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シニアの多様な「買い物」観~決め手は「具体性」と「納得感」~

いま改めて「シニア・マーケティング」を考える №3

  • 對馬 友美子

2018/07/02

シニアの多様な「買い物」観~決め手は「具体性」と「納得感」~

前回、前々回とシニアの“夫婦”の価値観タイプの組み合わせや相性についてお話ししてきましたが、今回は、ビデオリサーチの「Senior+/ex」※の最新データから、各セグメントによって行動や意識がどのように異なるのかを2回に分けて深堀りしていきます。

まず1回目は「買い物」に関わる意識の差です。

「シニア価値観セグメント」とは・・・ 考え方も行動も多様化・複雑化しているシニア層を理解するための新たな切り口として、"価値観"で分類したセグメント。価値観は6タイプに分類され、それぞれを「行動が積極的か控えめか」、「志向が伝統的・保守的な傾向か、変化や刺激を好む傾向か」という2軸4象限上にプロットしたもの。

アクティブトラッド:リタイアして悠々自適に暮らしている方が多く、お金あり時間あり。消費も行動も積極的だが、伝統的な家族観が強い。いわゆる「アクティブシニア」と言われてきたイメージに最も近い。

ラブ・マイライフ:若さや美への追求心、アンチエイジング意識が強く、新しい物好きで情報通、流行にも敏感。「新型」のアクティブシニアの一つ。

社会派インディペンデント:人とのつながりを大事にし、新しい人脈を築くことや世代を超えた交流にも意欲的。「新型アクティブシニア」のもう一つのパターン。

淡々コンサバ:現在の生活に十分満足していて、これ以上に多くを望まない。強い主張をももたず、日々淡々と平穏な暮らしを送っている。従来言われてきた「高齢者」イメージに最も近い。

身の丈リアリスト:何かとお金がない、お金がかかるからできないという諦め感を口にする。お金を本当に持っていないわけではないが、将来不安からか消費行動は消極的。

セカンドライフモラトリアム:社会に取り残される不安感や、人や社会とつながりたい思いは強い。が、その術がわからず、これからの人生をどう過ごしたらよいのか模索している。

ブランド志向のラブ・マイライフ、エシカル消費の社会派インディペンデント

買い物に関する意識や行動には、そもそもの物事の捉え方=価値観の違いが多く表れています(図1)。

図1-買い物の仕方・意識①

例えば、行動が積極的なアクティブシニア3タイプ(アクティブトラッド、ラブ・マイライフ、社会派インディペンデント)は、「自分が気に入ったもの、“これは”と思ったものは、多少高くとも無理をしてでも買う」という共通点があります。しかし、その「気に入るポイント」がそれぞれのタイプによって違っています。

例えば、生活にゆとりがあり悠々自適に暮らすアクティブトラッドは、クーポン券や割引券の利用は他のタイプに比べて低め。メーカーやブランドへのこだわりがあり、商品を買う場所も百貨店や正規代理店と、より“安心感・安全性”が担保されているところを選ぶ傾向が表れています。衝動買いはあまりしません。
 

ラブ・マイライフは、アクティブトラッドのようにじっくり吟味して買うのではなく、欲しいと思ったらあまり躊躇せずに買うタイプです。新しいものや人とは違うものを好み、有名ブランドであることも大事。「限定モノ」や「流行モノ」といわれるとついつい手が出てしまうせいか、衝動買いが多いのも特徴的です。

ラブ・マイライフと同じ新型アクティブシニアゾーンに位置づけられる社会派インディペンデントは、買い物意識・行動に関してはラブ・マイライフとまったく反対の様相を見せます。ブランド物や流行には興味を示さず、衝動買いとは最も縁遠いタイプ。しかし「環境に良い」「社会貢献になる」商品には最も反応します。買い物の嗜好もまさに“社会派”です。

お得に買い物をするモラトリアム、通信販売利用が多い身の丈リアリスト

図2-買い物の仕方・意識②
図3 通販利用状況

一方、「ポイントカードやクーポン」をより活用しているのがセカンドライフモラトリアムです。お得に買い物をする半面、図1にある通り衝動買いの比率がラブ・マイライフに次いで高くなっていました。ただし商品選択眼にはラブ・マイライフほどの自信はないようで、自分が選んだものに対する周囲の評判を気にしたり、「みんなが持っているものは良いものだ」と考えたりと、フォロワー型の意識が強いのが特徴です。周囲に引っ張られてつい衝動買いをしてしまうタイプなのかもしれません。

また、「お金がないよ」と言いつつ何かとマイペースに暮らしている身の丈リアリストは、通販の利用率が高く、利用頻度・利用金額とも多いことが分かりました(図3)。このタイプはわずらわしいことが好きではないため、買い物に行く手間が省けたり、自分の好きな時間に買い物ができたりする通販は、うってつけの買い物手段なのでしょう。

シニアに振り向いてもらうために必要なのは「具体性」と「納得感」

こういった特徴は、年齢やライフステージなどのデモグラフィック特性だけではなかなか見えてこないポイントです。

また、基本的には現役時代に比べ収入が減り、年金や貯蓄などで生活していくという前提があるため、いくら金銭的に余裕があるように見えても簡単にモノを買わないのがシニアです。さらに、経験値が高く目が肥えているということもあり、シニアたちのお眼鏡にかなうためにはどのようなベネフィットがあるのか、機能面だけではなく「自分の生活がどう良くなるのか」を、若い世代よりも、より具体的に伝え、お金を出してよいか納得してもらうことが重要です。そのためには、今回お伝えしたようにシニアとひとことで言ってもそれぞれが違う考え方や嗜好性を持つ多様な生活者であることを考慮し、自社商品をどんな人に買ってもらいたいのか顧客像を明確に描き、彼ら彼女らの志向性から、どのようなメッセージなら受け入れられるのかを考えていく必要があるでしょう。

お問い合わせ先はこちら。
hitoken@videor.co.jp


「Senior+/ex」とは 

ビデオリサーチの大規模シングルソースデータ「ACR/ex」の年齢拡張版。
2017年4~6月調査 東京50キロ圏 55~74歳男女 N=1611
調査手法:人口構成比に基づく無作為抽出の対象者家庭に訪問により調査協力を依頼。
回答形式は電子調査票(専用タブレット端末を貸与)。


ビデオリサーチ ひと研究所「VRエイジング・ラボ」

ビデオリサーチのシンクタンク「ひと研究所」が、シニア市場の活性化を目指して立ち上げたシニア研究チーム。リアルなシニアを捉えマーケティング活動に生かすべく、研究活動や情報発信、企業のシニアマーケティングへのコンサルティング業務を行っています。

ひと研究所:
http://www.videor.co.jp/hitoken/#anc2