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ゲームからライフスタイルへ。再上陸するテトリスの可能性

テトリス №3

  • アレクセイ パジトノフ
  • マヤ ロジャース
  • 在原 遥子

2016/11/28

ゲームからライフスタイルへ。再上陸するテトリスの可能性

30年近くにわたり、世界中で親しまれてきたパズルゲームの「テトリス」。その象徴である7つのブロック(テトリミノ)やカラーリングは、デザインやコンテンツとしても海外で親しまれています。日本でも、テトリスをデザインやコンテンツとして再ローンチすべく、新ブランド「TETRIS FAB」が始動。そこで、テトリス開発者のアレクセイ・パジトノフ氏と、テトリスコンテンツを統括するマヤ・ロジャース氏、本プロジェクトを共同で行う電通コンテンツビジネス・デザイン・センターキャラクター&ソフト開発部の在原遥子氏が語り合いました。

左から、アレクセイ氏、在原氏、マヤ氏
 

テトリスは「人の欲求」につながっている

 

─「TETRIS FAB」の話を聞く前に、まずテトリスというゲームが誕生したきっかけを教えてください。

アレクセイ:もともとパズルゲームが好きで、いくつかのパズルゲームをプログラミングしていました。テトリスもその中で生まれたひとつ。32歳か33歳の頃でしたね。最初にテトリスのプロトタイプをつくって、スコアもグラフィックもないシンプルな状態でプレーしてみたら、楽しくてやめられなくなってしまったんです(笑)

在原:つくったときは、ここまで世界的に普及すると思っていましたか?

アレクセイ:いや、全く(笑)。「いいゲームができた」とは思いましたが、ここまで広まるとは予想できませんでした。おそらく受け入れられた理由はいくつかあって、そのひとつは「人の欲求」につながっていること。複雑なカオスをシンプルに戻していく、正していくというコンセプトは、人間がやりたがる作業なのではないでしょうか。

 

マヤ:荷物の整理整頓もそうですが、グチャグチャなものって奇麗にしたくなりますよね。それは人がしたいことで、すると癒やされること。テトリスはそこにつながっているから、多くの人がプレーするのかもしれません。

アレクセイ:あとは、ゲームがシンプルだったことも大きかったですね。テトリスが出た1980年代の後半は、コンピューターが急速に普及してきて、その可能性にすごく魅了されていた時期です。ただ一方で、人々はその存在を恐れていました。「人間がコンピューターに取って代わられてしまうかも」と。その中で、テトリスが架け橋になって、コンピューターは恐ろしい存在ではなく、シンプルなゲームを楽しめるものだと認知されていきました。

もちろん、同時期にゲームボーイが発売され、一緒に広まっていったのも大きかったですよ。ゲームボーイは、テトリスにとって完璧なデバイスでしたから。

抽象的な7つのブロックに見いだす可能性

 

─ 今やゲームとしてだけでなく、さまざまな業種のブランド広告に使われるなど、デザインやコンテンツとしてもテトリスは世界中で愛されています。

マヤ:パズルゲームの多くは女性から好かれる傾向があるのですが、テトリスのプレーヤーは男女比率が半々くらい。年齢も子どもから大人まで幅広く、とてもユニバーサルな存在になっているんですよね。

 

アレクセイ:テトリスのメインコンテンツは、抽象的な7つのブロックしかありません。ただ、それを見ただけでテトリスだとわかってもらえますし、シンプルで抽象的だからこそ、組み合わせたり積み上げたりすることでいろいろなものと融和できます。それがよかったのかもしれません。

マヤ:すでに海外では、ハロウィーンのコスチュームや文房具など、いろいろな部分でデザインが使われています。日本では、今までデザインやコンテンツとしてのテトリスをプッシュしていなかったのですが、今年から力を入れていこうと考えています。そのプロジェクトとして、「TETRIS FAB」というブランドをつくりました。

在原:先ほど話に出たように、「人の欲求」につながっていて、ライフスタイルに近いというのがポイントだと思っています。「TETRIS FAB」では、ゲームだけではない部分をうまく発信して、テトリスを日本で再ローンチ、リブランディングしたいですね。

テトリスだからできる表現、課題解決とは

 

─​「TETRIS FAB」では、具体的にどんな展開を考えていますか?

マヤ:ファッションやアクセサリ、グッズや食べ物など、いろいろなジャンルとコラボレーションできればいいですね。日本の人たちはファッションやグッズが好きで、とてもおしゃれな国。そこにテトリスを取り入れてもらえたらうれしいです。

在原:テトリスは、ビジュアルで独特の表現ができるので、それを生かせたら面白いですよね。たとえば、ブロックがカチッとはまる瞬間や、ブロックがそろって列が消える瞬間を使って、商品の効能や価値を伝えることもできるかもしれません。何かがマッチングするという表現や、無駄なものが消えるという比喩にも使えそうです。テトリスだからこそのソリューションを実現したいですね。

─​ ゲームとしてのテトリスは、今後どんな進化が考えられますか?

アレクセイ:今も新しいプロトタイプを考えており、さらにテトリスを発展させていくつもりです。この十数年で見ても、テトリスは一人プレーから対戦プレー、マルチプレーへとソーシャルなゲームに進化していきました。将来的には、オフィシャルなゲームスポーツとして定着するかもしれません。それを見た観客が喜んでくれたらうれしいです。それを目指して、テトリスは現在進行形でイノベーティブです。

マヤ:すごくシンプルなゲームだからこそ、飽きにくい面もあるはず。今の35歳から50歳ぐらいの方がテトリスブーム期のユーザーですが、今後は、彼らの子どもたちにもテトリスを伝えていきたいです。そのために、いろいろな発信ができればいいですね。