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セカイメガネNo.56

上海シェアリング自転車事情

2017/05/24

ここ1年、上海で大ブームなのが、シェアリング自転車。2016年4月にMobikeというブランドがシェアリング自転車をスタートし、瞬く間に上海市民に浸透。後続のofoやXiaoming Bikeなどもシェアを伸ばし、三つどもえに。17年に入ってからはさらに電動自転車や他ブランドが加わり、シェアリング自転車戦国時代を迎えています。

街を歩くとどこにでも、オレンジや黄色にカラーリングされたシェアリング自転車が。通勤に、ちょっとした買い物に、出掛けた先の駅から目的地まで、お店のはしごに、本当〜に便利です。

ここまでブームになった理由は、
・どこでも乗り降り自由
・どこでも乗れるくらい台数が多い
という2点。

今までも上海には公共自転車が存在していましたが、決まったスポットでしか乗り降りできない、という旧来スタイルのものでした。Mobikeが革新的なのは、どこでも乗り捨てができること。建物の中や私有地内はNGですが、大体どこの道でも止められます。また、乗りたいときにすぐ乗れるようにMobikeは3月末時点で、10万台以上を配車しています。配車台数を増やせば増やすほど、目にする回数も増え、認知が自然に増えるという広告いらずの賢い仕組みです。

と、感心していたら、後続のofoは大々的に広告を出稿し、ぐんぐんと配車数とシェアを伸ばし、いまや認知ではMobikeを抜くまでになりました。スポーティーなデザインのMobikeと異なり、レトロでかわいいデザインのofoは若者の間で大人気。休日の旧フランス租界を歩くと、ofoに乗ってデートをするカップルや、大学生のグループをたくさん見ることができます。デザイン的に優れたシェアリング自転車は「自転車=貧困層の乗り物」というイメージを覆し、「自転車=エコでオシャレ」という新しいイメージを浸透させつつあります。

面白いのは、こんなにブームが来ているのに、Mobike 共同創業者兼CEO王暁峰氏によれば、この「シェアリング自転車」ビジネスの収益モデルが確立していないということ。「とりあえず始めてみて、後からつじつまを合わせればOK」という、大陸ならではのおおらかさを感じつつ、ますます目が離せないシェアリング自転車業界なのであります(上海のシェアリング自転車の数は業界全体で既に45万台を超えた)。

(監修:電通 グローバル・ビジネス・センター)

『ねこもしゃくしも』(イラストレーションも筆者)
(イラストレーションも筆者)