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ワカモンのすべてNo.54

「バレンタインデーって、盛り上がる?」
モテより、ウケを重視する若者たち。

2016/02/10

皆さんもよく耳にし、今では定着した“草食系男子”という言葉。
近頃では“ソフレ”(添い寝フレンドの略、つまり…恋人ではなく添い寝するだけの男女関係)“キスフレ”(恋人ではなくキスするだけの男女関係)という言葉まで出てきました。

そんな最近の若者の恋愛に、「よく分からない!」「どこか熱がない」と思うことも多いと思います。とはいえ、いつの時代も、恋愛は若者のテーマであり、価値観を象徴しているはず!ということで、今回はそんなイマドキ若者の恋愛観を掘り下げ、彼らが何を大事にしているのか?を考えていきます。

 

恋愛することは、めんどくさい?

電通ワカモンでは、大学生団体などを中心に、東京・大阪・名古屋で定期的にワークセッションを行い、若者のリアルな感覚をつかんでいます。

学生とワークセッションを行う筆者


今回、バレンタインデーも近いということで、「イマドキの恋愛観」について聞いてみました。
すると、返ってきたコメントが

・モテたいです。けど“友達”と“恋人”だと、友達がいなくなることの方が嫌ですね。
(男子大学生・20歳)

・友達から恋人に発展することが多いからこそ、空気読んで告白してほしい。面倒くさくなるのは嫌だから。
(女子大学生・21歳)

・ノリが一番大事。友達と一緒にいたいから、彼女が人見知りだと無理。
(男子大学生・22歳)

とのこと。
恋愛観に関する質問なのに“友達”を意識したコメントが多い印象を受けました。「平成学生調査」(2012年実施)では、“異性との交際をする意味がある”と答えた人が83.1%と、やはり恋人がいる方が“リア充”であるという感覚は持っているものの、一方で“恋愛は面倒くさい”と答えた人が48.3%と約半数。「若者まるわかり調査」(2015年実施)では、所属しているグループ・つながりは7.1個。といったように、大事にしたい“つながり”が増えたことにより、特定の個人に時間をなかなか割くことができない現状が垣間見えます。

 

恋愛模様も、自己表現のひとつ?

では、恋愛とSNSの関係はどうなのでしょうか?
「自分の恋愛模様をSNSで投稿するのか?」という質問に対し、

・もらったプレゼントとかの写真を上げて、遠回しに彼氏にうれしいアピールしてます。でも、(ウザいと思われないよう)みんなが“いいなー!”ってなるトーンはしっかり守って投稿します。
(女子大学生・22歳)

・彼氏にあげる手づくりりお菓子とか投稿します。正直、味がどうこうというよりも、SNSに投稿したいから「見た目のかわいさ」重視になってきたなと思います。別にいらない砂糖のかわいい飾り載せたり。
(女子大学生・22歳)

・割合だと思います。恋愛っぽいこととネタっぽいことのバランスが大事、的な。
(男子大学生・20歳)

学生からのコメントに驚く筆者
 

などのコメントが見られました。
昔は、おおっぴらに公言するものではなかった恋愛模様ですが、いまではそれすらも自己表現のツールとなっています。
「世界中の愛をカタチに。」をコンセプトに、カップルのデートにカメラマンが同行し、二人だけの想い出を残す話題のサービス「ラブグラフ」代表の駒下純兵さんにも、イマドキの若者の恋愛観についてお聞きしてみました。

「ひと昔まえの男性は、いい車を買ったりと、いかに自分がモテるかが大事だったように思います。でもSNSの普及によって、今は周囲の人から見られることが多くなりましたよね。そうなると、男性であれば『彼女のことを大事にしている』ということを周りの人に認識してもらう方が好感度も高くなるし、応援してもらえる環境ができる。だからこそ、ラブグラフのようなSNSウケが狙える良い写真が欲しい、ということになるのではないかと考えています。」

 
写真は「ラブグラフ」からご提供いただきました。

若者まるわかり調査でも、“他人から自分がどう思われているか気になる”と答えた人が72.2%、“思い出は共有してこそ価値がある”と答えた人が53.4%と過半数を占めます。他人との関係性の中で、自分の立ち位置を上手につくりたいという意識から、“恋愛模様のコンテンツ化”といった現象が生まれていると考えられます。

 

キーワードは“みんな”

最後に「バレンタインデーって盛り上がると思う?」と聞くと

・バレンタインはクリスマスとかよりも恋愛トーンが強い。お付き合いしている人らのイベントでしょ?って感じ。高校生の時は、クラスみんなで盛り上がれたけど。大学生は冬休み中だし。
(女子大学生・21歳)

・クリスマスは赤と緑で、ハロウィーンはオレンジと黒とか、みんなでそろえるテーマがあって盛り上がれるけどバレンタインって何?って少しなる。
(女子大学生・22歳)

・今年のバレンタインは、女の子5人で集まりますが、たまたまとはいえ、一応バレンタインを意識して過ごす計画は立てています。
(女子大学生・22歳)

とのことで、あまり恋愛観を強く押し出し過ぎた空気よりも、ハロウィーンやクリスマスのような恋人だけではなく、大学やサークルなどの友達“みんな”で盛り上がれるようなテーマ性を求めている様子がうかがえます。

ホントは彼氏や彼女がほしいけど、友人やコミュニティーがたくさんあってけっこう忙しいし、“みんな”で盛り上がれることの方が大事に感じる。彼氏や彼女と過ごした思い出は、せっかくだから“みんな”に共有したい。でも、イタいと思われないように、工夫はしよう。

そんな気持ちが、今の若者の根底に流れているように感じます。SNSやスマートフォンの普及により他者との関係が常時接続になった昨今、プライベートな関係に閉じてしまう“モテ”を意識するよりも、他者との関係性の中で消費されていく“ウケ”の要素をうまく取り入れることが、今の若者の恋愛観であり、自己表現の手法なのかもしれません。

さてさて、今年のバレンタインデーはどんな1日になるのでしょうか?


「電通若者研究部ワカモン」ロゴ

【ワカモンプロフィール】
電通若者研究部(通称:ワカモン)は、高校生・大学生を中心にした若者のリアルな実態・マインドと 向き合い、彼らの“今”から、半歩先の未来を明るく活性化するヒントを探るプランニングチームです。彼らのインサイトからこれからの未来を予見し、若者と 社会がよりよい関係を築けるような新ビジネスを実現しています。現在プロジェクトメンバーは、東京本社・関西支社・中部支社に計18人所属しています。ワカモンFacebookページでも情報発信中。