ひとたび研究所と電通の紹介を始まると、生徒たちのビビッドな反応が出てきます。
「すごい!これ知ってる!」「へー!あのCM!?」「今日のゲストの方、すごいなぁ」
場が暖まってきたところで、お題を発表。
【10文字以内で自己紹介】です。
「本が嫌いな図書委員会」「絵が下手な美術部」「機械音痴のパソコン部」…などなど。
多少、影響し合い過ぎているところも垣間見えますが、1人が投稿し始めると、それが刺激となって次々に生徒の投稿が続きます。
こうして次々と投稿される中、1人の生徒からこんな答えが。
「私はワタシです。」
なかなか哲学的な答え!
すると、われ先に自分の案を投稿していた生徒たちから「面白い!」「それ、好きです!」の声が。
1人の生徒の回答に、先生ではなく、むしろ先生よりも先に、生徒たちが次々と「いいね! 」の声を出していきます。
普段の授業では、なかなか生徒の回答を生徒が評価する、という現象は起きにくいようです。こうした動きは、第2回、第3回にも続いていくのでした。
■そのアイデア、「買い」!
第2回は、「変な宿題」です。
「変な宿題」は、研究所のリーダーの倉成氏が考案したクリエーティビティー開発授業で、普段の授業や試験では出てこないような、変な宿題に挑戦することで、発想力や構想力、統合力、プレゼンテーション能力などを培います。
お題は、「模擬店でみな同じたこ焼き屋を出すことになったら、あなたはどんなたこ焼きを売りますか?」
「猫舌だから、あえて少し冷ましたたこ焼き」「たい焼きの見た目で、中身はたこ焼き」…
などなど、比較的取り組みやすいテーマなのか、皆次々にアイデアを投稿します。
中には自分で描いた絵を画像で投稿してくれる生徒も。絵が上がると、生徒たちの反応はより一層活発になります。「○○さんのたこ焼き、おいしそう!」「それ、買う!」
第2回も自走で盛り上がっています。もはや先生がコメントを挟む隙間がないほど、生徒同士がお互いの回答で大盛り上がりです。
■自分の欠点を、他の人は「いいじゃん!」と言ってくれる。
いよいよトライアル最終回。第3回は、「世界初の自己発見!」です。
お題は、ネガティブオークション。
生徒たちに自分のコンプレックスを挙げてもらいます。そして、挙がったコンプレックスに対し、他の生徒が「そのコンプレックス、良くない?むしろ買いたい!」と思ったら、買いたいと思った理由と共に値付けをしてもらいます。
一つ目は、「ハーフなのがコンプレックス。」
怒涛の競りが始まります。「ハーフ?カッコいい!!!300万で買う!」「1000万で買う!」
みんなそんなにお金持っているのかと突っ込みたくなりますが、
「ハーフってうらやましい !」という声が続々上がります。
二つ目は「パリピ(*)に思われるのがいや。」
(*パリピ:パーティーピープルの略語ですね。友達と遊んだり騒いだりすることが好きな人、でしょうか。)
ところが、他の生徒たちは「パリピいいじゃん!誰とでも盛り上がれるし。3000円」
「パリピになりたいな~。楽しそうだし、関わっていると楽しそう。100万」と。
値段はやや下がりましたが、むしろ「うらやましい」という声がたくさん出てきます。
最後は、「感情を押し殺してしまう」
これも、「私はすぐに感情爆発しちゃうから1万円で欲しい!」「せんせーが怒ってるのに笑い出しそうになっちゃうときあるから、1000円でレンタルできますか? (笑)」と次々に肯定する声が上がってきます。
第3回の授業は、生徒たちから「自分がいやだと思ってるところでも、人が褒めてくれることはすごく自信になった」「十人十色なんだってすごく思った」「この授業、この世のみんなに受けてほしい!」などの感想が上がりました。
第1回から芽生えていた、生徒が生徒の回答を「いいね!」と肯定する動きが、第3回では、(おそらく直接会ったことのない)生徒自身に対して「いいね!」と肯定する動きへと大きく昇華されました。
■「正解がない問い」に対する答えとは
最後に、個人的にとてもうれしかった、生徒さんの感想を紹介させてください。
それは、「正解がない場合は、相手の意見の尊重が大切だと思う」という感想です。
「正解がない問いは、正解は一つではない」ともいえると思います。
それは、自分とは異なる答え、異なる意見も正解ということです。
今回のアオイゼミでの授業を通じ、(もしかしたらお互い顔も知らない)生徒同士が、他の人の回答に興味を持ち、その回答いいね!おもしろいね!と自発的にやりとりする様子を見て、また一つ「アクティブラーニング」のカタチが見え、私自身もすごく学びを得ることができました。
自分自身の答え/考えを追求しながら、同時に、他の人の答え/考えを認め、肯定することができたのならば、きっとこれからの正解のない時代も、強く楽しくたくましく、生きていけるのだろうと思います。