デジタルマーケティングのヒントNo.1
そのキーワード、お互いに「同じ意味で」使っていますか?
2017/03/29
デジタル広告だったり、ソーシャルメディアだったり、ウェブサイトだったり、データだったりと、マーケティング活動になんらかのカタチでデジタルを組み込むことが、もう当たり前となってきました。それに伴い、企業のマーケティング活動には、データやシステムを専門とする人、サイト制作を担当する人、ソーシャルメディアの運用経験がある人、マーケティングの戦略を描く人、コンテンツの企画編集をする人、などさまざまなバックボーンを持った人間が関わるようになりました。
そうでなくても新しい言葉が次々生まれ、その意味を理解しキャッチアップしていくだけでも大変なデジタルマーケティングの領域。一緒にマーケティングを設計していくチームの中でも、背景の違う人たちが集まり、お互いの専門用語を理解し合いながら進める必要が出てきます。
そういう中では、知らず知らずのうちに言葉のすれ違いが生まれているのが普通です。気付かないままに進めると、なぜか話が食い違っていってお互いにストレスになったり、デザインなどのアウトプットがイメージと違って出し戻しが増えたり、最終的には予算やスケジュールに影響してくることも出てきます。
気を付けるべきは、「普通のキーワード」
分からない専門用語は比較的気を付けやすいのですが、ついうっかりしてしまうのが「普通のキーワード」。たとえば、「スケジュール」という誰もが知っているキーワードも、いざ「スケジュール表をつくる」という段になると、実際のスケジュール表に求める粒度は人によってバラバラになります。
また先日もDMP(Data Management Platform)の活用について議論をする機会があったのですが、いろいろ話をしてみると「活用する」目的が、集まったメンバーの中で異なっていたことが分かりました。あるメンバーにとっては広告のために顧客をセグメントすることだったのですが、あるメンバーにとっては情報を出し分けするため、またあるメンバーにとっては顧客を理解しインサイトを把握するためでした。それぞれが持っているマーケティング課題や、組織の中で与えられているミッションによって生まれてくる差異です。
「ズレ」や「違い」の確認は、進化のために必要
私たちマーケティング関係者は物事を共有することには慣れていますが、差異を確認することにはあまり慣れていないように思います。同じチームメンバーでも背景が違えば言語の意味するところも違う、と聞くと一見、会議が混乱していきそうに見えますが、実はむしろ、「ズレ」や「違い」を確認することで別の視点に気が付き、視野が広がったり、目的の再確認につながる機会になることも多くあります。
そのためには、「自分の使っているキーワードを、相手は同じ意味とは捉えていない」という前提に常に立って仕事をしていくこと。自分が目指しているゴール、つくりたいカタチがどういうものなのか、具体的に図示して互いに共有していくこと。そうやって、互いにいつも理解をすり合わせながら議論し続け、先に進めていくことこそ、デジタルマーケティングにおいて最も必要なこととなっていきます。
ここまでは、マーケティングチーム内の多様性に関わる話でした。また既に知られている通り、デジタルマーケティングでは実際にサービスや商品を買う顧客の側も、マスマーケティングのときより細かくセグメントされていきます。マーケティングチーム内の多様性だけでなく、顧客の多様性にも対応していかなければならない、ということです。
さらに、デジタルマーケティングを推進していくプロセスにおいては、戦略設計から実装、運用まで、つまりマーケティングの大きな絵を描くところから、実際に要件定義し、運用の業務フローを設計して動かしていくところまで、非常に大きな距離をブレークダウンしていく必要があります。
ここにもまた、デジタルマーケティングを多様化、複雑化させていく要因が潜んでいます。
このシリーズでは、多様で複雑で混沌としているデジタルマーケティングすなわち「マーケティング活動のデジタル化」を進めていく上で、少しでもヒントになりそうなことを今後もお伝えしていければと思っています。