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知らなきゃ損する!データクリーンルーム活用術No.6

SmartNewsのデータクリーンルーム登場!ユーザーの「記事閲読行動」とコンバージョンの関係とは?

2024/11/29

前列左からスマートニュース 本田良平氏、河原塚有希氏、後列左から電通デジタル 栗原優太氏、電通 岡本岳志氏、赤澤新之介氏
前列左からスマートニュース 本田良平氏、河原塚有希氏、後列左から電通デジタル 栗原優太氏、電通 岡本岳志氏、赤澤新之介氏
データマーケティングの時代に欠かせない分析環境が、大手プラットフォーム事業者が提供する「データクリーンルーム」(=Data Clean Room、以下DCR)です。
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データクリーンルームは、プラットフォームによって得意とする領域が異なります。今回ご紹介する「SmartNews Ads Data Pot」(略称「アドポット」)は、ニュースアプリとしてのSmartNewsの強みを生かし、ユーザーの行動データ、中でも「記事閲読行動データ」をユーザー分析などに活用できるのが特徴です。

スマートニュースと電通、電通デジタルが共同で開発したSmartNews Ads Data Potは、クライアントのどのような課題を解決できるのでしょうか?

スマートニュースでデータソリューションを開発する河原塚氏、広告営業の本田氏、本プロジェクトリーダーの電通の岡本氏、アナリスト兼プロジェクト推進の赤澤氏、電通デジタルでSmartNewsのセールスを担当する栗原氏。プロジェクトを進めてきた5人の座談会をお届けします!

※本稿では社名を「スマートニュース」、サービス名を「SmartNews」と表記しています。

※スマートニュース、企業のマーケティング活動の支援に寄与するデータクリーンルーム「SmartNews Ads Data Pot」を 電通・電通デジタルと共同で構築
https://about.smartnews.com/ja/20240930
<目次>
ユーザーは製品購入の「x週間前」にSmartNewsの記事を閲読していた!

クライアントの潜在的な要望に応えられる環境ができた

クライアント課題に応えて進化していくデータクリーンルーム

スマートニュースRamesh Ramalingam氏からメッセージ

 

ユーザーは製品購入の「x週間前」にSmartNewsの記事を閲読していた!

電通 岡本氏
電通 岡本氏

岡本:いよいよリリースとなった、SmartNews Ads Data Potですが、開発に携わった5人でどのようなサービスなのかをお話しできればと思います。最初に簡単に自己紹介をしましょう。私は電通のデータ・テクノロジーセンターから参画し、プロジェクトリーダーとして、プロジェクト全体の計画・遂行などのマネジメントをさせていただきました。

赤澤:私も電通のデータ・テクノロジーセンターからの参画です。いくつかのデータクリーンルームに携わってきた知見を生かして、プロジェクト進行と、データ分析を担当しています。アナリストとしての立場からの意見出しもさせていただきました。

栗原:私は電通デジタルで、スマートニュースさんと共同で、クライアントに広告枠のセールスをしています。このプロジェクトではPoC(実証実験)に参加していただくクライアントへの打診や調整も担当しました。

本田:私はスマートニュースの営業チームで、電通グループを担当しています。普段は電通デジタルのチームの方々とやり取りをしています。今回のプロジェクトでは電通のデータ・テクノロジーセンターとの窓口も担当しました。

河原塚:私はプロダクトソリューションスペシャリストとして、SmartNewsのプロダクトやソリューションを開発しています。今回のプロジェクトでは、データソリューション周りを担当し、Pythonでコードを書くところから始まり、分析環境を整備してきました。

岡本:皆さんありがとうございます!プロジェクトの話に入る前に、まずSmartNewsというニュースアプリについて、そして広告プラットフォームとしての特徴を伺えますでしょうか?

本田:SmartNewsは日本最大級のニュースアプリで、幅広い年齢層のユーザーにご利用いただいています。特徴として、1日に利用される頻度が高く、習慣的に活用される傾向があります。広告メディアとしての強みは、クリック率などを含めた「誘導効率」ですね。

ただ、それゆえに、クライアントからはいわゆる「誘導系」の施策でのご活用がメインとなっていて、私たちとしてはもっと幅広いマーケティング施策に使っていただきたいというのが課題でした。「記事閲読行動データ」に代表される、SmartNewsのユニークなデータが、もっといろいろなクライアントの課題解決に活用できると考えていたんです。

岡本:なるほど。栗原さんは、SmartNewsという広告メディアをセールスする立場ですが、クライアント視点ではどういった特徴のある広告メディアなのでしょうか?

