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「共働きパパ」を狙え!No.3

仕事、家事育児、ママ攻略法…働くパパが知りたいのは?

2016/12/26

共働き世帯の父親をターゲットに研究するチーム「パパラボ」は、2017年3月発刊のフリーマガジン「Hanakoパパ」(マガジンハウス)で、パパに関する企画・研究やマーケティングサポートを行っていきます。

保育園ママにおなじみの「Hanakoママ」とは何が違うのか? どのようなコミュニケーションがパパの心を動かすのか? 「Hanakoママ」兼「Hanakoパパ」編集長の岸辺麻巳氏と、パパラボメンバーの千田智治氏、服部嶺氏が語り合いました。

(左から)「Hanakoパパ」編集長の岸辺氏、パパラボの千田氏、服部氏

(左から)「Hanakoパパ」編集長の岸辺氏、パパラボの千田氏、服部氏

「イクメン」という言葉をなくしたい

千田:実は前から「イクメン」という言葉に違和感があって。ママが育児をしても何も言われないのに、パパが育児をすると「イクメン」と呼ばれるのは、パパの育児がまだ当たり前のことになっていないからですよね。

今や共働き家庭は1100万世帯。パパラボの活動や「Hanakoパパ」での情報発信、企業へのマーケティング活動を通して、近い未来、世の中から「イクメン」という言葉をなくしていけたらと思っています。

岸辺:「Hanakoママ」のイベントや取材でも、最近のパパは家事・育児への参加意識が高まっていると感じます。パパたちの中に「家事・育児はやるもの」という気持ちは確実に芽生えています。

また、パパの特徴というと、比較的に感情的にならずに冷静に叱れるところや、力仕事だけでなく、機械やウェブに強かったり、情報収集能力に長けているなど、いろいろと挙げられます。

服部:パパラボで共働きのパパにヒアリングすると、「子どもの成長を見るのが幸せなので、仕事を早く終わらせて帰るのは悪い気がしない」「子どもに良いものを買ってあげるために、自分のお小遣いが減ってもかまわない」と目を輝かせて言うパパが多くいます。

岸辺:子どものための思い出というよりも、親のための思い出を作れるように。「Hanakoパパ」は、かけがえのない子育ての時間を楽しみたいというパパの気持ちを後押しするメディアにしたいですね。

パパは子どもを見つつも、横目でチラチラとママも見ている

千田:「Hanakoママ」のテーマは、子どもとの過ごし方やファッション、レシピなどに主軸が置かれていますが、「Hanakoパパ」ではどういうテーマを扱うのでしょうか?
Hanakoママ

岸辺:「Hanakoママ」と扱うグッズが同じでも、このおもちゃで遊ぶと脳にどんな刺激があるとか、他メーカーとの優位性や比較など、データ的な情報の方がパパに刺さると思っています。ビジュアルだけで表現するのではなく、文章もきっちり読ませるといいますか。

服部:パパ向けならではのテーマは何かありますか?

岸辺:パパがいないとなかなか実現できないアウトドアもそうですし、料理だったらカリッと揚がる温度は何度かとか…。あと、子どもと公園でどうやって遊ぶか、パパはその遊び方自体が分からない場合もあるので、子どもとの遊び方を紹介するのもいいかなと。岸辺編集長

服部:パパの料理は「簡便方向」と「こだわり方向」の二つに分かれる特徴があります。ママは料理が日常ですから時短や簡単といった方向に行きがちで、パパもそこは同様です。一方で、趣味の延長としてのめり込んでとことん突き詰めるパパもいます。

千田:僕も公園に子連れで行くけれど、ネットワークを作るのが上手なママたちほど情報交換をすることは少ないし、周りを見ると、せっかく公園に来たのにスマホを見ているパパもいたりして…。パパ同士で育児の情報交換を積極的にやっている人もまだ少ないように思います。

