどこまでがメディアだと言いにくくなっている。だから「メディアを選ぶ」といった発想ではなく、ひとつのマーケティング活動として捉える方が分かりやすいし、その中でメディアの活用も立体的に考えていくようになるでしょうね。

オムニチャネル戦略が複数の接点を活用して生活者と向き合うことだとするならば、それは少し前に電通が提唱した「マーケティング・コンバージェンス」ともいえるかもしれません。メディアがどう変化するかということに答えるなら「今まで以上に『?』と問うことになる」と思います。


A.2「それとこれとは別の話?」

堀北:僕は、オムニチャネル化とメディアの多様化は、別の話だと思っています。なのでこう書いたんですが、でも末尾に「?」とつけているあたり、そう言い切れないなというところもあるかもと(笑)。

テクノロジーの進化によってオムニチャネルが発生し、またテクノロジーの進化によってメディアも変化しているわけなので、根っこは同じだと思いますけど。たとえば「店舗がメディアだ」という考えは、実は昔からそうだともいえるわけで。店舗でできることはたしかに広がっているし、あり方も変わっているけれど、接点という意味での「広義のメディア」というくくりの中では、「オムニチャネル時代だから変わった」といえる変化は発生していないと思います。


A.3「魅力的なコンテンツ」

松永:僕は、メディアインテリジェンス開発部というところにいることもあって、コンテンツ発信元となる狭義のメディアについて考えてみました。メディアがどう変わるかというと「魅力的なコンテンツに一層注力していく」ようになると思うし、そうすることが得策ではないか、と思っています。

Q3のメーカーのところで「商品力」を挙げたように、メディアはより「コンテンツ力」が問われるのではないでしょうか。生活者に支持されるメディアに、広告も集まっていく。 既存メディアのデジタル化や、たとえばリテールと組んだ物販など、新しい試みも模索されています。これはこれで素晴らしい取り組みですが、個人的には本分であるコンテンツに注力して、支持され続ければ、エコシステムにそのままいられると思います。

渡邉:さまざまなデータが取れるようになって、統合されていくという状況下でも、それは変わらないと?

松永:そうですね。もちろん、既存のオフラインメディアも含めて接触状況を追跡し、蓄積できるようになっていきますが、そうするとなおのこと、これまで明らかにならなかった部分も合わせて評価されることになりますよね。だからこそ、魅力的なコンテンツを出し続ける必要があるといえます。 ただ、これはメディア視点で書いたので、僕ら電通としてはまた別に、すべきことがあると考えています。メディアがコンテンツに注力する分、僕らは蓄積するデータをどう活用し、メーカーやリテールとどうつなげていくか、そういうことをさらに探っていきたいですね。


A.4:「すべてCMOがハンドリング 」

上原:僕が描いたのは、企業の中心にデータベースがあり、その周囲にメディアがつながって効率化していく…という状況です。CMO(最高マーケティング責任者)がこれをコントロールしている。いくつかの先進的な企業は、こういう形でマスメディアもEコマースや店舗もすべてを自社とつないで、フラットに統合化してハンドリングし始めている状況があります。 で、こうなってはいけないという意味で描いたのが、端っこで困った顔をしている広告会社。今回の5つの問いの中で、僕がいちばん危機感を感じたのがこの「メディアはどうなるか」という問いなんです。実際、いわゆる昔ながらの広告代理業だけでは成り立たないのは事実なので、僕らの強みをいったん棚卸しして、新たにこの環境で機能するように変わらないといけない。意識は、松永さんが言われたことと同じですね。

丸山:メディアが変われば、当然メディアビジネスのあり方も変わりますし、我々も当然これまで通りではいかないですよね。

上原:そうですね。でも、困った顔なんか描いてしまいましたけど(笑)、僕自身は広告会社には大きな可能性があると思っているんです。本質的なものを捉えることと、実行することの両方に長けている。 もちろん、実行という点では特にデジタル領域だと専門事業者がどんどん出てきています。ただ、あらゆる顧客接点を束ねて一貫性のあるコミュニケーションを設計すれば、結果的にブランドが統一されてユーザーも気持ちがいいと思うので、それができる点は自信を持ちたいと思っています。

神野:確かに、個々の領域の専門性も高まっているので、僕らはそれらをも含めて設計するという視点に振り切らないといけない。いちばん避けたいのは、統合などと言いながら中途半端になってしまうことですね。 伝えたいものや売りたいものの根源的な価値を捉えて、それを誰にどう届けるかという発想はやはり電通に強みがあると思うので、そこを掘り下げていくことが迫られていると感じますね。


Q.5「オムニチャネル時代、マーケティングはどう変化する?」へつづく