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企業魅力度調査から見る、いまの魅力的な企業の要素

鍛えよ!コーポレートコミュニケーション力 №1

  • 橋本 良輔

2017/08/10

企業魅力度調査から見る、いまの魅力的な企業の要素

商売の基本中の基本である「信用」は、昔も、今も変わらずに大切なものです。商品そのもののブランド力だけでなく、販売元そのものが持つ「信用」や「評判」が商品の付加価値やブランドをさらに高めていく時代です。

本連載では、電通パブリックリレーションズの企業広報戦略研究所のさまざまな調査・研究を起点に、「鍛えよ!コーポレートコミュニケーション力」と題して連載を行っていきます。

第1弾は2017年3月に調査した第2回「企業魅力度調査2017」を起点に5回にわたりリポートしていきます。

生活者の注目を集める企業行動

近年、企業の商品・サービスだけではなく、企業の行動(Fact※)を生活者がさまざまな角度から評価し、その評価に応じて消費行動や投資行動も変化することが多くなってきました。
※企業行動そのものおよびそれに伴う事実ベースの企業構成要素。

例えば、ある企業が不祥事を起こせば、不祥事そのものやその企業の対応や姿勢までもがSNS上で広まり、商品やサービスが売れなくなったり、企業価値を示す株価を直撃したりする事例もよく見受けられるようになっています。

また、逆に企業が良い行動をとれば、そのことがSNSで広まり、ファンを増やし商品やサービスが売れ、株価が高くなるような事例も少なくありません。

このような事例からは、これからのマーケティングでは商品やサービスだけでなく、法人としての人格を持った企業自体が、生活者に支持される必要があることを示しています。そして、企業は、どのような行動が生活者に魅力的だと思われ、支持されているのかを知ることが重要になってきました。

ますます重要になる「魅力」に着目

「魅力」とは、「人を引き付けて、夢中にさせる力」を意味します。

企業広報戦略研究所では、「企業の魅力」について、企業の内面から湧き起こり、企業の行動として外部に認知されるものであると位置付けています。

報道においても、「魅力」という単語の使用が年々増えていることからも、「企業の魅力」の重要性がうかがえます。

「魅力」記事件数
日経テレコン(中央5紙、通信2社、NHKニュース)検索件数より算出
 

 

企業魅力度モデルの三つの要素

企業広報戦略研究所では、企業や団体の行動と生活者の評価をつなぐ「魅力」に着目し、「企業魅力度調査」として昨年に続いて2回目の調査を実施しました。
※参考:魅力度調査の特徴や2016年の調査結果

本調査は、20~69歳の男女、10業界ごとに1000人ずつ、1万人の生活者を対象に行ったインターネット調査で、魅力を感じる業界、魅力を感じる企業、魅力を感じた要素や情報源などについて聞いています。対象企業は10業界150社に上ります。また今年から、今後企業や業界に期待する行動や社会課題についても聞いています。

企業魅力度モデルは、SDGsやガバナンスコード、さまざまなブランドやレピュテーション評価軸などを検証し、さらに当研究所の知見を加味し開発しました。生活者や投資家が企業に求める行動(Fact)を3軸(人、会社、商品)×6領域(リーダーシップ、リスク・ガバナンス対応、ソリューション力など)に分類し、「人的魅力」「会社的魅力」「商品的魅力」の3要素で分析しています。

調査対象企業150社の個別企業においては、生活者の属性別に3要素の分析が可能です。

魅力の三つの要素

人的魅力
会社的魅力
商品的魅力

1万人の純粋想起による魅力的企業の要素

このモデルを用いた調査結果を解説する前に、生活者が魅力的企業だと思うFactとは何かを、1万人の純粋想起の結果から考察します。

業界や企業名などを一切提示せず、魅力的であると思い付く企業名と共に、その企業を選んだ理由(自由記述)により得られたテキストから上位30単語をマップ化してみました。詳しく見ていくと、魅力は大きく二つに分けられます。

生活者が魅力的企業だと思うFact1

一つ目は、社長自身の経営手腕や考え方や社風、社員や待遇、働きやすさに対するものや業界のポジショニング(日本を代表する企業など)に関わるもので、企業魅力度モデルでは、「人的魅力」や「会社的魅力」に合致するワードが並びます。

現在の特徴として、女性の活躍やテレビ番組で紹介された社員の働き方の様子に魅力を感じていることも読み取れます。

また、テレビCMも大きな塊として存在しており、CM自体から企業の魅力を感じ取っている生活者も存在することが分かります。

生活者が魅力的だと思うFact2

二つ目は、商品やサービス自体を軸にしたもので、「商品的魅力」に該当するワードが並びます。こちらの特徴としては、デザインや味、使い心地に代表されるような自分で体験したものや品質、最先端技術の製品応用などのFactから魅力を想起していることがうかがえます。

特徴的なのは、スタッフの対応が挙げられている点です。魅力は、企業行動の細部に宿るといえるかもしれません。

今年の企業魅力度第1位は食品業界に。その原因をひもといてみて分かったこと

 

2017年魅力度調査結果として、先日リリースされた内容では、生活者が「人的魅力」(特にリーダーシップ)を重視する傾向があることを述べました。ここでは、昨年6位だった「食品業界」が今年は1位に躍進したことを考察します。

企業魅力度調査2017

今年の調査で、食品業界の魅力を押し上げる主な原因となったのもやはり、人的魅力の伸長ですが、個別の項目では「アフターサービスや問い合わせ対応がしっかりしている」が昨年より245ポイント高くなり、前年比178%となったことが挙げられます。

この結果の背景には、まさに2015年から2016年に世間から批判された業界全体の不祥事があり、「即席カップ麺の異物混入」「廃棄冷凍食品の転売」「大手食品チェーンの食材不正」など全国的に立て続けに報道されたことが、第1回企業魅力度調査の結果にも影響していました。

そして、この食品業界を揺るがす問題の数々から反省し、この1~2年間で各社が問題に真摯に向き合い、生活者に寄り添い、企業の行動を改善してきた結果が第2回の調査結果に表れたといえます。

これは、第1回調査以降の2016年から2017年2月の報道内容からも把握できます。問題が発覚してすぐに積極的に自主回収に踏み切る例や、組織としては一部で発生した問題でも全社的な問題として昇華した上で対応ルールを公表したり、生活者の声をそのままウェブサイトや製品に反映したりといった企業の行動が多く見受けられた一年でした。

もちろん、食品業界で以前から正しい行動をしていた企業は、この一連の流れの中で改めて魅力的な企業として認識され、評価されていたことも順位を押し上げた大きな要因となっています。

 

まとめ;企業としての行動が魅力に直結する

「企業の魅力」とは、企業の内面から湧き起こり、企業の行動として外部に認知されるものである。

企業の魅力は、「人的魅力」「会社的魅力」「商品的魅力」の三つの要素で構成されている。

純粋想起の結果から生活者は、商品・サービスだけでなく、多角的に企業を評価している。

不祥事や問題発生後の企業の対応が魅力を左右する。