栗原:本田さんのおっしゃる通り、誘導効率が高くCPCが安いのは大きな魅力です。また予約型の枠として、縦型の全画面動画広告や横型で最上部に掲載される広告など、使い方次第でかなりインパクトの強い施策を打てるメディアでもあります。BtoCの業種のクライアントに、キャンペーン開始のタイミングでそういった枠をご活用いただくケースも多いですね。

加えて、若年層から高齢層まで非常に網羅的なユーザーを抱えているため、業種や商材に限定されないのも大きなポイントです。一方で、本田さんのお話にあった記事閲読行動データの活用については、従来は分析環境やアナリストなど、周辺環境が整っていなかったため、十分に生かし切ることができていませんでした。

岡本:そこで、今回のSmartNews Ads Data Potを開発するに至ったのですね。赤澤さんは多くのデータクリーンルームに携わってきましたが、SmartNews Ads Data Potの特徴と、何が可能になったのかを教えてください。

電通 赤澤氏
電通 赤澤氏

赤澤:まず、お二人からお話のあった「記事閲読行動データ」を取得できるのが、SmartNewsならではのユニークな点です。デジタル広告のPDCAを回す際には、広告配信後の分析が非常に重要です。実際にどのような人がクリックしたのか、LP(ランディングページ)に到達したのか、その結果どういった人が商品を購入したのか、という分析ですね。

こうした分析自体は、従来のSmartNewsでもある程度可能だったのですが、今回データクリーンルームとしてセキュアな分析環境をつくり、許諾を得ているさまざまな外部データを掛け合わせられるようになったことで、より深いマーケティングの手段として使えるようになりました。

ユーザーというものは、日々変化していきます。そんなユーザーの毎日の記事閲読行動を分析することで、ユーザーがどのタイミングでどのような内容に興味があるのかも可視化できます。その結果、ユーザーの商品に対する興味関心が最大限に高まるタイミング、いわゆる「モーメント」が分かるようになり、最適なタイミングで、最適な広告を配信できる。これがまずは記事閲読行動データの基本的なメリットです。

河原塚:加えてお話ししますと、SmartNewsというアプリでニュースを見ることを、「習慣化」してくださっているユーザーが多いんですね。赤澤さんのいうモーメントを捉えようとしたときに、これは非常に重要なポイントです。同じユーザーと継続的に接点を持ち、ユーザーの行動の「変化」を見られるからこそ、最適なタイミングも分かるんです。

本田:ニュースアプリだからこそ、1日に何度もアプリに触れるというのがポイントですね。例えば動画視聴がメインのアプリやウェブサイトだと、比較的夜の時間に接触されるなどの特徴があると思います。SmartNewsは、朝の接触が多い傾向はありつつですが、基本的には1人のユーザーから朝、昼、夜と何度も接触があります。

スマートニュース 本田氏
スマートニュース 本田氏

岡本:しかもニュースアプリは、明確な意思を持って能動的に読む傾向があるので、ユーザーの興味関心や嗜好(しこう)性が分かりやすく出ますよね。

赤澤:サービスの正式リリース前に、クライアントと共にPoC(実証実験)を実施したのですが、記事閲読行動データの強みが非常にはっきりと出ました。

例えば、あるメーカー企業の商材では、、Smartnews Adsコンバージョン(CV)タグを用いて取得したデータを用いて、CVに至ったユーザーを記事閲読行動データと掛け合わせて分析を行いました。

具体的には、ユーザーがCVした日を起点に、「ユーザーが過去にどのような記事を読んだのか」をすべて洗い出し、最終的には過去1カ月の記事閲読行動を1週間ごとに区切って「CVした人」「CVしなかった人」を比較したところ、「CVに至ったユーザーは、3週間前に該当ジャンルのニュースを閲読していた人が多かった」というユーザーの行動の特徴を発見することができました。

媒体CVタグと記事閲読データの掛け合わせ分析により、CVに至ったユーザーと、そうでないユーザーの行動の違いが浮き彫りになった。
Smartnews Adsコンバージョン(CV)タグと記事閲読行動データの掛け合わせ分析により、CVに至ったユーザーと、そうでないユーザーの行動の違いが浮き彫りになった。

