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『SHARED VISION』のおまけNo.2

どこまでが表現の領域なんだろう?

2013/08/01

廣田:僕は、これだけ複雑な時代だからこそ「温故知新」が大事だと思っている派なのですが、お二人が表現していく上でチャレンジしてみたいことってどんなことでしょう?

八木:デザインは人の気持ちをハッピーにできる可能性を秘めているものだと思います。だから、マス広告だけでなくて、もっと広い領域のデザインを手がけてみたいです。商品開発だったり、店舗のデザインだったり。ブックデザインもまたやってみたいです。

藤本:広告ってタイムラインのようにすぐに流れていってしまうものだから、たまには残るものをつくりたいなと僕も思ったりします。たとえばプロダクトとかアプリ、それに廣田くんが書いた本もそう。僕はコピーライターですが、言葉以外にも領域を広げていきたいです。この先の世代にもずっと手元に置いてもらえるようなものをひとつでもつくれたら、幸せだろうなと思います。

八木:次世代のために、なんて大きな話ではないのですが、日本にはすてきな古い物がたくさんあります。デザインを通じてそういうものを若い人に紹介するようなこともしていけたらいいなと思います。

たとえば、私の地元は革細工が有名なのですが、若い人にとっては古くさいものにもなりつつあって。もし新しいマークやデザインができれば、一気にイメージが変わると思うので、そういうお仕事があればやってみたいですね。私も温故知新派のようです。(笑)

藤本:逆に僕はテクノロジー大好き人間なので、新しいものの中にある普遍的な部分を知りたい派かも。技術的に新しいことをやっていても、人の気持ちを動かしているメカニズムはあまり変わっていなかったりしますよね。

だから、いいなと思う表現を見たときは「なぜこれでワクワクしたのだろう?」というふうに考えるようにしています。テクノロジーやデザインもコピーを書くための参考になるし、根っこにあるアイデアの本質を見つけられれば、自分でできる表現の領域も広がるのではないかと思っています。

廣田:表現って、英語では「re-presentation」。本来「改めて現前させる」って意味を持っています。だからそれが紙だろうがWEBだろうが、拍手だろうが、ポエムだろうが、ウィンクだろうが、アスキーアートだろうが、誰かに気付きを与えて、そこに共感したり気持ちが動いたりすることなのであれば、それはすでに表現なんです。