今年も盛況
「東北ユースオーケストラ」演奏会
(動画あり)
2017/03/29
東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島県出身の子どもたちを中心に構成される「東北ユースオーケストラ」の演奏会(主催=同オーケストラ 共賛=JA共済連、富士ゼロックスアドバンストテクノロジー、三越伊勢丹、森永エンゼル財団)が3月25日、新宿区の東京オペラシティコンサートホールで開催された。
世界的な音楽家の坂本龍一さんは「子どもの音楽再生基金」の発起人として、被災楽器の点検修理をはじめ、現地の学校に対し幅広い音楽支援活動を行うとともに、同オーケストラをプロデュース。演奏会を行うのは2016年に続き2回目となる。直前合宿にも代表・音楽監督として参加した坂本さんは「子どもたちも、支える大人たちも、この活動を続ける意味、意義を考え続けていますが、実は子どもたちに教えられることがいちばん多い」と話す。オープニング曲の「ラストエンペラー」と「八重の桜 メインテーマ」では、104人のオーケストラと共に坂本さんもピアノで演奏に加わった。坂本さんは「年月がたつのは早い。練習を始めてから足かけ3年、小学4年生は6年生になり音が力強くなってきた」と、結成当時を振り返りながら、子どもたちの成長に感慨深げだった。
指揮は旧ユーゴを中心に活動している栁澤寿男さんが務めた。栁澤さんは「震災を機に生まれたオーケストラですが、こういう場を与えてくださったことに感謝したい。何かひとつを作っていく大切さや楽しさ、うれしさが伝わるようなコンサートにしたい」と述べた。
この日は、沖縄民謡のグループ「うないぐみ」も加わっての演奏が行われた他、宮城県の「大漁唄い込み」、岩手県の「南部よしゃれ」、福島県の「相馬盆唄」をメドレーでアレンジした曲も披露。そして、数十分に及ぶグスタフ・マーラーの交響曲第1番 ニ長調「巨人」を見事に演奏した子どもたちに、客席から大きな拍手が送られた。
昨年の演奏会で「ダメだと言われても、来年も来たい」と話していた女優の吉永小百合さんもゲストとして駆け付けた。沖縄や福島の子どもたちが作った平和を祈る詩を吉永さん自身が選び、演奏に合わせ朗読。「私にとって、震災でつらい経験をした若い人たちを思うことは大切なこと。スポーツ選手のように一緒に運動することはできないので、どうやってみんなを励ましたらいいか悩んだ。詩を朗読することで、『頑張りましょう』という気持ちを伝えたい」とコメントした。
坂本さんは選曲について、「有名な曲だけでなく、東北地方にちなんだ曲も選んだ。また、あえて沖縄の方たちに手伝ってもらうことで、日本古来の水脈のようなものを感じてもらいたかった」と語り、震災について「時間がたっても、忘れないという気持ちで続けていきたい」と話した。
会場ではオリジナルグッズも販売され、支援を希望する多くの観客がTシャツやスカーフを買い求めた。