赤澤:つまりこの商材に関しては、CVの3週間ぐらい前からユーザーの気持ちというのは高まっていて、そこからCVに至るという分析ができたのです。このように、クライアントの「どのタイミングで広告出稿すればいいのか」という疑問に対して、根拠のある数字を伴って答えられるようになったのも、記事閲読行動データを分析に使えたことの成果ですね。

栗原:商品の購入に興味のある人は、実際に購入する数週間前からそういう記事が気になって読んでいたりする。今の赤澤さんの話は、体感では「やっぱり、3週間ぐらい前からだよね」と腹落ちしやすい結果になっているのですが、これをちゃんとデータで、再現性のある形で証明できたことが大きいんですよね。

河原塚:SmartNewsでは、ある記事キーワードを見た人に対して、後日に関連する広告を出すといったことも可能です。SmartNews Ads Data Potで分析を行うことで、「このキーワードで補足するといいのではないか」といったことも可視化できてきます。「広告」と「その商品に関わるニュース記事」というところでPDCAを回していくということができるのも、ユニークな点だと考えています。

クライアントの潜在的な要望に応えられる環境ができた

岡本:記事閲読行動データは、単にユーザーの興味関心事を知ることができるというだけでなく、さらにその行動の変化をも追うことで、より深い分析ができるということですね。すでに多くのプラットフォーマー企業がデータクリーンルームを提供している中で、今回SmartNewsならではの価値をどのように打ち出していくかは、3社で協議を重ねたところです。その一つの大きな柱になるのが、記事閲読行動データでした。

その一方で、今回のプロジェクトでは、データの利用について、スマートニュースの社内でも、いろいろ課題や検討ポイントがあったと思います。具体的にどのようなことがありましたか? 

スマートニュース 河原塚氏
スマートニュース 河原塚氏

河原塚:深く検討すべき事項は3点ありました。「各媒体社との関わり合い方」「ユーザープライバシー」「データエンジニアリング」です。

1点目の媒体社との関わり方ですが、SmartNewsはさまざまな媒体社の発信するニュースコンテンツを表示するアプリです。媒体社の大切なコンテンツを預かるにあたっては、一つ一つのコンテンツごとに契約があります。この契約を順守しながらSmartNews Ads Data Potを運用するために、当社の法務部門と綿密に調整を行いました。2点目のデータプライバシーも同様です。当社が蓄積しているユーザーデータのプライバシーをしっかり守るため、こちらも法務と連携しながら仕様をつくっていきました。

岡本:3点目のデータエンジニアリングについて詳しく伺えますか?

河原塚:主に、システム構築のルールについてですね。データクリーンルームというものは、今お話ししたように媒体社、ユーザーの権利を守ることが必須ですが、一方であまりにもガチガチに縛ってしまうと、今度は分析環境としての使い勝手が悪くなります。

当社では毎日1億以上という大量のデータ記録が発生しており、それらが日々データベースに蓄積されています。大量かつ多様なデータなので、ただでさえ取り回しが難しいんですね。絶対に守らないといけない部分はしっかり保護しつつ、分析のしやすさといった使い勝手や、クライアントが求めるデータも提供できるように、つまり保護と利益を両立できるように、工夫しながら進めてきました。

岡本:まさに、データクリーンルーム構築において、丁寧に検討すべきポイントのひとつですね。

河原塚:そもそもの方向性や、分析の方式を決めるところに時間がかかりましたが、実際に電通・電通デジタルと共に開発に取り掛かってからはとても早かったですよね。走り出してからは、岡本さん中心に強力に推進していただき、1年とかからずにリリースできました。

私たちはコンテンツとユーザー行動については知見があるんですが、クライアントのビジネスを後押しするためにどういったマーケティングデータを活用できるのかといったことについては、電通さんがとても強い専門性をお持ちです。そこを掛け合わせられる環境ができたのが、本当によかったと思います。

栗原:電通のデータ・テクノロジーセンターが中心となって広めてくださったことで、データクリーンルームという概念はだいぶ浸透してきましたね。もともとSmartNewsに出稿してくださっていたクライアントからも、「こんなデータはもらえないか」「こんな掛け合わせ分析はできないか」といった要望はたくさんいただいていたんです。今回、データクリーンルームとして完成したことで、ユーザーの中長期的な記事や広告への接触、そのタイミングまで分かるようになりました。

