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Good JAPAN InnovationNo.8

【愛知】ご縁のある出会いを招く猫。

2016/01/28

「伝統工芸×デザイン」をテーマに優れた日本のものづくりと電通のアートディレクターがコラボレーションして作品を制作し、新たな価値を世界発信するプロジェクト「Good JAPAN Innovation」。第8回は愛知県の招き猫と特殊印刷工法「水圧転写」のコラボレーションです。

完成した招き猫
完成した招き猫

古くから縁起物として親しまれてきた招き猫。左手を上げる猫には「ひと招き」の意味が込められているそうです。
ならば、

ゴエン(=五円)を体にまとったら、
ゴエン(=ご縁)のある出会いを招く猫

になるのでは?
そんな思いを形にしたプロジェクトです。
私、松長が担当させていただき、愛知県常滑市の常滑焼卸売の老舗ヤマタネさんと、クオリティーの高い水圧転写技術をお持ちのBIG ONESさんのコラボレーションで実現しました。

招き猫を求めて。

愛知県常滑市は、日本六古窯のひとつである常滑焼によって栄えてきた街で、招き猫の一大産地です。招き猫を求めてヤマタネ代表の伊奈義隆さんのもとへ伺いました。

常滑焼の招き猫は、生産量のシェア80%を誇ります。全国各地にそれぞれいわれのある招き猫がありますが、戦後間もなく、焼き物の産地である常滑が二頭身デザインの招き猫の量産に成功したことにより、産地として全国的に有名になったそうです。

店内には招き猫がずらりと並ぶ。
店内には招き猫がずらりと並ぶ。
製造途中の様子。型に入れ形を整えた後、焼き上げる。
製造途中の様子。型に入れ形を整えた後、焼き上げる。

招福・商売繁盛・千客万来・家内安全を祈願する置物として人気の高い招き猫ですが、左手を上げた招き猫は「お客さまを招く」と言われ、また金色は金運を招くといわれています。
海外においても「ラッキーキャット」の愛称で幸運を招くマスコットとして人気があり、数多く輸出されているそうです。

常滑焼の招き猫の絵付けは、焼き上がった後に行われます。ですので後からイラストなどを乗せることにも適しています。
今回は、五円玉が敷き詰められた写真を絵柄として入れるために、白無垢の招き猫を頂くことにしました。

美しくゴエンをまといたい。

白い無垢の猫は手に入れました。
しかしどうやって美しくきれいに五円玉の絵柄をマッピングさせよう…。そこで出合ったのが水圧転写でした。

水圧転写とは、特殊フィルムに印刷された絵柄を水圧を利用して素材の表面に転写する技法のことです。従来の技術では難しかった曲面や凹凸部分での絵柄の表現を可能にします。

白無垢の招き猫
白無垢の招き猫
五円玉をきれいに敷き詰め撮影し、特殊フィルム用の素材を作ります。
五円玉をきれいに敷き詰め撮影し、特殊フィルム用の素材を作ります。
曲面が多く、かつ複雑
曲面が多く、かつ複雑
小判部分の凹凸も複雑
小判部分の凹凸も複雑

凹凸や曲面が多く存在する招き猫像には最適な技法。
ただ、うまくいくのか…。
無理を承知でBIG ONES代表の松井俊明さんのところに駆け込んでみました。

どうすればより良く転写できるか思考する松井さん
どうすればより良く転写できるか思考する松井さん

水圧転写技術の経験が豊富な松井さんに話を持ちかけたところ快くご協力いただけることになりました。
招き猫への転写は初めてとのことでしたが、最初に下地としてゴールドメタリック塗装を施すことや、360度ぐるりと転写する際に継ぎ目を目立たなくする方法など、さまざまなご提案や試行錯誤をいただきました。

水圧転写の様子を動画でご覧ください。

メーキングムービー ※音声無しです


こうして多くの方のご協力と技によって「ご縁のある出会いを招く猫」が実現しました。みなさまにも、ご縁のある出会いがありますように!

完成した招き猫
完成した招き猫
完成した招き猫

企画協力:伊奈義隆(ヤマタネ)、松井俊明(BIG ONES)
スチール:円尾享宏(トリブス)
進行協力:平田政行、西原遼、山川鴻太(大阪宣伝研究所)石川平(電通関西支社)