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『SHARED VISION』のおまけNo.6

ソーシャルメディアとどう向き合えばいいんだっけ?

2013/09/26

藤本:僕はソーシャルメディアのなかではツイッターが好きでよく見ているのですが、一般の方のツイートがすごくおもしろかったりしますよね。僕はコピーライターだから、いちおう「言葉のプロ」と言えなくもないわけですけど、自分なんかより面白いことを書いてはるかにリツイートされたりしてる人がいる。それを見て凹んだりすることもあります(笑)。コピーとツイートは目的も性質も違うし、比べるには相当無理があるけれど、どちらも「話題になって広まる」ことをめざしたりしますよね。そうなるとこういう場で、プロとアマチュアの差ってどこにあるのだろうと考えちゃったりして。

廣田:いろんなものを同列に、ある意味では過剰にフラットにするからこそ、ソーシャルメディアは素晴らしいし、同時に厳しいものだと思っています。言い換えれば、ソーシャルメディアには、プロとアマチュアの境界線がないというか、「全員アマチュア」なんです。「上手いこと言う人」はただの「上手いこと言う人」なのであって、お金の話とはいったん切り離して考えないといけない。プロ=そこでお金を儲ける人には、原理上なり得ないと思っています。お金はURLで違うページに飛ばした先で稼いでください、ということですね。

藤本:なるほど。「全員アマチュア」って分かりやすいですね!そう考えると納得も行くし、少しホッとします(笑)。たしかに商売っ気を感じるとあまりシェアとかリツイートしたくないですね。

廣田:「俺はプロだから、俺のツイートには価値があるでしょ? フォローするにはお金払ってよ」みたいな態度を取ってしまうと、またたく間に人は去ってしまいます。評判を獲得することと、お金を稼ぐことって、似ているんですけど、ちょっと違う。それがソーシャルに閉じた場所でプロが成り立たない理由だと思います。ペイドメディアとアーンドメディアの違いというと大げさですが。

八木:映像もデザインも簡単に作れてしまう時代なので、プロが何時間もかけて作った映像と素人の投稿が同列に比較されてしまうのがおもしろいなと個人的には感じています。いろんな人がコンテンツを作って共有できる時代になったことは、いいことだなぁと。ただ、プロだからこそ、クオリティを維持するために専門的なことはちゃんと勉強して、明確な差を出せないと価値がないと思います。自分への戒めも含めて…、むむむ。

藤本:デザインと違って言葉なんて誰でも使えるものだから、さらに厳しいですね。話題になって広まるだけだとアマチュアの仕事と大差なくて、広まった上で心に何が残るかまできちんとコントロールするのがプロの仕事、というふうに自分では考えています。

八木:廣田さんと話していて前に話題になった内容ですが、必ずしもシェアされるコンテンツがよいものだというわけでもなくて、すごくきれいなものとか、いいものは意外とシェアされなかったりする、という話がありました。だから安直に「いいね!」の数に惑わされず、今まで同様、もしくは今まで以上に、プロは純粋にいいコンテンツづくりを目指す、ということが大事かなと思っています。

廣田:今ちょっとクチコミ偏重だと感じます。クチコミってあくまで手段であり、目的ではないですよね。だから、全てが全てクチコミされれば良いというわけでもないと僕は思っています。その人の心の中にだけ、そっと届けばよいものっていっぱいありますし、そういうものの価値がなくなったわけではないんですよ。

「SHARED VISIONのおまけ」は今回で終了です。ご愛読ありがとうございました。またお会いする日まで。