SmartNewsのデータに加え、電通の持つテレビCMへの接触データと、SmartNewsの広告接触データを掛け合わせることで、インクリメンタルリーチ(テレビCMとデジタル広告で重複していないリーチ)を可視化したりもできます。さらには位置情報との掛け合わせも可能になりました。いわばかゆいところに手が届くようになったんですね。

クライアントや担当営業が潜在的に「できたらいいな」と思っていることっていろいろあると思うんですが、今回SmartNews Ads Data Potをリリースしたことで、「あ、こういう要望を出してもいいんだ」「こんな使い方があるんだ」と気づいていただけたというケースもあります。

クライアント課題に応えて進化していくデータクリーンルーム

電通デジタル 栗原氏
電通デジタル 栗原氏

岡本:SmartNews Ads Data Potはまだ始まったばかりのサービスですが、クライアントからの反響はいかがですか?

栗原:9月30日に3社共同でリリースを出しましたが、すでに複数のクライアントからお問い合わせをいただいています。新規のクライアントだけでなく、もともと長くSmartNewsに出稿していただいているクライアントからも、「これからはSmartNews Ads Data Potを使って、さらに深掘りしたマーケティング分析をしたい」というご相談もいただいています。

今回、改めてデータクリーンルームという形で分析環境を構築したことで、幅広いクライアント課題に応えられるようになっていますので、DCRの切り口で積極的に提案活動を推進していきたいと思います。

岡本:ぜひ、多くのクライアントにご活用いただきたいですね。サービス自体の中身も、これからどんどん進化・拡充していければと思いますが、現時点での展望を、赤澤さんからお話しいただけますか?

赤澤:今は「連携できるデータの種類数」と、「分析ソリューションの数」という、2つの要素の拡充を進めていきたいと考えています。もちろん、現時点でもSmartNewsのデータやクライアント様の保有データに、電通グループの持つデータを掛け合わせることで、さまざまな分析が可能です。

例えば、テレビCMとのクロスリーチ分析や、位置情報データを利用した来店分析などは、すでにSmartNews Ads Data Pot上でご利用いただける状態です。ここに今後は購買データなども拡充していきSmartNewsならではのデータをかけ合わせたデータソリューションを開発していけたらと考えています。

岡本:SmartNewsだけでなく、外部の他企業との連携や、他のプラットフォームへのデータ連携といった可能性もありますよね。

河原塚:SmartNewsとNTTドコモ(以下ドコモ)は2024年、ドコモユーザー向けに「SmartNews for docomo」というサービスを共同でローンチしました。このアプリはドコモAndroidスマートフォンにプリインストールされており、より広いユーザーへのリーチや、クライアントにメリットのある形につなげていければと考えています。

それも含めて、他のプラットフォームとの連携も考えられます。せっかくSmartNews Ads Data Potというセキュアな分析環境ができましたので、お互いにデータを掛け合わせることで、ユーザープライバシーを守りながら、従来不可能だったようなさまざまな分析が可能になるのではないかと考えています。

岡本:SmartNews Ads Data Potが多くのクライアントのマーケティング課題解決に貢献できるよう、引き続き3社で力を合わせていきましょう。本日はありがとうございました!

集合写真

スマートニュースRamesh Ramalingam氏からメッセージ

スマートニュースの開発チームの強みは、広告主や代理店と密に連携し、実証実験からリリースまで、開発の各段階で顧客の声を取り入れる体制にあります。データクリーンルームの開発も同様で、単なるデータの提供に留まらず、広告主が求める理想的なマーケティング活動を実現するために取り組んできました。

SmartNewsの特徴は、アプリでのニュース閲読行動を通じて、生活者の行動やトレンドを深く理解できる点です。このインサイトは、広告主の思いを生活者に届ける強力なツールとなります。SmartNews Ads のデータクリーンルームは生活者のプライバシーを守りながら、これらの価値を最大限に引き出します。

スマートニュース Ramesh Ramalingam氏(アドストラテジー&ソリューションズVice President)
スマートニュース Ramesh Ramalingam氏(アドストラテジー&ソリューションズVice President)
電通広報リリース:
電通と電通デジタル、スマートニュースとのデータクリーンルーム 「SmartNews Ads Data Pot」を構築

お問い合わせはこちらまで:
電通 データ・テクノロジーセンター
       Email:smartnews-ad-pot@dentsu.co.jp

 

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