岸辺:そうですね。だから「Hanakoパパ」では等身大のパパをたくさん登場させたいと思っています。上から押し付けがましく育児のアドバイスをするのではなく、例えば「お風呂で何してる?」「寝かしつけで何してる?」など、自然体で育児を楽しんでいるパパたちの姿に共感したり、参考にしてもらいたいですね。

服部:パパ特有の視点も盛り込んでいけたらいいですよね。例えば「仕事」「妻との関係」「自分の時間」など。

パパ特有の視点

千田:多くのパパは「仕事」を生活の主軸にしています。そんな中で、家事育児をキレイに描いた雑誌があっても「それができれば理想だが、どう仕事を切り上げればよいのか。家庭も仕事も両立できるコツはないのか」と考えてしまうと思います。

また、パパは子どもを見つつも、横目でチラチラっとママを見ています。子育てにおいて、家の中の司令塔はママの場合が多く、「ママに怒られないように動かねば」とママを意識することも少なくありません。ママとの円滑な関係を描くため、どのようにママを攻略するか、というパパならではの視点も必要だと思います。

岸辺:そうですね。例えばママには「離婚が頭をよぎったことがあるか?」といった質問をして、それをいじわるではない形で伝えていくとか。

服部:それから、パパは「自分の時間」を捨てきれない部分もあります。子どもはかわいいけれど、自分の時間も持ち続け、趣味を楽しむパパも一定数います。このようなパパ特有の視点も入ってくると、パパの気持ちを理解してくれている気がして、読みたくなりますね。

料理をしたり、食料品や日用品を選ぶパパが増加中!

千田:パパラボでは、調査から見えてきた共働きパパを六つのクラスターに分類し、それぞれの父親像をよりリアルに浮き上がらせています。どのクラスターが「Hanakoパパ」のターゲットに近いでしょうか?

岸辺:一番近いのは、「ダブルスパパ」ですかね。とはいえ、「グータラパパ」以外はみな読者層になると思います(笑)。

ダブルスパパ
バドミントンのダブルスさながらにママと2人体制で家庭を回している「ダブルスパパ」。
日頃から家事を担当しているため、食料品や日用品、白物家電のブランド選択にも関与している様子がうかがえる

服部:でも、実は共働きパパに一番多いのがこの「グータラパパ」です。彼らを他のクラスターへと変えていくのも、パパラボの課題の一つかもしれませんね。

ところで、パパラボのデータでは「子どもの方が自分よりも高くて良い服を着ている」「子どものために性能の良いクーラーに買い替えた」など、パパは質が良くて子どものためになるものなら高い商品でも購入する傾向にあります。

千田:この前ヒアリングをしていて面白かったのが、Eコマースサイトを使いこなす「ECパパ」。複数のEコマースサイトを常に利用していて、買うものによって購入先を細かく使い分けているのだそうです。

セールやキャンペーンを活用したり、ママが欲しいと言ったものの価格を比較検討したりなど、かなり積極的にアンテナを張り巡らせている様子でした。

服部:最近の共働きパパの中には、シャンプーや洗剤の銘柄を自分で選ぶ人も増えてきています。ママに言われたものだけを買ってくるのではなく、良いものを自分で探す。

ちょっと高いものを買ってきて、ママからブーイングされるなんて声もあるようですが…。育児や消費を見ていくと、これまでママの役割とされてきたものをこなす「パパのママ化」も進んでいたり、「パパの得意分野」を生かしていたり、ママと交互にバランスよく行っている様子がありますね。

岸辺:パパラボ研究員の皆さんが「Hanakoパパ」の読者でもあるので、感想や要望を聞けるのはとても心強いです。パパラボが持っている、私たちの調査とは桁の違う“生の声”を参考にしながら、パパたちにとって本当に役立つ誌面作りに役立てていきたいです。

服部:僕らのように、どうやって子どもと遊ぶのが正解なのかが分からない、保育園で毎日会う周りのパパはどんな育児をしているのか知りたい、というパパたちはいっぱいいるはずです。そんな人たちの子育てがもっと楽しくなるようなメディアを一緒に作っていきたいですね。今日はありがとうございました。