中国の多様と画一

セカイメガネ №41

  • 津布楽 一樹

2016/01/20

中国の多様と画一

中国。

外国人は中国をひとくくりに語ろうとすることが多いのではないか。中国人、中国語、中華料理などなど。こちらで働き始めた当初、中国人の友人にこんなことを言われた。「中国って○○と言うことは、南米って○○って言うようなものですよ」

よく考えてみればその通りだ。面積、人口、文化、そして言語もだ。それだけでなく、世界には多くの華僑もいる。“ABC”と呼ばれるアメリカ生まれの中華系も多い。そして中国に生まれ、留学をした後帰国する者もいる。冷静に考えてみれば人口10億以上の国をひとくくりに考えること自体がおかしいの
だ。北京、上海、広州3大都市圏の人口全てを合わせても中国全体の5%以下である。

料理もそう。外国人はよく「今日は何を食べに行こうか?」という問いに、「うーん、イタリアンかなあ、和食かなあ。よし中華にしよう」といった会話をする。中国人の回答は少々異なる。「羊串に行こう」「火鍋に行こう」「牛肉麺に行こう」。東北か、四川か、湖南か、その土地土地を代表する料理を食べに行く感覚だ。友人いわく、「国内だけでも多種多様な料理があるから海外の料理をわざわざ食べる必要があまりない」。

デジタルの日常への浸透が驚異的なのもこの国の一つの側面だ。街中、レストラン、オフィス。あらゆ
る場面で、老若男女問わず、スマートフォンやタブレットを通じてさまざまなコンテンツをじっと眺めているのが日常の光景だ。きっと、肩凝りやつまずく人の数が急増していることだろう。目線を上げるのは、街中で起こっているイベントを撮影したり、セルフィーする時くらいなのではと思ってしまう。

Baidu(百度)、Alibaba(アリババ)、Tencent(騰訊)の3大インターネット企業グループが検索か
らSNS、アプリストア、Eコマース、ゲームや音楽・映像のエンターテインメント、決済、旅行、タクシーなど生活に関するあらゆるものを統合し提供している。生活者からすると非常に便利である。多種多様が主流だった中国に、デジタルの発展により画一的なサービスや価値観が芽生えてきている。

多様と画一。一見すると相反するこの両側面を、いともたやすく使いこなしている中国社会。彼らにとっては相反しているのではなく、良いものを組み合わせて活用しているだけなのかもしれない。近い将来、その先に、新しいイノベーションが起こるのではと期待に胸がふくらむばかりだ。

(監修:グローバル・ビジネス・センター)

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