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新明解「戦略PR」No.51

【最終回】「Why」が真ん中? PRの5W1Hを考えてみる

2017/09/27

華麗なる復活!だけど限定一回こっきり。そう、こないだの連載50回を区切りに終了予定だった私の連載「新明解『戦略PR』」ですが、終了予告してなかったもんで、「唐突すぎだろ!」とお叱りもいただきまして…。ってなことで「最終回」と銘打って、今回復活の回を書かせていただこうと思います。

とはいえね、いつものトーンだから。軽めにね。いやー、最近ほんと難しい言葉ばかり使う人がいて、なんか頭に入ってこないんですけど。いいこと言っても、やっぱみなさんが日常使いできなきゃダメよねってことで。そこで私が最近感じる「PR目線って、イマここが重要よね!」を現場目線でご紹介。題して「5W1HをPR目線で見てみたら…」。それでは早速、イッテミヨ!

5W1HをPR目線で見てみたら

何にも増して、今は「Why」が気になるお年頃

 

「What to Say」「How to Say」は、よく議論されるところ。手法にとらわれず、何を一番伝えなくてはいけないのか、その基本を忘れんなよ!みたいな。ま、ひとつの意識合わせ的な意味合いもありますよね。うんうん、分かった分かった。でもそれさー、もうみんな実践してるよね。きちんとやってるよね? それよりもさ、最近めっさ気になるのは「What」でも「How」でもなく「Why」なんだよなぁ。

だって、言いたいことのド真ん中を捉えて、趣向凝らしながらなんとか伝えてって頑張ったとしても、大概そういった情報の受け取り手ってのは、「なんであんた、おいらにそんなこと言ってくるのさ?」「いったい何のためにそんなことやってんのさ?」って、急激にこちらの立場がアウェーになること多くないですか?自分自身もそういうの多分に感じるし。

つまり、さまざまな働きかけに対して「なんで?」っていう理由、すなわち「Reason Why」が今みなさんの一番気になるところになってきてるのではないでしょうか。なんつーか、その辺をしっかり理解してから相対したいわけです。理解・納得したいんですよね、人間つーのは。

そういえば、こないだカンヌライオンズという広告賞に行ってきて、お陰さまで関わったお仕事がグランプリを頂くこともできたんですけど(ここ単なる自慢ね。もろ脱線だけど)、各部門で受賞しているエントリーの多くが、「理由」をケースビデオという、業務内容を説明する映像の中できちんと語っているわけ。そしてその納得感は、やはり見る側にとっては何かしら心に残る部分であるのではないかと感じていて。なので、日本のみならず欧米含めて、この視点はワールドワイドな傾向じゃないかとも思うんです。

では、「理由にこだわる理由」は何なのか? それは昨今言われる「レリバンシー」(関連性)や「オーセンティシティ」(信頼性)といった審査基準にも関係してきていると思うのです。それぞれどういうことか。すなわち、レリバンシーは企業や団体などの主体者が、「なんで、そーゆーことやったの?」の意味合いを、またオーセンティシティーはそれが本来目的のために本気で、真剣に実行なされたのかどうかを問われているというわけ。

勝手にいい人っぽいことやって、人々の目を欺いてるんじゃないだろうね?と厳しく見られているわけですよ。活動の正当性っていうのかな。そこが感じられるかが、非常に大事。一方で、当たり前にやっていれば、もちろんきちんと評価されるということ。そこに自然なストーリーがあるのか?不自然じゃないか?など、特にPRではこの辺、手厚く見られるわけですね。

 

「Who/Whom」「When」「Where」も併せて気にしたい

 

ここ最近は「Why」へのこだわりが特に強いのですが、その他も忘れちゃいけません。「誰が、誰に、いつ、どこで」もPRでマネージしようとすると結構大変です。これが広告であれば、ある程度コントロールが利くんですけどね。つまり広告では、お金を使ってターゲット最適なメディアを買うことで、これらの条件はかなりよい感じでクリアされるはずですよね。時期だってエリアだって指定できるもん。

でもさ、PRはまったく違うじゃん? よほどの神通力もってないと、狙った日に期待するメディアで記事なんて出ないもの(神通力持ってる私が言うんで間違いない!)。そこが難しいところでもあるわけ。だから「やっぱりもろもろお約束できる広告でやっちまおうかなー」と考えたり…。ところがですよ、そんなこんなで採択した広告で、どんなに周到な手を打ったとしても、情報の受け手側である生活者が、こちらの働きかけに無反応なのは先に述べたとおり。

もうね、要らないんですよ、余計な情報は。だって仲良しの友達や、尊敬するインフルエンサーから自分好みの情報がきちんとシェアされてくるからね。なーんか分かんない、顔も思い浮かばないような遠い存在の人が語りかけてきても「ウザッ!」とか思われちゃうわけ。そんなとき、もう少し受け取り手の立場に立って、コミュニケーションしていかないとやっぱいけないなってスタンスをようやく思い出したりするんすよね。ここは覚悟を決めてPRでがんばらなきゃって。

さー、どうする? そこでPR的情報発信では、「Who/Whom」「When」「Where」という、それぞれの条件を生活者目線でひっくり返して考えてみたりするわけ。例えばこんな感じに。

「この人、誰の話だったら真剣に聞いてくれるのかなぁ」
「この話題、だれが語り始めるとみんな気になり始めるんだろう」
「時期的に、いつだったらこういった話に興味が湧くのかな」
「この話、どこで聞いたら盛り上がるんだろ」

そういう相手側の事情に合わせてさ、これからは情報発信や情報提供のプランを練っていかないといけないのよね。

でもね、この工夫は意外に効果がでかいんだわ。しかも知恵を絞るだけなんだから、これはやっぱりひと頑張りしないともったいないよね。最近では、クリエーティブの人たちも必ず打ち合わせでは使ってくるんですよ、「シーズナルに合わせて」とか「モメンタムを捉えないと」なんてね。

あとは「なんかホテルの会場で発表会ってのより、フェスっぽくやりたいですよね」とか「山奥で少人数しか参加できなくても、ソーシャルメディアで拡散されれば、ネタがいいからかなりリーチしそうですね!」など。話が早くてうれしい限りですよ、ほんと。

ちなみに最後にもう一度だけカンヌライオンズの受賞事例を見てみましょう。今年のPR部門含む4部門でグランプリを取った「Fearless Girl」では、

・女性の経営幹部を擁する企業に投資するファンドを持つ投資会社が
・女性の経営層進出をエンパワーメントするために
・国際女性デーに
・男性社会の象徴である、ニューヨーク/ウォールストリートで
・これまたウォールストリートの象徴である雄牛の銅像、チャージング・ブルに対抗し
・小柄で華奢に見えながらも、その目にはしっかりとした強い意志が感じられる少女像が

突如現れたわけですよね(※詳細割愛)。それにみんなが拍手喝采したという。ほら、これ全部入りじゃん。関連性、信頼性、時期、場所、語り部、すべてが納得なんだよねぇ。いいのよ、要素全部入れなくても。でもこうやって美しく組みたつ場合があるんだわー(感動!)。

ほらほら、みなさんも! いま考えてる案件もそんな目線で見直してみたら、結構工夫できることあるんとちゃいますか?身近なことからコツコツと。PRはエッセンスをつかみ、いかに活用するかの経験値。みんなで楽しくやろうやい!

※えー、思いのみを書き連ねた最終回、いつにも増してぞんざいな物言いとなってしまいました。それは根底に愛があるから。どうかご容赦くださいませ。