2018年デジタルの10大潮流No.5
拡大する「音声」の可能性
2018/02/21
前回に引き続き、電通イージス・ネットワークのカラが発表した「TOP 10 TRENDS」から、2018年のデジタルの10大潮流を紹介する。
近年、音声認識機能は大きく改善され、現在の誤認率はわずか5%と推定されている。
アマゾン・エコーのようなデバイスは、5年以内に複数の市場で普及率が66%に達すると予想されており、音声は特に「検索」などの分野において、これまでの常識を大きく覆しつつある。
バイドゥ、アリババ、シャオミといった中国のブランドも、それぞれ微妙に異なる独自のスマートスピーカーを発売。例えばアリババの製品は、音声起動型のアシスタントとして店舗やホテルの部屋に配備されることを目的としている。
いくつかの研究により、音声の登場で人々の検索方法が変化していることが明らかになっている。文章を入力するよりも話す方が簡単なので、テキスト検索に比べて音声検索は検索者の質問が長くなる。つまり、ブランド側はブランド名よりも「○○するにはどうすればいいの?」といったさまざまな質問方法を、効率よく活用する必要があるのだ。
アマゾンもアマゾン・エコーを通じて、消費者が新たな発見をできるように試みている。例えば、「オプラのお気に入り」という企画では、テレビタレントのオプラ・ウィンフリーさんがそのシーズンのお気に入りアイテムについて語り、それを消費者が購入できる仕組みになっている。
U2はファンのために、アマゾン・アレクサ上に特別コンテンツ「アレクサ、U2エクスペリエンスをかけて」を制作した。
しかし、音声の可能性は「検索」にとどまらない。オーディオコンテンツや新しい広告の機会も登場しているのだ。ポッドキャストの人気は増加の一途をたどっており、エジソンの調査によると、リスナーは年間約15%の割合で増え続けているという。また、双方向型の「あなただけの冒険を選んでください」形式のドラマなど、画期的なコンテンツも登場。音声プログラマティック広告は、スポティファイやDAX(デジタルオーディオ取引)から始まっている。
オーディオ分野では、ダイナミックな創造力が開花している。例えば、A Million Adsという企業は、広告主が天候や時刻、場所などに応じて広告を変化できるようにしている。
音声を活用した戦略の重要さは、日に日に増してきている。
アマゾン・アレクサやグーグルホームといったデバイスの検索結果をもとに検証が進んでいる。オーディオコンテンツや広告の新たな可能性を検討することも大切だ。特に、コネクテッドカーによって、リスナー数はまた大きく伸びるだろう。