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新明解「戦略PR」No.46

ニッポンの中小企業を社歌で元気にしたい!

2017/03/27

あおーげば~とーとしーわがーしのーおん~。はい、もう卒業式は終わりましたかね。みなさん、思い出深く、曲を歌ったりしたのでしょうか。あれ、なんか妙に泣けるんですよね。通り掛かりに聴くだけでも、なんか自分の思い出と重ね合わせてしまったりして。歌の力は絶大だなぁ。

そう、今回は「歌」の力を使って企業を強くするお話。すなわち「社歌っていいよね!」ってーことで、最近のトレンドをご紹介しましょう。チェケラ!

第4次社歌ブーム

世は第4次社歌ブームへ突入?

皆さんの生活の中でも組織にひもづいた歌っていろいろありますよね。国歌や校歌、あるいはプライベートなチームのテーマソングとか。若い方は知らないかもしれませんが、会社にも歌があったりするのが当たり前な時代もあったのです。朝礼の時に歌ったりしてね(あ、朝礼自体も親しみないかな?)。

国歌や校歌と同様、気持ちを一つにするために、また所属する企業のビジョンなどを繰り返し口にすることで、そのコーポレート・アイデンティティーを強く共有していこうというもくろみで活用されていたんですね。そしてそのもくろみ通り、社歌は不況のときにこそ社員が一丸となって頑張れるように、各社がこぞって策定するなどしていたようなのです。戦前の世界恐慌に立ち向かう時期からバブル期にいたるまで3度のブームがあったといわれていますが、常に経済の停滞がじわじわと感じられるタイミングで社歌がはやったといいます。企業としての団結感を醸成し、軽やかなリズムに乗せて一緒に苦境を乗り切ろうとする経営者や社員の方々の気持ちが、「社歌」という形で表出していたのかもしれませんね。

グローバル社歌から有名作曲家採用のものまで多種多彩

印象的には、若い方々にとって社歌というのは取っつきにくいのでは?という疑問も浮かびます。われわれおっさん世代(私ももうすぐ「知命」の年なんですけど…)は社歌をみんなで歌うなんてダサくね? と思っていても、意外に今の若い世代は「社歌あるなんてカッチョエー!」と思う人もいるらしいんです。これホント!いやいや、実際にすげー著名な作曲家が作った社歌なんかも結構あって、集めて聞いてみると「あ、確かにあの人のテイスト入ってる♪」なんて感じられたりもするんですよね。「えー!うちの会社のためにこれ作ってくれたんだ!」ってのは一つの自慢ではありますよね。

もう一つ面白いのは、社員自らが作詞作曲をした社歌なんてのも。これがまたロックあり、ラップありで老若男女問わずノリノリで歌うわけで。そりゃ盛り上がらないはずがないっすよ!ってな感じ。ある企業なんかはアニメーションなんかもつけちゃって、アニメ主題歌みたいになってるし。いやはやいろいろ聴いてみると、普通にダウンロードして聴きたいような曲もあってクオリティー半端ねぇな、と。さらにある企業は社員全員から集めた言葉を自社の保有する言語解析エンジンに入れて歌詞を紡ぎ出したというから驚き。ここでは自社の技術を連携させ、対外的にもうまくアピールしています。確かにわざわざ社歌をYouTubeにアップしたりしているところも散見されるし、今はPRコンテンツにもなっているんですね。そして、さらには関連産業として「社歌制作サービス」を提供する会社などもいくつか出てきているようなんです。社歌マーケット、恐るべし!

そんな中で開催されたのが日本の中小企業を応援するサイト「HANJO HANJO(ハンジョー・ハンジョー)の「中小企業社歌コンテスト」。「社歌を紹介することで、元気な中小企業に注目を!」と企画されたらしいのですが、初年度にして約30社の社歌が応募されたとのこと。しかもこれが動画での応募が条件なんだとか。おいおい、のぞいてみるとみんな恥ずかしげもなく(失礼)楽しい動画撮ってるじゃん! いやー、先にも言いましたが、みなさん今は社歌を押し付けと取らず心底楽しんでるんですねぇ。いいわ、いいわー。実は昨年の中小企業白書によれば、中小企業の経常利益は過去最高水準に至ったとのこと。一方で人材不足は相変わらずらしい。社歌のみならず、社員が会社に帰属することを楽しめるということが、こういった中小企業の雇用対策においては重要なのかも知れませんね。

運動会やギネスに挑戦など、インターナル活動が活発化

併せて昨今、企業のインターナル活動が活発化しているという様相もあります。ひと昔前は社員同士の業務以外での接点を嫌う風潮もありましたが、今また社内運動会や社員旅行、各種社内クラブ活動における合宿などが増えているそうなんです。あの世界的オモシロ記録を集めるギネスなんかでも、「社員が自社の製品やサービスを使った世界的記録に挑戦!」みたいな形で社内の求心力を高めるようなイベントへの協力が増えているとか。長縄跳び大会ではないですが、確かにああいうのって社員一丸となれますもんね。そしてそれが成功しても失敗しても、それはそれでよい思い出にもなる。企業の周年事業なんかで5年、10年ごと、あるいは毎年でもその記録にチャレンジしていくとか面白いですよね。

今回は中小企業が社歌の活用によって社員の士気向上と一体感の醸成を成し遂げている現状についてお話ししましたが、中小のみならず大企業においても今後これら社内活性化などを目指した取り組みは必須となってくることでしょう。対外的なアピールのみがPRではありません。実際、当社の関連組織である企業広報戦略研究所が2016年に行った第2回企業広報力調査においては、「企業にとっての重要なステークホルダーは?」という設問に関する回答で「従業員とその家族」という項目が2014年の回答に比して14.1ポイントの急上昇となっています。これはトップ2である「顧客」「株主・投資家」に次ぐ第2群となる「取引先」「メディア」とほぼ同ポイントとなっていることがお分かりいただけるでしょう。

重要なステークホルダー

また企業の広報担当社に聞く今後の注力する広報テーマにおいても「社内活性化」は、やはり急伸しています。

広報担当部署の業務テーマ

企業の最大の味方はまず社員だということを忘れてはなりませんね。いかがでしょう。今回はまじめにまとめてみました、もうすぐ「知命」ですからね(笑)。