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100万回シェアされるコピーNo.1

広告人よ。猫に勝つのは、あきらめなさい。

2017/05/15

広告人よ。猫に勝つのは、あきらめなさい。

こんにちは、コピーライターの橋口幸生です。4月『100万回シェアされるコピー』という本を出しました。タイトルの通りウェブでシェアされるコピーについて、事例を基に分析した内容です。この連載では本の紹介も兼ねて、ウェブのコピーについて全5回に分けて解説したいと思います。

突然ですが、あなたがウェブムービーのクリエーターになったと想像してみてください。

一生懸命に企画をして、クリーエーティブディレクターのチェックを経て、クライアントにプレゼンします。数ある企画の中から見事あなたのものが採用になり、クライアントのフィードバックもしっかり反映させて、予算をやりくりして著名な監督を起用します。ハードな撮影や、長時間の編集も乗り切り、本編が完成します。プレスリリースの一字一句をチェックするなど、PR対策にも抜かりはありません。数々の困難を乗り切り、いよいよムービーを公開!見事に100万再生を記録!KPI達成!めでたしめでたし…と、なったとします。

しかし、その裏側で、一般の人がスマホで撮った制作時間5分・制作費ゼロの猫の動画が、1000万回再生されているなんてことはザラなのです。

何も広告だけではありません。ハリウッドの大物監督だろうと、人気ミュージシャンだろうと、もう猫には勝てないのです。これまでのルールはウェブの世界では通用しません。それでは、どうすればヒット企画を生み出せるのでしょうか?

私は、ウェブで最も効くのはコピーだと考えています。理由はウェブが圧倒的に言葉のメディアだからです。2014年には全世界における1日当たりのツイート数は6億6000万に達しました。※実際、個人ブログの言葉がシェアにシェアを重ね社会現象になった例もあります。

※BUSINESS INSIDER

しかしウェブの歴史は浅く、どのようなコピーがヒットするのか、まだ体系的に把握されていません。ほとんどの人は日々変わるトレンドに翻弄されつつ、手探りで企画しているように思います。これではヒットしないどころか、炎上を招いてしまう危険性すらあります。ウェブにおけるコピーの「新しいルール」を理解する必要があるのです。

いますぐ使えるウェブコピー「四つのルール」

日本では2011年3月11日の東日本大震災がソーシャルメディアの普及を後押ししたといわれています。このとき私たちが覚えたのが、「シェア」という行為です。交通インフラ、避難情報などの情報は、自分だけにとどめておかず、みんなにシェアしたいとう気持ちが働きます。

ブログが登場した際も、個人が気軽に情報発信できるようになったといわれました。しかしブログで情報を発信できるのは、テーマとモチベーションを強く持っている人だけです。もちろん文章力も必要になります。すでにある情報をシェアする方が、ずっと簡単です。「発信」から「シェア」への移行により初めて、ウェブは誰もが参加できるコミュニケーション・インフラになったのです。シェアされた情報は自走的に拡散し、爆発的なバズになります。ウェブのコピーや企画には、「シェアしたくなるか」という視点が欠かせません。

連載初回ですが結論を記します。これまでの事例を分析すると、シェアされるコピーのほとんどが次の「四つのルール」に沿ってつくられていることが分かります

四つのルール「本音」「驚き」「共感」「反感」

どんなに万全の準備を整えても、バズを起こすのは難しいものです。時事問題など突発的なトラブルで結果が左右されてしまうこともあります。それでも、この四つのルールを知っておくと、まったくの手探りではなくバズを狙えるようになります。バズと炎上は表裏一体なので、炎上リスクの判断にも有効です。

次回からは「四つのルール」について解説していきます。