スポーツマーケティングにJKT48を使ったら…
2016/01/08
人口で2億を超える新興工業国インドネシア。首都圏には2800万人が集中していますが、首都ジャカルタは世界で珍しい、高速輸送システムが整っていない大都市です。ジャカルタの運輸局によれば、平日にジャカルタの道路を埋め尽くす990万台の自動車、バイク、トラックなどの車両のうち200万台が西ジャワやバンテンといった近隣の自治体から首都に向かうそうです。
交通の大混雑が日常の風景となっているジャカルタですが、半面、その交通状況は最古のメディアの一つである屋外広告などのOut-of-Home(OOH)メディアにとっては好都合です。視認機会が多く、滞留時間が長い上、さらにモール、輸送ハブ、スポーツ会場といった人々がよく利用する場でのビジネスチャンスを広げています。
また、人口が多いインドネシアは、特に消費財を扱う会社にとって魅力的な市場です。事実、2013年における広告費では、消費財が全体の33%を占めてトップでした。メディア浸透率ではトップがテレビ(33%)で、2位にはなんとOOHメディア(25%)が続きます。
「ポスタースコープ・インドネシア」は、OOH専門のメディアエージェンシーとしてイギリスを拠点に世界展開するポスタースコープのインドネシア現地法人です。家の外で人々が何を考え、感じているのかその情報を元にデータ、技術、人材を駆使して、クリエーティブで定量的なOOHソリューションを提供することで、クライアントのビジネスに革新をもたらしています。
ポスタースコープは、人口、地域別などの豊富な市場データを自動的に集積するシステムを持っていますが、その解析結果によって消費者の行動パターンを詳細に理解できることが大きな強みです。また、屋外消費者調査(OCS)は、インドネシア全土でターゲットに定めた消費者像を明らかにするのに役立ち、特定ブランドに対するターゲット層の意識を詳細に導き出す重要なツールとなっています。
電通は、2014年に電通イージスネットワーク(DAN)の拠点がある国で「電通ケーパビリティーロードショー」を展開しました。インドネシアでは9月10日に開催されましたが、様々な業界の代表が集い、DANインドネシアの社員・幹部も500人近く参加。そのほとんどの人たちが、電通のケーパビリティーに驚きを隠せませんでした。イノベーション、テクノロジー、クリエーティビティーの全てを新しい視点から見つめ、普通では全く思いつけないことを実現する。そのインパクトは今でも話題に上り、DANインドネシアの新たな精神として取り入れられています。
数あるテーマの中でも、ポスタースコープ・インドネシアが特に興味を持ったのはスポーツマーケティングです。スポーツマーケティングは、実はOOHビジネスと深く関わっている分野です。どのように関わっているかといえば、ほとんどのスポーツは公共の場所で行われるので、より多くのオーディエンスが広告を見る機会となります。当然ながら、スポーツはインドネシアでも成長しています。DANの消費者コネクション調査(CCS)によると、15~34歳の男性の約75%が趣味として「スポーツ」を挙げています。これはインドネシア、特にジャカルタやスラバヤのような大都市におけるスポーツのポテンシャルを示す結果です。
一方、ポスタースコープ・インドネシアでは、AKB48から派生したご当地アイドル「JKT48」をユニークで重要なコンテンツとして捉えています。JKT48はインドネシアで300万人以上のファンがいて、この数字は大きなポテンシャルを意味します。ファンの手前、アイドルたちは健康でスリムでなくてはいけません。こうしたアイドルが、健康的な若い世代を代表してスポーツイベントのアンバサダーになったらどうでしょう。単なるイベントに終わらず、インドネシアの若者を巻き込んだ健康ムーブメントに発展し、大きなインパクトをもたらすはずです。
過去5年間でたくさんのマラソンイベントがインドネシアで開催されましたが、回を重ねるごとにクリエーティブになり、参加者も増え続けています。その理由は、「健康的な生活をすることが皆の夢(目標)だから」。特に大都会に住んでいる人は健康的になろうと必死です。こうした人々は格好のターゲットになり得ると同時に、セグメント化された未開拓のターゲットなので、キャンペーンを通して積極果敢に訴えることできます。
例えば、シティーマラソンで「JKT48 Fun Run」 (JKT48と一緒に楽しく走ろう!)といった企画を提案するとしましょう。ソーシャルメディアを使って全国300万人超のファンに、「出身都市から健康ムーブメントを広げていく活動に参加しよう!」と呼びかけるのです。それは都市と都市を結ぶマラソンラリーで、コースに入っている都市ではJKT48のメンバー数人が地元ファンと一緒に走り、ゴールとなるジャカルタではメンバー全員が登場し、彼女たちがファンと共にマラソンを走り切る形となります。
クリエーティブ分野では、ゲーム、アプリ、スポーツ大会、マーチャンダイジング、ライブコンサートなどでソーシャルメディアを使ってつながる機会が多くあります。JKT48を健康ムーブメントのアンバサダーとして迎えれば、スポンサーをつけることもできます。健康飲料、テレコム事業者、スポーツ用品メーカー、アパレル、健康スナック、金融、コンビニなどが考えられます。
健康的な若者を育てようという政府の方針にも沿っているこうした企画は、DANが提案者となればPRやマーケティング分野で様々なリットがあります。
また、テレビ、ラジオ、印刷物の各メディアとタイアップして独占契約を結ぶこともできます。当然、デジタルの力も利用します。すでにソーシャルメディアを通してファンと絆を結んでいるJKT48だからこそ、バイラルマーケティング手法で広がりが期待できます。もちろん、ポスタースコープ・インドネシアにとっても大きなチャンスが広がります。従来のOOHで一定のキャンペーン期間にムーブメントそのものをサポートし、デジタルOOH(LED看板)やハイパースペースメディア(伝統的手法、テクノロジー、デジタル、ソーシャルメディアの組み合わせ)を使えば、さらに多くの人々を巻き込んでいけるでしょう。さらに、日本の先端技術をDANのスペシャリストが導入することで類を見ないユニークなマラソンイベントを届けることができるはずです。
このように、電通が持つ先端技術、クリエーティブ、そしてスポーツマーケティングのノウハウを、DANのOOH、デジタル、アクティベーション、クリエーティブスペシャリストと組み合わせてシナジーをもたらすことで、クライアントに最適な提案ができるのです。