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100万回シェアされるコピーNo.2

ウェブでは、モテないやつがモテる。

2017/05/25

ウェブでは、モテないやつがモテる。

こんにちは、橋口幸生です。この連載では拙著『100万回シェアされるコピー』の内容を紹介しています。前回はウェブでシェアされるコピーは、「本音」「驚き」「共感」「反感」の四つに分けられることを解説しました。その中から今回は「本音」について書きたいと思います。

四つのルール「本音」

ここで一つ質問です。ソーシャルメディアをどのような場だと思っていますか?「普通の人々が等身大の本音を発信できる場所」…のように思っていたら、残念ながらそれは間違いです。もう一度、あなたのFacebookやInstagramのタイムラインを見てみてください。

計算しつくされた勝負角度でのセルフィー。
おいしそうな料理。
アゲアゲのパーティー。
かわいらしい赤ちゃんや小動物。

等身大どころか、桃源郷のような世界が繰り広げられているのではないでしょうか。身もふたもない言い方をしてしまうと、「本音」を発信するという建前で、世の中にこう見られたいという「虚像」を発信するのが、多くの人にとってソーシャルメディアのリアルな使い道だと思います。

でも、「『いいね!』されたい!」「シェアされたい!」「とにかくモテたい!」という投稿の洪水は、見ている方は疲れてしまいますよね。そんな中で「いや〜、実際はそう別にモテませんよ…」という態度でいると、逆に好感度がアップするのです。

これがルールその1「本音」です。具体的にどんなコピーになるのかを、私が担当した事例から紹介します。

つらい。
11月11日はポッキーの日。
ではなく、ポッキー&プリッツの日です。

毎年11月11日は「ポッキーの日」として知られています。公式非公式問わずさまざまな企画が実施され、タイムラインはポッキー一色です。しかし11月11日は実は「ポッキーの日」ではありません。正式には「ポッキー&プリッツの日」なのです。

そんな中、プリッツは2016年11月11日の朝刊に新聞広告を出しました。キャッチコピーは「つらい。」、オチは「11月11日はポッキーの日。ではなくポッキー&プリッツの日です」。

出稿直後からソーシャルメディアでは大きな話題になりました。

「すごい新聞広告wwww」
「プリッツを買わずにはいられなかった」
「負けるなプリッツ!」
という応援ツイートがたくさん投稿されたのです。

同日、プリッツ公式Twitterから新聞広告の写真をシェアしたところ、7万リツイート、7.7万いいね!という結果を残しました。

PRETZ Twitter「つらいので、新聞広告出しました。」

この他にも「本音」をさらけだしたつぶやきを多数投稿しています。これも話題になりました。

PRETZ  Twitter
PRETZ  Twitter
PRETZ  Twitter

普段の生活でどんなにモテたい!と思っても、自分の長所を臆面もなくアピールすることはないですよね(よほどの美男美女やお金持ちは知りませんが…)。どんな高スペックだろうと、それをストレートに自慢する人はモテるどころか、嫌われてしまうと思います。むしろ垣間見える素の表情が、人を引き付けるのではないでしょうか。

広告でも同じことがいえます。商品の良いところを見つけて訴求するのが、これまでの広告のやり方です。でも商品への思いが強ければ強いほど、ウェブでは煙たがられてしまいがちです。背伸びをせず、肩の力を抜いて、「本音」を発信する。そんなやり方が、結果として商品の良さも伝えられるのだと思います。

次回はルールその2「驚き」についてです。