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デジタルの進化で急増するマーケターに必要なスキル

デジタルソリューションを乗りこなせ! 新規事業開発との向き合い方 №1

  • 片山 智弘

2018/07/25

デジタルの進化で急増するマーケターに必要なスキル

<目次>
ソリューションの数だけ、必要な知見も増える
マーケティング部署だけではどうにもならないデジタル化の現実
テクノロジーとビジネスの理解が、これからのマーケターの共通言語

 

電通ビジネスディベロップメント&アクティベーション局の片山と申します。2015年にアプリの企画制作から事業としてのマネタイズまでという連載コラムを執筆し、グロースハックの概念やサービス設計、UXに関する議論を中心にお話をしました。

それから3年が経過し、「マーケティング」という言葉や「マーケター」の役割は、デジタルテクノロジーとそれによって生まれるソリューションによって急速に拡張しています。私自身も事業視点や商品開発視点を変えていく必要性を強く感じました。

そこで今回は、新規事業開発や商品開発を担うマーケターや担当者に向けて、これまで私が培ってきた知見を共有する連載をお届けします。

なお、この連載での「マーケター」とは、ある特定のソリューションを実行・運用するためのスペシャリストや特定領域のみを担当する方ではなく、会社そのものやその会社の製品・サービスの統合的なコミュニケーションの設計と実行を担う担当者、または責任者を指します。

ソリューションの数だけ、必要な知見も増える

新聞広告メインの時代からテレビCMが誕生したとき、現象としては単純に、最初の認知から顧客獲得のための手段が増えただけでした。広告素材や枠の性質・内容はもちろん異なりますが、入稿から掲載までの基本的な業務フローは同じです。

しかし、デジタルテクノロジーによって出現したソリューションの数々は、理解し、活用するために必要な知見(能力や考え方)が異なり、それぞれをキャッチアップする必要があります。

まず初めに、デジタルマーケティングの発展とそのソリューションの浸透がマーケターにもたらす知見の変化についてご紹介します。

全てのソリューション群を網羅しているわけではありませんが、マーケティング・コミュニケーションで出現した代表的なソリューション内容と、必要となる知見をまとめたのが下記の表です。

デジタルマーケティングの発展と必要となる知見デジタルマーケティングの発展と必要となる知見

1990年代後半~2000年代前半、バナー広告や検索連動型広告が出てきたときは、「どれだけリーチしたのか」「クリックされたのか」「獲得できたのか」をデジタルで可視化できるようになったという理解で十分でした。

しかし2010年代前半、ビッグデータに関わる技術やレコメンデーションの概念が登場したことで、データをどう管理していくのか、それによって何ができるのかを把握する能力が必要になりました。

さらに2010年代には、オウンドメディアを自分でつくったり、オムニチャネルでリアルとデジタルをつないでいくようになり、エンジニアと会話するために開発の知識も必要になりました。

しかも、今から約20年前に出てきたバナー広告や検索連動型広告も、昨今ホットなアドフラウド(不正広告)対策ソリューションも、栄枯盛衰や形式の変化はありますが、今も重要なデジタルソリューションのままです。

つまり、必要な能力や多面的な考え方が純増していることが分かります。

マーケティング部署だけではどうにもならないデジタル化の現実

知見の増加以外の観点として、他部署との関わり方があります。以前はデジタルソリューションといってもマーケティング部だけで完結していましたが、今では多くの部署が関わるようになってきているのです。

バナー広告や検索連動型広告などは、これまでと同様に、広告宣伝を担う部門で完結させることができます。しかし、例えばSNSでの公式アカウントは、会社の人格や姿勢を表す存在でもあるので、広報的な視点も必要になります。

また、グロースハック関連ソリューションは、打ち手をすぐに反映するアジャイルな開発部門が必要ですし、開発会社へ正しい指示をしなければなりません。

デジタルソリューションと関わる可能性の高い部門デジタルソリューションと関わる可能性の高い部門

上の表からも、総務や人事などのバックオフィス部門を除き、多くの部署がデジタルソリューションと関係があることが分ります。

昨今注目を集めるブロックチェーンや人工知能、量子コンピューターなどの新興テクノロジーをマーケティングソリューションとして組み入れるならば、R&D(研究開発)部門や経営層まで説得が必要になるでしょう。

マーケティング自体が事業活動の推進行為になっているので、「他の部署のことまで考えられない」「事業企画の考えが全く分からない」というマーケターには、デジタルを活用したマーケティングの推進は難しい状況になっています。


テクノロジーとビジネスの理解が、これからのマーケターの共通言語

最新のデジタルテクノロジーをマーケターがコミュニケーション設計・実行で使いこなすためには、必要な知見とともに、関わる部署も増大していることをご理解いただけたと思います。

デジタルソリューションを広告コミュニケーションの手段として把握することや、自社のブランドや製品の在り方を規定することは、もはや当たり前のことです。それに追加して、テクノロジーへの理解とビジネスへの理解が、これからオールラウンドに活躍するマーケターの共通言語になろうとしていることがイメージできたのではないでしょうか。

デジタルソリューションを乗りこなすために必要なマーケターのスキル

今回ご紹介した他部署への配慮は、デジタルソリューション商品を開発する側でも考える必要があります。IT投資としてもみなされる側面や、従来のシステム全体の構造を変える可能性もあるので、「認知」や「獲得」の発想だけでなく、「クライアントの事業全体にどのような貢献をするのか」を意識した開発が求められます。

全社視点で事業開発に並走するソリューションが提供できるなら、成果連動型や、デジタルソリューションの開発側から投資をして、利益が出たら回収するようなビジネスモデルも提案できるはずです。

このような時代の中で、マーケターはどのように事業やテクノロジーを捉えていくべきなのかについて、今後の連載で触れていきます。

私が電通の新規事業関連部署の局員として、どのような事業開発や商品開発を行っている(いた)のか、実例を挙げてご紹介しますのでお楽しみに。