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「モヤモヤフルネス」が生む消費=「コーピング消費」を読み解く

F2はモヤモヤ・イライラMAXの“モヤモヤフルネス”年代?! №3

  • 村田 玲子

2017/07/19

「モヤモヤフルネス」が生む消費=「コーピング消費」を読み解く


 

前回までは、現代におけるF2の多様化や彼女たちの悩み多きモヤモヤフルネスな日常について解説してきました。今回は、そのモヤフルライフを切り抜けるF2の行動にフォーカスして話を進めたいと思います。

F2のモヤフルライフを「コーピング」で捉える

まず初めに、私たちは心理学のストレス理論に着目して、F2のストレスへの対処方法を理解することにしました。心理学では、人が負の心理状態にあるとき、嫌な気持ちを弱めたり、問題を解決したりするためにとる行動全般を「コーピング」という言葉で定義し、種類や効果などに関してさまざまな研究が行われてきました。

コーピングを3タイプに整理すると、
①ストレス源をなくす
②考え方を変える
③気分を変える
になります。

まず「①ストレス源をなくす」は、たとえば皆さんの身近な例では、苦手な上司がストレス源だとしたら、異動して関わりをなくすといったようなことになります。

次に、「②考え方を変える」という方法については、先ほどの例でいえば、「これは自分を鍛えるための試練」とポジティブに捉えるようなこととなります。

そして最後の「③気分を変える」は、飲みに行くなどや気晴らしの行動をとることと考えてください。

皆さんも経験があると思いますが、①のストレス源をなくすというコーピングは、自分一人ではどうすることもできないハードルが多いため、現実的には極めて難しい。そのような根本的な解決を望みながらも、ストレス源とうまく付き合いながら日々健やかに生きていくため、コーピングの注力領域は考え方や気分を変える②や③とされています。

コーピング方法を3タイプに整理

日常生活のささやかな消費がコーピングにつながっている

われわれはF2がストレスへの対処行動として商品やサービス、コンテンツを消費している事実を調査で明らかにした上で、このような消費行動全般を「コーピング消費」として名付けました。

コーピング消費は、ストレス解消消費や、癒やし消費などの、既に一般的となっている消費活動も包含しながら、考え方や気分を変えて心のバランスをとるための、気持ちのセルフケア全般の消費概念という大きな概念となるのではないかと考えています。

実際にF2のコーピング行動を見てみると、「睡眠をとる」や「食べる」「一人になる」「ぼーとする」「テレビを観る」などが上位にあがりました。消費行動との関係を考えると、例えば「睡眠をとる」であれば、ちょっと良いマットレスや枕といった睡眠グッズ、「ぼーとしたい」「一人になりたい」からカフェに行ったりと潜在的に広範囲の消費につながっていると考えられます。

ちなみに「テレビを観る」という項目に関しては、当社の別な調査でもテレビに求める価値として、ここ数年「気分転換やストレス発散したいから」といった項目を選択する人が増えており、結び付きの強さを感じています。

なお、F2のコーピング消費の特徴は、「日常生活行動と重なっている」ということにあります。従来のストレス解消消費として発想すると、つい旅行やエステといった非日常的な行動を思い浮かべがちですが、データ上では少ない結果になっています。

この理由は、前回ご紹介したように、F2は「家事」や「育児・子育て」に加え「仕事」に追われがちで、自由になる時間は限られています。さらには、家計の上でも教育費やローンなどの負担が重くなりがちとあって、自由になるお金も低め。こうした制約と我慢が多い生活を送るF2ゆえに、日々の動線や行動を通じて暮らしの中で対処せざるを得ない背景があると考えられます。

例えば、普段の家族の買い物の中で、ちょっとだけ自分の好みを満たしたり、グレードを上げた商品を買ってみるというような、日常生活におけるささやかな拡張行動での対処、これがF2のコーピング消費のポイントと捉えています。

コーピング消費の特徴は日常生活の内側にあること

コーピング消費の裏側にある六つの「コーピング価値」

このようにF2のコーピング消費は幅広いマーケットでありビジネスチャンスにつながっていることをお分かりいただけたかと思いますが、消費対象は多種多様であるためアプローチの難しさを感じる方もいるかもしれません。そこでわれわれはコーピング消費に求められている価値が分かればアプローチのヒントになるだろうと考えました。

コーピング消費の裏側にある真の目的を「コーピング価値」と定義し、その中身を明らかにすることにしました。

具体的には、定性調査を実施し、そこで得られた仮説をもとに定量調査を実施、さらにその調査結果を因子分析にかけて結果の解釈をしました。すると、F2にとってのコーピング価値は次の6パターンに整理できることが分かりました。

まず一つ目は、ほっとできたり、安心して落ち着いて過ごせる「安心・安定」です。いつも不安を抱えがちなF2だからこそ、こうしたこと自体が大きな価値になります。

二つ目は、「自由・気まま」。役割が多く、自分が後回しになっているからこそ、ほんのわずかな時間でも一人で好きなことができることが求められています。

三つ目は、何かを通じて爽快な気持ちになったり、気分がアガるといった「高揚・爽快感」です。日々モヤモヤしているからこそ、気持ちがふさぎそうになったら少しでも気持ちを上げたくなりますよね。

四つ目は、現実や時間からひと時でも逃れる、「逃避・忘れる」です。わずかな時間であっても、心理的に切り離された自分だけの空間をつくりたいという願望の表れです。

五つ目は、「成長・達成感」。なかなか自分自身を肯定できないF2。自分に自信が持てたり、新しい自分を感じたいという気持ちの表れです。

六つ目は、自分を分かってもらえたり、気持ちを共有できたことに喜びを感じる「受容・承認」です。

F2のコーピング価値は6パターン

ちなみにこの6タイプのうち、「高揚・爽快感」や「逃避・忘れる」は、従来いわれてきたストレス解消的領域として理解しやすいと思いますが、それに加えて両サイドの「安心安定」や「自由・気まま」さ、「成長・達成感」や「受容・承認」の4領域を、今のF2のコーピング価値として新たに私たちは着目しています。

ここまでお読みいただきありがとうございました。次回・最終回は、このコーピング価値を用いて、最近のヒット商品や話題のコンテンツを読み解き、コーピング価値を用いたマーケティングの可能性についてお話ししたいと思います。